ヒルドイドとワセリン。酒さよう皮膚炎の肌に処方保湿剤の代表2つはどちらが良いか

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ヒルドイド

酒さよう皮膚炎の発症直後はただれたような炎症があり、通常使用している化粧水や乳液などのスキンケア用品が使用できなくなります。炎症が少し落ちついてきてからも皮むけ期に入ることが多いので保湿剤を塗りたくなります。

そういった時に病院から処方される事が多い保湿剤はヒルドイドかワセリンです。酒さ様皮膚炎に限らず、病院で処方される保湿剤と言ったら9割がたこのヒルドイドとワセリンだと思います。

今回はこの2つの特徴を見比べながら酒さよう皮膚炎の肌にはどちらを使用したらいいかを考えていきたいと思います。

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もくじ

保湿剤の必要性

酒さよう皮膚炎発症時ですが、保湿剤を塗ったほうがいいか塗らないほうがいいかに関しては肌の状態によります。同じ人であっても肌の状態が最悪の時には、保湿剤どころか洗顔すらしない方が改善が進みやすいです。

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これは洗顔や保湿剤による影響が、その本来の役目を果たして良い方向に改善するよりも刺激となってしまう方が上回るからです。保湿剤であれば、保湿することによって肌を保護・改善する効果よりも、保湿剤の成分そのものや保湿剤を塗る事によって肌に触れる刺激が上回ってしまう場合があります。こういった場合には、むやみに洗顔や保湿で改善しようとせず、何もしない事で最大限に肌を保護してあげる必要があります。

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何も塗れないくらいに悪化してしまった肌状態が少し改善したら、様子を見ながら保湿剤を試していきます。ここで保湿剤の使用にこだわる必要はありません。何もしない方が調子がいい方は無理に保湿剤を使用する必要はありません。

安全性

保湿剤を使用できるようになったとは言え、酒さ様の肌ではなるべく安全性の高い製品を使い、肌へのダメージは最小限に抑えたいものです。保湿剤を使い始める時もなるべく刺激の少ないものから使用していくようにして下さい。

今回比較するワセリンとヒルドイドに関しては、病院から処方されるくらいのものですのでどちらも安全性に関しては高く、下手なスキンケア用品を使用するよりはこちらの方がいいと思います。

ワセリンとヒルドイドの安全性比較

この2つの中でさらに安全性を比較する場合

ワセリン > ヒルドイド

となります。但し、ワセリンにも種類がありますし、ヒルドイドにも種類があります。そういった種類によって多少の違いは出てきます。

ワセリンの安全性

ワセリンの安全性は非常に高く、医療現場でも傷口の保護に使用されるほどです。なめても無害なため、赤ちゃんにも使用されます。目にも使用することができます。

ワセリンが安全な理由は、ワセリンが人体と反応せず皮膚や粘膜に浸透しないからです。ワセリンを塗ると皮膚の表面にそのまま留まり、角質に浸透しないため皮膚の保護には非常に適しています。

ワセリンそのものは非常に安全ですが、ワセリンにも純度の違いによる種類があります。当然ですが不純物が多いほど肌が反応する確率は高くなります。購入する際にはなるべく不純物の低いものを購入することでより安全性が高まります。

純度の高い順にランキングにしますので参考にして下さい。

  1. サンホワイト
  2. プロペト
  3. 白色ワセリン
  4. 黄色ワセリン

サンホワイトは純度が高すぎて処方薬としては認可が下りず、化粧品という扱いになっています。そのため逆に一般的な薬局などで簡単に手に入れることができます。

お医者さまが処方して下さるワセリンはプロペトもしくは白色ワセリンというものです。どちらでも安全性に問題はありませんが、プロペトの方が純度が高く不純物は少なくなっています。

個人的には黄色ワセリンさえ避ければそこまで神経質になる必要はないかと思いますが、酒さよう皮膚炎を発症してしまっている場合はプロペト以上のものを使っておいたほうが無難です。

私が皮膚科でもらう時は「プロペトを処方してください」と指定しまいますので、白色ワセリンを処方されたことはあまりありません。主人や娘の処方薬(皮膚科に限らず怪我や病気などでかかった時)には白色ワセリンも使われているのを見かけます。

ヒルドイドの安全性

ヒルドイドも安全性に関しては折り紙つきですが、ワセリンほどではありません。ワセリンは傷口の保護に使用されますが、ヒルドイドはあくまで保湿剤として使用されます。そういった意味で、ワセリンは保湿剤というより保護剤と考えてもいいかと思います。

ヒルドイドに関しては始めは保湿剤として使用されていたわけではなく、血行障害改善のために使用されていた医薬品でした。それが抜群の保湿性により徐々に保湿剤としても使用されるようになり、今では保湿剤として正式に認可されています。

保湿剤として認可されたのは1996年のようですが、ヒルドイド自体が使用されていた歴史はもっと古く、製造元のマルホ株式会社さんのホームページによると1954年から凝結阻止血行促進剤として使用されていたようです。

長く使われている製品は年月による安全性が期待できますし、ヒルドイドに関しては医薬品としても使用されているという信頼性があります。保湿剤として頻繁に処方されていることから老若男女問わず使用されてきており、どれだけ臨床試験を重ねたスキンケア用品よりもはるかに使用されているにも関わらず今だに重大な副作用が報告されていません。

安全性に関しては問題のないヒルドイドですが、やはり万人に合うというわけにはいきません。ワセリンであれば不純物の度合いですが、ヒルドイドであれば製品の種類による配合の違いがあります。

  • ヒルドイドソフト軟膏
  • ヒルドイドローション
  • ヒルドイドクリーム

この3つはどれが安全という訳ではなく配合成分が違います。ヒルドイドの主成分となるのはヘパリン類似物質というものですが、それ以外にグリセリンやスクワラン、ワセリンなどの配合物が含まれます。この配合物の種類と割合が違うため同じヒルドイドでも使用感などに違いが出てきます。

この配合物に関しては人によって合う・合わないがある為どれが安全と一概に決め付ける訳にはいきませんが、あえて順位をつけるとすると

  1. ヒルドイドソフト
  2. ヒルドイドローション
  3. ヒルドイドクリーム

の順で刺激になりにくいと思われます。これはあくまで配合物による確率の問題なので、人によってソフトはダメでローションなら大丈夫だった、という事は十分にあり得ます。

また、ヒルドイドにはジェネリックであるビーソフテン(ヘパリン類似物質)というものがありますので、ヒルドイドが合わなくてもビーソフテンなら塗れる、もしくはその逆ということもあります。

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ヒルドイドとワセリンの違い

ヒルドイドとワセリンの違いですが、これはもう明らかに色々違います。

前述の通りワセリンは傷の保護にも使用されますが、ヒルドイドはあくまで保湿剤です。傷には使用しません。ワセリンは保護剤、ヒルドイドは保湿剤と切り分けると使い方の違いも見えてきます。使い方に関しては後述しますのでまずは簡単な違いから。

主成分の違い

ワセリンの主成分

ワセリンの主成分は石油などの鉱物油ですが、ヒルドイドの主成分はヘパリン類似物質です。

鉱物油は身体に良くないと言う声もありますが、石油というのは天然物質です。植物由来のものなら安心だというのは迷信で、毒を持った植物などたくさんありますしウルシでかぶれるのは有名です。植物なら安心、鉱物は危険というのは化粧品を売りたいメーカーのイメージ戦略です。実際には危険な植物がありますし、安全な鉱物もあります。鉱物はそのまま口に入れる物ではないので、肌に塗ると害を及ぼすという安易な宣伝方法が取られます。

ワセリンに関しては精製してあるのでそのまま口に含むことができます。口内の治療にも使用されます。

ヒルドイドの主成分

一方ヒルドイドのヘパリン類似物質ですが、これは「ヘパリン」という物質に似ているからつけられた名前です。では、ヘパリンとは何かというと人間の臓器(肝臓)で作られている「ムコ多糖類」の仲間で保湿成分の一種です。ムコ多糖類のお仲間にはコンドロイチン、ヒアルロン酸などが含まれます。

ヘパリン類似物質はコンドロイチンをさらに精製した天然成分で、水と結合しやすく肌馴染みがいい事が特徴です。ヘパリン類似物質の作用としては以下の3つが代表的です。

  • 保湿作用
  • 血行促進作用
  • 抗炎症作用

使用感の違い

ワセリンが油性成分である事に対し、ヒルドイドは油性成分と水性成分を混ぜたものとなります。

当然使用感はワセリンがベタベタとするのに対し、ヒルドイドは乳液のようにサラッと使えます。これは大まかな違いで、ワセリンでもサンホワイトと黄色ワセリンでは使用感が違いますし、ヒルドイドでもローションとソフトの使用感は違います。

ワセリンはべたべたとする上に伸びが悪く肌に塗るのにコツがいりますが、ヒルドイドは伸びが良く、ソフトでクリーム程度、ローションでは乳液のような感覚で使うことができます。

保湿効果の違い

保湿効果に関してはヒルドイドが圧倒的です。ワセリンに保湿効果自体はあまりありません。但しワセリンには抜群の保護効果があります。皮膚を保護することによって水分が逃げず、結果的に保湿効果も得るといった感じです。下手な化粧水を塗りっぱなしにするよりは、ワセリンのみの方が水分保持能力は高まります。

皮膚刺激の違い

皮膚への刺激に関してはワセリンが圧倒的に低いです。ヒルドイドも安全性の高い製品ではありますが、傷の保護にすら使われるワセリンには叶いません。

ワセリンは鉱物油を精製したもので成分がシンプルです。成分と言っても元となる鉱物油のみでそのほかの要素としては精製具合による不純物の割合程度しかありません。

対してヒルドイドは主成分のヘパリン類似物質だけでなく、その他の成分を混ぜています。油性成分と水性成分を混ぜているため、乳化させるのにどうしても界面活性剤を含んでいます。様々な物質を含むがゆえに皮膚に対する刺激も出やすいと考えて下さい。

肌への効果の違い

ワセリンは純粋な油性のため肌には浸透しませんが、ヒルドイドは肌に浸透します。

このため、ワセリンは肌の表面に膜を作って水分を逃がさないようにする効果に優れています。対してヒルドイドは肌に浸透していき、肌の内部の水分を補う効果に優れています。

こうしたアプローチの違いからワセリンとヒルドイドは用途によって使い分けることができますが、だからこそ同時に使う事もできるのです。

具体的にはヒルドイドで水分を補いワセリンで補った水分を逃がさないようにする、といったような使い方が挙げられます。次からは両者の使い方を詳しく見ていきましょう。

ヒルドイドの使い方

ヒルドイドに傷の治りを良くする作用がありますが、傷口に直接は使いません。じゅくじゅくしている傷口やただれに塗ってはいけないと明記されています。また、血液凝固抑制作用がありますので、出血している部分に使用してはいけません。つまり、酒さ様皮膚炎発症初期の炎症期には使用しないほうが無難です。

使うとしても皮膚表面の細かい傷が癒えてきてから使います。水がしみるような状態で使ってはいけません。そういう時にはヒルドイドを使わずワセリンを使います。

またヒルドイドには血行促進作用がありますが、この作用が却って顔の炎症を悪化させる可能性があります。ヒルドイドを塗ってみて赤みが増す場合には使用を中止します。ピリピリしたり普段と違った違和感を感じた場合も使用しないで下さい。

使用できるのは、顔に塗っても赤みが増さず違和感を感じない場合のみです。

使用できる状態の肌であれば、保湿作用や血行促進作用が良い働きをしてくれるはずですが、使用できない状態の肌に無理やり使用すると悪化する恐れすらあります。

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ワセリンの使い方

ワセリンは保湿を期待するよりも、皮膚保護という観点で使用します。酒さ様を発症してしまったばかりの炎症期にも使用できます。但し、使用にはコツがいるので決して皮膚をこすらないように注意して使用する必要があります。ワセリンを塗るために皮膚をこすってしまうくらいなら塗らないほうがいいです。

酒さ様発症直後は炎症がひどく、皮膚も突っ張って痛かったりします。こういった時に刺激が少なく皮膚を保護してくれるワセリンは最適です。膿やリンパ液で皮膚表面が傷ついており、水すらしみる場合はワセリン厚めに塗り皮膚を保護しておくと新たな傷がつきにくくなります。

顔は布団や枕で寝ている間にこすれたりしますが、ワセリンはこういった刺激からも守ってくれます。特に発症直後の炎症期では保冷剤と同様強い味方になってくれました。炎症がひどいとき限定でしたが、枕や布団でこすれるのを保護するためにワセリンを塗った上からマスクをして寝ていました。とにかく肌を保護したい時期にはワセリンです。

また炎症期を過ぎた後、保湿剤を使用できるようになったらヒルドイドの上からワセリンという使い方もできます。この使用方法は保湿性能は抜群なのですが、保湿が過ぎて熱がこもりすぎる場合もあります。この辺はもうどの期間ならこう、と一概に決められない部分ですので肌状態を見ながら使用してください。

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まとめ

病院で処方して頂ける代表的な保湿剤のヒルドイドとワセリンを比較してみました。酒さ様皮膚炎治療中ではどちらも頼もしい味方になってくれますが、使い方を間違えると悪化の原因にもなります。

ワセリンもヒルドイドも割と簡単に処方してもらえます。ただ、肌の状態を見て今は使わないほうがいい、とかこういう状態になってからこのくらい使ってください、などの指導が行われることはあまりありません。こういった使用法に関しては、診察時間や個人の肌質による部分も大きいところから、お医者さまが個別に指導するというのは非常に難しいのではないかと思います。そこまで丁寧に指導する場合は医療でなく美容の分野になりかねませんし、お医者さまは美肌指導をする訳ではありませんので仕方のない部分もあります。

自分の肌状態が一番分かるのは自分自身。どちらも素晴らしい保湿剤ですので、自分の肌状態に合った使い方をして少しでも早く酒さよう皮膚炎を改善したいですね。

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ヒルドイドとワセリン。酒さよう皮膚炎の肌に処方保湿剤の代表2つはどちらが良いか
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