酒さ様皮膚炎発症時はやけどをしたように顔が真っ赤に腫れあがります。実際に肌が炎症を起こしてしまっている訳ですが、同時に膿やブツブツが出たりリンパ液が流れてきたりと炎症だけでは済みません。
炎症部位は冷やすのが効果的ではありますが、ただでさえ傷つきやすい発症時の肌は少しの刺激にも敏感です。特に発症直後の一番ひどい状態では下手に冷やすと逆効果になる事も。酒さよう皮膚炎の治療では肌を刺激しないことが最優先事項のため、冷やすとしてもなるべく肌に優しい冷やし方を覚えておきたいところです。
ここでは肌になるべく負担をかけず、効果的に炎症部位を冷やす方法をご紹介します。
もくじ
ほてり、炎症は発症直後が一番深刻
酒さよう皮膚炎の特徴的な症状に炎症があります。ひとくちに炎症と言ってもちょっと赤くなる程度のものから火傷のようなものまで色々ありますが、酒さ様発症時の炎症はとてもひどいものです。火傷のような炎症と共にほてりや灼熱感だけでなく、膿をもったニキビ状発疹やリンパ液などの症状まで現れます。
こういった症状は脱ステロイドを開始して数日すると現れてきます。酒さよう皮膚炎はステロイドの副作用で発症する皮膚病ですので、治療開始は脱ステロイド開始と同時という方が多くいます。私の場合は2日ほどであっという間に腫れあがったのを良く覚えています。
脱ステロイド開始直後は発症部位が一大炎症を起こしているのが普通ですし、炎症に伴うほてりや灼熱感は意外と辛いものです。ほっぺがポカポカならかわいいものですが、酒さ様皮膚炎の炎症はそんなかわいいものじゃありません。
ほっぺは常にジンジン、ヒリヒリ。下手すると赤いとこ、脈打ってるの分かるんですけど。
なんて状態も。
冷やすのは効果的
炎症部位を冷やすのはとても効果的です。幹部は熱を持っていますので冷やす事によって熱を取ることができますし、なにより冷やすととても楽になります。
酒さ様皮膚炎の例ではないですが、単純に火傷などで炎症した時って冷やしますし、熱を出したときも冷やします。のぼせやほてりなども冷やしますよね。酒さ様皮膚炎発症時の皮膚はまさに延焼して熱を発している状態。冷やすのは合理的ではあるんです。
ただし、冷やしたから次の日には治る!というようなものではありません。どの方法もそうなのですが、この病気の治療には非常に長い期間がかかります。その中で少しでも楽になる方法、少しでも早く良くなる方法の一つが「冷やす」という行為なのです。
肌に負担をかけない冷やし方
肌を痛めるくらいなら冷やさない
さて、幹部は炎症が大暴れしている状態なのですが、冷やせれば何でもいいという訳ではありません。「肌に負担をかけない冷やし方」が大事です。「冷やす事」と「肌を痛めない事」のどちらが大事かと言えば
肌を痛めない >>>> 冷やす
というくらい肌を痛めないことは重要です。肌を痛めるくらいであれば冷やさない、何もしない方がマシです。
具体的な冷やし方
肌を痛めないことを前提にどのような冷やし方がいいかというと
- 保冷剤を冷凍庫で冷やす
- ガーゼなどの柔らかい布でくるむ
- 幹部にそっとあてる
- 30分程度おく
というプロセスをまず基本に考えます。これを基本に自分の肌状態によって保冷剤をただの水にしたり、時間を短くしたりと細かく調整していきます。
私の場合を例に挙げると、発症直後の炎症がひどい時は30分くらい冷やしておいた方が良かったのですが、数週間たって炎症が治まってきたら30分は冷やしすぎで肌が痛くなりました。また、保冷剤をくるむ布はタオルだと刺激が強すぎる上にあまり冷えなかったのですが、ガーゼのハンカチで包んだら刺激を感じず冷却効果も感じやすくなりました。
個人差による調整方法
この調整には当然個人差が出てきますが、同じ人でも病状の進行具合やその日の体調、肌状態によって変わるものです。この辺りの個人差や環境差が改善法を一概にマニュアル化できない部分でもあるのですが、大事なのは「自分の肌がどう感じているか」という事です。
冷やしすぎれば肌が痛く感じるはずですし、ガーゼなどが肌の刺激になっていれば当てていた部分がヒリヒリするはずです。そういった場合に大事なのは
- 冷やしすぎなら次は保冷剤じゃなくて水にしてみよう
- 30分を20分にしてみよう
- ガーゼがダメならもっと柔らかい布にしよう
- これ以上柔らかい布はないからラップにしてみよう
などの工夫です。自分の肌状態を最も良く分かるのは他ならぬ自分自身だったりします。
パッティングによる冷却
パッティングは美肌だけでなく冷却にも有効なのですが、コットン自体の刺激や化粧水の成分が悪化を招かないかは大いなる不安要素です。だからといって手でずっと顔をパタパタ叩いているわけにもいきません。炎症がひどい時は化粧水やコットンを使用したパッティング自体控えるのが一番です。
その上で、炎症がおさまってきた肌にはパッティングでの冷却も視野に入れたくなります。そういった場合でもコットンはなるべく使用しないほうが無難です。どんなにいい素材の高級コットンでも自分の指より優しい素材はありません。
コットン使わないとすぐ水分がなくなっちゃうじゃない、と思うかもしれませんが水分補給よりも肌に刺激を与えない事の方が優先だという事を忘れないようにしてください。
応用編
上記を応用して
- 外出時、保冷剤をハンカチで包んで持ち歩く
- ビニール袋に水を入れて頬にあてる
- ラップの上からパッティング
- パッティング用の化粧水を冷蔵庫で冷やしておく
- ハンカチをあてた上からそっと扇ぐ
などなど、色々な冷やし方があります。どれか一つのやり方にこだわるのではなく、自分の生活スタイルに合わせてやりやすい方法を取り入れていくのが大事です。
やってはいけない冷やし方
これまでは炎症を起こした肌をいかに刺激を与えずに冷やすか、という事を見てきました。逆にやってはいけない、やらない方がいい冷やし方はどのようなものでしょう。
風を直に当てる
扇風機などの風を直接顔に当ててはいけません。お風呂上り、扇風機の前に顔を出して・・・・ああ、気持ちいい。気持ちは分かりますが、扇風機の風で肌が乾燥してしまいますので止めましょう。。。
酒さ様治療中の肌はただでさえ乾燥します。炎症を起こしているため水分はどんどん逃げていく上に、肌が弱っているので水分を蓄えられません。自分から乾燥を招く行為は止めましょう。
冷却ジェルをそのまま貼る
冷えピタなどの冷却ジェルを直接肌に当ててはいけません。本来は発熱時に使用するもので、おでこに貼るのが一般的な使い方です。肌に貼っても大丈夫なように作られているはずですが、それは通常の肌の場合です。
治療中の肌はちょっとした刺激にも敏感です。保冷ジェルの成分が肌に悪さをしないとは限りません。「ジェルの部分は絶対に私の肌にいい」という確証が持てないのであれば肌に直接当てるのはやめましょう。ジェルが悪化因子になるくらいなら冷やさない方がマシなのです。
保冷剤などがなくてどうしてもすぐに冷やしたい場合は
- ビニールに入れた水を使用する
- ラップの上から保冷ジェルを当ててみる
など、ジェルが直接肌に触れないような工夫をしてみて下さい。
氷水
氷水を顔に当てる行為は冷やしすぎに繋がり、却って肌を痛めます。炎症がひどい時は常温の水でも十分に冷たく感じるはずですし、冷たく感じれば冷却効果はちゃんとあります。
「冷やせば冷やすほどいい」と思ってしまいがちですが、何事にも限度があります。低温やけどなどをしてしまったら元も子もありません。せっかく治ろうとしている肌を悪化させない為にも、氷をたくさん入れた水を使うのはやめましょう。
保冷剤を肌に直接当てる
これも上記の氷水と同様の注意です。いくら冷やすのがいいとは言っても保冷剤を直に当てるのもいけません。刺激になりそうなものはなるべく控えるか、刺激を抑える工夫(保冷剤であれば何かで包む)をしましょう。
まとめ
患部の冷やし方を長々と語ってきましたが、本当に大事なことは冷やすにしても「刺激を与えないように冷やす」という1点だけです。そういった観点を持っていれば、自分で肌の状態を見極めながら適度な応用ができるようになります。私もまだまだですが、酒さ様になってしまってから自分で色々と試してまざまざと実感した事は
「肌にいいことをするよりも、肌に悪いことをしないようにする方が、肌は一層改善する」
という事です。冷やす事は炎症を抑えるのにとても効果的ですが、肌の刺激になってしまったら逆効果です。「自分の肌に合う」状態を探すのは難しくもありますが、肌に合っている生活やお手入れを続けていると必ずどこかで「すごい良くなった」と実感できる時が来ます。
炎症部位を冷やす事に対しても、「刺激になるくらいならやらない」という姿勢を大事にしつつ、自分に合った方法を探していくといつの間にか自分に合った冷やし方が身についているものです。できる事から少しずつ取り組んでいってみましょう。