アルコールの悪影響と飲酒で酒さよう皮膚炎が悪化する理由

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こぼれた赤ワイン

酒さ様皮膚炎では、摂取すると悪化しやすいため避けた方がいいと言われている物質がいくつかあり、アルコールや紫外線はその代表的なものです。

特にアルコールの悪影響はその他の物質よりも大きいようで、全米酒さ協会ではアルコールの影響を受ける人は52%に及ぶというデータが提供されています。この数値は経口摂取するものの中では一番高い数値となりますので、全ての食べ物や飲み物のうち最も避けるべきなのはアルコールであるという見方もできます。

アルコールに関してはわざわざ言われなくても、良くないと言われれば「そりゃそうだよな」と思ってしまうくらい身体に対する悪影響は認知されています。今回は酒さ用皮膚炎とアルコールについて考えてみたいと思います。

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酒さ様皮膚炎の悪化因子

酒さには特定の悪化要因があるようで、「これをすると顔の赤みが増す」と言った体験や「何かを口にするとブツブツがひどくなる」などの経験をされる方は多くいます。「暖かい部屋に入ると急に顔がほてる」といった体験や「特定のものを食べるとニキビが悪化する」などの経験は決して珍しい訳ではありません。

酒さの悪化因子はある程度特定されており、多くの人が悪化するというデータが出ている物質に関しては特に注意喚起が行われています。

酒さよう皮膚炎は酒さとは違う病気とは言え、病状や症状は同じです。酒さの悪化因子という事は酒さ様皮膚炎でも同様に悪化因子であると考えられますので、できる限り避けた方が良いと言えるでしょう。

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酒さ様皮膚炎とアルコール

アルコールが酒さに悪影響を与える可能性は全米酒さ協会のホームページに記載されており、1,066人の酒さ患者に対する調査を行ったうちの52%がアルコールの悪影響があったそうです。ほとんど半数ではありますが、思ったより少ないと感じました。逆に約半分の人はアルコールが平気だという方がびっくりです。

アルコールの血管拡張作用

アルコールの酒さに対する影響ですが、一番の悪影響として血管に対する刺激が挙げられます。アルコールを飲むと顔が赤くなる人はたくさんいますが、この「顔が赤くなる」は酒さの症状そのものです。

酒さ様皮膚炎の症状
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顔が赤くなるという事はそもそも血管が広がっているのですが、これはアルコールに血管を拡張させる作用があるからです。

アルコールの働きは単純ではないようで、血管を収縮させて血圧を上げる事もあれば、反対に拡張させて血圧を下げる事もあるそうです。では、どういう場合に収縮させてどういう場合に拡張させるかに関しては、国立循環器病研究センターの資料が分かりやすかったのでそのまま引用します。

アルコールの作用はまことに多彩です。心臓の働きを強めることも、逆に弱めることもあり、血管を収縮させて血圧を上げたり、反対に、拡張させて血圧を下げたりすることもあります。

こうした変化とその程度は、長年飲んでいるかどうか、毎日かそれとも時々か、1回にどれだけ飲むか、さらに飲酒してからの時間、体質(感受性)の差などによって異なりますから、単純ではありません。

ふつうアルコールを飲むと、一時的ですが血圧が少し下がり、脈拍が増えます。私たちの研究でも血圧の低下は明らかでした。

とくに、飲むと顔が赤くなる人では、血圧の低下も脈拍の増加も大きくなります。これは、アルコールの代謝に関係している酵素の働きが遺伝的に弱いために、アセトアルデヒドという物質が血液中に増え、血管を広げるためです。

引用:国立循環器病研究センター – 飲酒、喫煙と循環器病

お酒を飲むと赤くなる場合は血管が広がっている、との事です。考えてみたら当たり前なんでしょうけど、顔が赤くなる事と血管って医療関係者でもないとなかなか結びつきづらいですよね。

酒さ様皮膚炎と血管拡張

酒さや酒さ様皮膚炎では血管の拡張は厳禁です。病気の症状として顔が赤くなる事が挙げられますが、これは「血管の異常拡張」や「皮膚の萎縮」が原因です。

簡単に言うと、血管が開いている上に皮膚が薄くなっているから血管の赤みが顔に出て赤ら顔になるという仕組みです。酒さは原因不明なことが多いですが、酒さよう皮膚炎の場合はステロイドを使用したために起こります。

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酒さ様皮膚炎の場合は、ステロイドの離脱症状により初期段階では火傷をしたような炎症を起こします。ある程度炎症が治まっても顔の赤みは残ることが多く、そこからは酒さと同様の治療となります。そのため症状が落ち着いてきたら、酒さか酒さ様皮膚炎かの区別はそれほど重要ではなくなります。

どちらの場合であっても血管を刺激するアルコールに関しては慎んだほうが無難です。

アルコール体験談

皮膚萎縮の前提

私が酒さ様皮膚炎を発症した時は妊娠していたため、発症時はアルコールの摂取をしていない状態ではありました。

元の皮膚疾患がニキビで、1ヶ月に1回程度ミノマイシンという抗生物質を飲み、ロコイドというステロイドを塗っていました。妊娠前はステロイドを3日以上連続で塗った事はなかったんですが、発症した時は妊娠でミノマイシンが飲めなかった為、7日間連続でロコイドを使用して酒さ様皮膚炎を発症しました。

酒さ様皮膚炎発症まで
酒さ様皮膚炎発症までの数年間を振り返りながら書いていきます。元々の肌質や治療暦、酒さ様皮膚炎を発症するきっかけなどの記録になります。リアルタ...

当時はこの程度でステロイドの継続使用にあたるとは思えなかったんですが、今の肌を触ると当時に比べて明らかに厚みがあるので、ステロイドの副作用で肌が薄くなっていたんだと思います。

アルコール摂取量

この記事を書いている時点でも妊娠継続中のため今は飲んでいませんが、妊娠前はお酒大好き人間でした。当時のアルコール摂取量は週に1~2回。量は1回につき500mlのビールが3本くらい。特別な時にビールがワインになったり、という事もありました。

顔が赤くなるのを通り越して

お酒を飲むと顔が赤くなるのは元からなのですが、ミノマイシン+ステロイドでのにきび治療時代には頬が赤いなんて可愛いものじゃなくなっていました。

ある日の夜半、私は気持ちよく飲酒中。主人に「顔の赤みが尋常じゃない」と言われて鏡を見たときの事です。赤いを通り越して黒い。紫すら通り越してどす黒い赤みを帯びた頬だったのを覚えています。

そりゃあ私の飲んだ時の顔を見慣れている主人にすら「尋常じゃない」と心配されるわけです。近しい主人に驚かれるくらいですので、他人様から見たらなおひどいもんだと思います。鏡を見た自分ですら驚いたほど不健康そのものな赤みです。そして、とにかくほてっている頬。触ってみるとものすごく熱いです。

まぁ・・飲んでるし。

あほな私はこれを放置してしまったんですね。

無知は自己責任

顔があり得ないくらいの赤みだったにも関わらず、その日はそのまま飲んで寝て、次の日には元に戻っていたのですっかり忘れてしまっていました。「昨日はお酒が回りすぎちゃったんだなぁ」なんて呑気なことを考えていました。

「なんかやたらどす黒いのは何でだろうなぁ。」とか「ここまで赤いと病気だよなぁ。」という意識はあったのですが、全てを「飲んでるし」とアルコールのせいにしてました。

この時に皮膚が薄くなっている事や血管の拡張のせいで顔に赤み(黒み?)が帯びていた事に気付いていれば、ミノマイシン(抗生物質)が飲めないからと言ってステロイドに頼ることはなかったかもしれません。

たら、れば、を言っていても仕方ありませんし、こうなったのは誰のせいでもなく自分の責任です。なってしまったものは全力で改善しつつ同じ過ちを繰り返さないように気をつけていきたいと思います。

まとめ

酒さでも酒さ様皮膚炎でも、血管の拡張や皮膚の萎縮を正常に戻すのが完治と呼べる最終的な目標となります。そのため血管の異常拡張が起こっている以上は、血管を刺激する行為は一切控えるべきと考えられます。アルコールに関しては血管を拡張させる効果があるので

酒は百薬の長という言葉もありますが、例え血管を収縮させる方向に働いたとしても拡張・収縮に限らず血管を刺激する行為を慎んだほうがいいと言えるでしょう。

ただ、酒さ様皮膚炎に関しては長い治療期間を覚悟しなくてはいけませんのでお酒好きな方には辛いです。ストレスもアルコール以上に悪化を引き起こす要因として挙げられていますので、ストレスを溜め込むくらいなら適度にたしなむくらいには付き合っていきたいものです。

但し、酒さ様発症直後の炎症期には避けた方が無難です。顔が火傷のように炎症を起こしているのに飲酒というのは到底お勧めできません。他のどんな改善をしても、飲酒だけで炎症が悪化してもおかしくありません。少し炎症が治まってくるまでは控え、その後は様子を見ながら適度に楽しむようにしましょう。

もちろん止めるにこした事はありませんが、止められないなら自分の顔の様子を見ながら飲むようにしてください。必ず何かしらの変化はあるはずですのでそれをきちんと覚えておき、飲む量や回数などを調整してみてください。お酒を飲むにしても、症状の変化を意識するのとしないのとでは大幅に違います。酒さ様皮膚炎とアルコール。本来は相性が悪いものですので自分の調子を見ながら上手に付き合っていきたいですね。

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