酒さ様皮膚炎との戦いは炎症だけが相手ではありません。バリア機能が弱った上に炎症による乾燥が進行した肌はボロボロとむけ始め、数週間にも及ぶ皮むけ期間を迎える事も。
皮むけがひどいと化粧も乗らず、ファンデーションを塗っても却って白浮きしてしまう事になります。
化粧もできない最悪の肌状態。隠す手段の一つを奪われていっそう憂鬱になりそうです。
ここではそんな皮むけ期間の乗り切り方、対処法をご紹介します。
もくじ
皮むけ期間は肌の再生期間
酒さ様皮膚炎の治療過程では、炎症以外にも色々なトラブルが発生します。その一つが皮剥け状態の肌。
炎症による乾燥で肌が極度に乾燥してガビガビになり、最後にはボロボロと剥がれ落ちてきます。
この剥がれ落ちた皮が最悪で、最初はうろこのような、コーンフレークのような状態の皮が顔にくっつき一面を覆います。
あり得ない惨状に思いっきりめげますが、大きな皮でむけるのは最初だけです。そのうちだんだんと剥ける皮が小さくなっていき、最後は粉のようになります。
皮むけ期間は肌の再生が急ピッチで促されている期間でもあります。ここを乗り越えれば再生された強い肌が現れ、状態はぐっと良くなります。
スキンケア
普段のスキンケアは、せっかくがんばっている肌を痛めないよう優しく扱うのが基本です。
洗顔
洗顔は優しく丁寧に、が基本です。炎症がある程度治まっていたら石鹸で洗顔してもいいですが、そうでなければ水洗顔にしましょう。
水洗顔では肌表面に張りついている皮は落ち切れませんが、無理やり落とそうとしてはいけません。顔に残ってしまった皮はそのままにしておくのが一番です。
見栄えは悪いですが、落ちきれない皮ががんばって肌を守ってくれているのです。
石鹸は刺激が強すぎるけれども水洗顔より1歩進んだ洗顔がしたい、という場合はコールドクリームのようなクリームで肌をくるくるとマッサージしてみます。
クリームの油分が余分な脂と中和され、洗顔の代わりになります。水洗顔よりも皮が取れやすくなります。
垢すりのようにゴシゴシとこするとボロボロ落ちてきますのでついつい楽しく・・・・なってしまって落としきった経験があります。。。
次の日見事に肌が痛みました。
皮を全部落としてしまう事によってまだ育ちきっていない弱い肌が表面に現れてしまったのだと思います。
ピーリング剤などで皮を落としたくなりますが、なるべくしないようにしましょう。
皮剥け期間は数週間に及ぶ事もありますので、大事な用事でどうしても、という場合に仕方なくピーリングを行うことがあったとしても、普段のお手入れに組み込むことだけはやめましょう。
保湿
酒さよう皮膚炎発症時には脱保湿がいいという意見もありますが、保湿をしないと顔にはりついた皮が目だって仕方ありません。
ファンデーションを塗っても粉浮きするだけで余計に目立つようになりますので化粧という手段も使えません。
普段の保湿に対する考え方が保湿、脱保湿のどちらかによらず、外出時は保湿をした方が気分的に楽になります。
外出寸前に保湿をしっかりと行うことによって剥けた皮が目立ちにくくなる、というだけなのですが精神的なストレスと普段のお手入れを天秤にかけてどちらがいいか決めると良いと思います。
特に脱保湿を普段のケアに取り入れている場合は保湿に対する罪悪感が芽生えてしまいますが
- 今日は大事な用事だけどピーリングはしたくないから保湿して出かけよう。
- 今日は大事な用事だけどマスクで隠して保湿はしないようにしよう。
どちらの方が正しい行動とは決められません。強いて言うならどちらも正しいのです。
生活スタイルや習慣、外出の有無や人と会う頻度など、全ての要素が自分と全く同じ人はいません。まして肌の状態も人それぞれです。
Aさんには保湿で改善したけどBさんは保湿で悪化した、という事だって当たり前に起こり得るのです。
大事なのは自分の肌と向き合うことです。自分の肌がどこまでのお手入れを喜んでいるか、どこまでなら許容できるのか、というのはあなたにしか分かりません。そういった肌の声をしっかり聞きつつ普段のお手入れを行っていきましょう。
紫外線
紫外線はどういった肌状態かによらず美肌の大敵という事は一般的に知られていると思います。
酒さ様皮膚炎の場合も同様で紫外線は炎症を起こした肌をなおさら痛めつけ、悪化させます。
物理防御
炎症がひどい状態だと日焼け止めすら塗るのを躊躇しますが、そういった場合でも防止や日傘、マスクやサングラスなどで日焼け防止に努めましょう。
物理防御で完全ガードしすぎると怪しい人になってしまいますが、炎症を悪化させない為には仕方ありません。
紫外線は炎症部位に大敵です。外出時の紫外線と見た目のバランスをどこで取るかは悩ましい問題ですが、状況に応じてできる限りの物理防御をしていきましょう。
日焼け止め
皮剥け期間はファンデーションによる日焼け止め効果が期待できないので、なるべく肌に優しいマイルドな日焼け止めを塗って出かけるようにしましょう。
家の中にいる場合でも出来れば塗っておくとよいです。
日焼け止めの選び方は
- シンプルな成分
- 石鹸で落ちる
- アルコールフリー
- 防腐剤フリー
あたりに拘ると自然と肌に優しい日焼け止めが選べます。
SPFやPAは最高値を選ぶ必要はありません。数値の高いものはそれだけ日焼けを防止する成分もたくさん入っているため、「シンプルな成分」という部分に反します。
大事なのは高SPFではなくマメに塗りなおすことです。
高SPFで安心して塗りなおさないでいると、酒さ様皮膚炎の肌にとって成分は強いわ、日差しは防げていないわ、と状態に陥り何の意味もなくなります。
「肌に優しく刺激にならない程度の日焼け止めをマメに塗りなおす」という姿勢を徹底しましょう。
食生活
食生活などでも悪化因子を取り除き新陳代謝を促すことによって、肌の再生を促進させる効果が期待できます。
コーヒーなどに代表されるカフェインやお酒などのアルコール、香辛料やナッツなど、悪化要因と言われている食べ物はたくさんあります。
これらの全てが肌を悪化させる要因になる訳ではなく、どれが悪化因子となるかは個人差があるようです。まずはこういった肌を悪化させる可能性のあるものを排除しましょう。
排除した上で少量とってみて自分の肌に全く変化がなければ、摂取しても大丈夫という判断がつきます。
少しでも変化が起きたら取らないようにする、というのが大事です。
アルコールなどはお酒に強い人でも顔が赤くなる人が多いですよね。酒さ様発症時は特に血管が拡張しやすくなっています。
判断基準は「お酒が強いから大丈夫」ではなく「肌が変化したかどうか」です。
お酒に強い人でも顔が赤くなるようなら肌が悲鳴を上げています。治療期間中は摂取を止めた方が無難です。
そういう観点で考えるとアルコールは「大丈夫!」と言い切れる人は少ないのではないでしょうか。逆にナッツなどは判断がつきにくい部類に入りますね。
不安なら全て摂取しなければいいのですが、そんな事言っていると何ひとつできなくなりますよね。
お手入れもダメ、化粧もダメ、人とも会えない、食べ物さえダメ。こういった事は理想論で肌の事を考えたらしない方がいい、というのは事実なのですが実際の生活で全てを完璧に行う必要はありません。
ただでさえストレスの多い病気ですので適度なところで折り合いをつけていくようにしましょう。じゃないと発狂します・・・・。
まとめ
酒さ様皮膚炎は治療期間が長期に渡るので、全てを完璧に行うのはなかなか難しいですよね。
そんな時は優先度を決めて実行していきましょう。皮剥け期間中の優先順位は
- 肌を痛めない事
- 悪化因子を取り除く事
- 代謝を促進させる事
特に肌を痛めない事に関しては、全期間通しての最優先事項です。スキンケアのしすぎは肌を痛めます。
自分に合ったスキンケアを続けながら、同時に肌の再生を促す食生活をし、生活リズムを整えるのが理想です。
全てできなくても、自分の環境の中でできる事は積極的に取り入れていきましょう。
コメント
とても参考になりました!
わたしは大人になり生活習慣の悪さからアトピーになりました。
ステロイド使ったことなく、拒否していましたがあまりにも酷くなり使った途端劇的な完全をしました。
常用することもなく、たまに出た時に生活習慣改善もせず、都合よく使ったら、
今度はカサカサになり、真っ赤に腫れ上がりました。
泣きたくて、すがるような思いで、2年前の半年間と、今回の2カ月、うまくステロイド抜きをするのに発赤、腫れ、熱、乾燥、落屑の繰り返しを経験しました。
本当にしんどくてトイレに行っても鏡は見ず、常にマスク。
実は、エステサロン経営者だったので、仕事は一切出なくなりました。
アンチエイジングに詳しくても
ステロイド腫れ素人。
皮めくれの事凄く知りたかった!
感謝いたします。
今は、私も苦しんでる人に少しでも役に立てればと、自分の知識を話したりしてます。
凄く、心強く感じました!!
感謝しておりますm(_ _)m
まめこさん、こんにちは。
コメントありがとうございます!
ステロイド離脱はとても苦痛を伴いますね。
依存にさえ陥らなければいいのですが、まめこさんのおっしゃるように使うと劇的に良くなるので、どうしても頼ってしまうこともあります。
エステなど美に関わるお仕事をされていると、なおさら脱ステ中はお仕事にも影響してしまいますね(´Д`。)
落屑が始まるのは肌が強くなってきた証拠でもあるのですが、見た目は非常に悪いですからどうしても精神的にまいってしまいます。
私も散々落ち込みましたし、精神的な苦痛はひょっとしたら炎症期間よりも皮剥け期間の方が強かったかもしれません。
でも、皮むけが治まってくるとそれこそ脱ステも一段落ですし、皮剥けの下ではそれまでよりも綺麗な肌が育っているはずです。
何度か炎症と皮むけを繰り返したとしても、段々波が小さくなっていって最終的には良くなっていくはずですよ!
今日アップした記事にも落屑のことをまとめてありますので、よろしかったらご覧ください。
落屑(らくせつ)ってなに?脱ステ中に起こる顔の皮剥け、原因や対処法。
私のサイトがお役に立てたなら何よりです。
自分の体験をまとめただけですが、感謝していただけるなんてとてもありがたく思います。
何か分からないことがあったらいつでも聞いてくださいねo(-`д´- o)
まめこさんの脱ステが順調に進みますように。
ろーざさん、初めまして。とても参考になりました。今とても辛い状況で、ろーざさんの治ると言う言葉に、救われています。
私は今脱ステをして1週間ちょっとです。脱ステをしてから赤み、ほてりがすごかったのですが、大学病院に行き漢方を処方してもらったおかげか、ほてりはだいぶ楽になりました。
6日ぐらい前から白い膿が出てきてそれから1、2日ぐらい軽く石鹸で洗顔をしてしまいました。それからは水洗顔を続けています。
腫れ、かゆみがひどくて膿を少しこすって落としてしまいました。落としてしまった部分は膿が出てこなくなってしまい赤いだけです。皮剥けも始まらないんですが、膿を落としてしまったせいなのかと悩んでいます。コメント頂けると嬉しいです。
ゆーなさん、こんにちは。
コメント頂いてありがとうございます!
私の言葉で救われたなんて言ってもらえて本当に嬉しいです。
丁度脱ステの真っ最中なんですね。1週間だと腫れや赤みが一番ひどい時ですので、さぞお辛いと思います><
それでも、漢方が効いたのは不幸中の幸いでしたね!
漢方は合う合わないも大きく、何の効果も感じられない場合もあるので、処方して頂いたものが効いたのであればゆーなさんの体質改善にも役立ってくれるはずです。
漢方の性質上時間はかかりますが、酒さ様皮膚炎がある程度落ち着いてもほてりやすい体質だった場合にはとても効果的な気がします。
どんな漢方を処方して頂いているのか、良かったら教えて頂けると嬉しいです。
膿や皮むけがある時の洗顔は難しいですよね。
本当は水洗顔くらいで放置が良いのですが、用事次第ではそんなことも言ってられなくなりますものね。
膿や皮むけを毎日のようにこすり落としていれば肌ダメージは甚大ですが、少しこすり落としてしまう程度は仕方ないのであまり気になさらないで下さいね。
あのかゆみじゃあ、起きている時はこすらなくても、寝ている時にこすってしまうこともありますし。
膿が出てこなくなったのは、こすり落としたせいというよりも、肌がそれだけ回復している証拠だと思います。
膿が出続ける場合は、落とそうが何しようが、またすぐに出てきますから。
皮剥けも脱ステ直後に始まる訳ではなく、炎症が落ち着いた頃にぶわーーーっと皮が剥け始めることが多いです。
私の時は脱ステ後10週ほど経っていました。
1週間くらいの時は、とにかく炎症と膿ですね。
当時の記録が以下の記事ですので、よろしかったらご覧ください。
赤紫から赤になっていく肌:治療開始後1週間
それと、脱ステ1年の経過をざっとまとめたページがありますので、大雑把にどんな経過をたどるのかが分かるかもしれません。
酒さ様皮膚炎発症後1年が経ちました!脱ステ1年の経緯を画像で観察。
脱ステの腫れ方は尋常じゃないので、今は本当にお辛いと思いますけれど、時間がかかっても必ず良くなっていきますので一緒に頑張りましょうo(-`д´- o)
何か分からないことがあったらいつでも聞いてくださいね。
ろーざさん
返信ありがとうございます。友達にも相談出来なくて、1人で悩んでたので本当に嬉しいです。
処方されている漢方ですがクラシエ桂枝茯苓丸料エキス細粒とクラシエ加味逍さん散料エキス細粒です。はじめは漢方を飲んでるからむくんでるのかなと考えてたのですが、脱ステの副作用なんですね。
夜も寝ている時に無意識に頬をかいてしまってます。頬は少し赤くてブツブツはなく火照りもあまり感じられないです。乾燥はしていてゴワゴワしています。ステロイドはどちらかというと頬に塗ってました。
鼻の横あたりからは膿が出て来たんですが、頬は全然出てきません。
ろーざさん、膿は出てこないと治っていかないですか?
周りに同じ病気の人や経験者ってなかなかいないですし、顔のことですから相談しにくいですよね。
桂枝茯苓丸と加味逍遥散の2種類なんですね!
どちらも酒さ様皮膚炎で処方されやすい漢方で、ホルモンバランスを整える効果もあります。
私は桂枝茯苓丸には色々な効果を感じました。
酒さや赤ら顔治療に用いられる加味逍遙散。効果や効能と3ヶ月飲んだ感想をまとめました
酒さにも処方される桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)。効果や効能と飲んだ感想。美白されたのは気のせいか?
寝ている時のような無意識状態で顔を掻いてしまうのはある程度仕方ないので、爪を短くしておくとか、手袋をつけて寝る、とか寝具を肌に優しいものにする、などの対策を取って少しでも掻き壊しダメージを減らすといいです。
掻いてしまうと罪悪感に苛まれて夜もしっかり寝れなんじゃないかと思いますが、掻いた分も含めてしっかり治っていきますから、今だけの辛抱だと思ってもう少し頑張りましょうね。
寝る時に顔を掻いてしまうのはどうしたらいい?辛い顔の引っ掻き対策
ステロイドを塗っていた部分は象の肌というのがふさわしいくらいゴワゴワして乾燥していると思うのですが、膿やブツブツの具合などはかなり個人差があります。
使っていた期間やステロイドの強さ、個人の肌質なんかが関係してくるようです。
ですので、ネットなんかで見かける体験談と多少違っていても問題はありませんので、気になさらないで下さいね。
膿は出てこなくてもしっかり治っていきますし、そもそも膿が出ないタイプの人もいるので、出てこないならそれに越したことないです。
肌の状態にも波があって、良くなったと思ったら少し悪くなって、を繰り返してその度に不安でいっぱいになりますが、絶対に良くなっていきますよ!
あまりにもひどい状態にほんの少しのことでもとっても気になって不安になると思うのですが、私で良ければいつでも聞いてくださいね。