イオウカンフルローションはニキビ治療に良く用いられる塗り薬です。
酒さよう皮膚炎の治療は元となる皮膚疾患の治療も続けながらとなる事が多く、私の場合は元の皮膚疾患がニキビでしたので、酒さ様の症状が小康状態となった今でもニキビはポツポツと出てきます。
そのため、酒さ様の治療とは別にニキビの治療薬としてイオウカンフルローションという塗り薬が処方されているのですが、このお薬は酒さよう皮膚炎の肌に使うには注意がいります。
今回はニキビ治療に良く用いられるイオウカンフルローションの特性や使い方、酒さ様肌に使う際の注意点などをまとめていきたいと思います。
もくじ
イオウカンフルローションとは
イオウカンフルローションはその名の通りイオウとカンフルを混ぜた塗り薬です。塗り薬と言っても軟膏やクリームではなくローション状のもので、硫黄が沈殿しており独特のにおいがあります。
主成分にイオウとカンフルの2種類あるため、硫黄の作用とカンフルの作用の両方を得ることができます。
イオウ(硫黄)の作用
イオウには
- 角質柔軟作用
- 脱脂作用
- 殺菌・殺虫作用
があります。
硫黄は各地の温泉に含まれていることで有名な成分ですね。
腐った卵のような匂いがすると評判ですが、イオウカンフルローションでももれなく硫黄の匂いがします。苦手な人は塗りにくいかもしれませんが、私は慣れてしまいました。
カンフルの作用
カンフルには
- 消炎作用
- 鎮痛作用
があります。どちらもおだやかなものです。
イオウカンフルローションの効果
イオウの作用、カンフルの作用ともにニキビに対して効果を発揮してくれます。
硫黄の角質柔軟作用は角質を柔らかくして毛穴をつまりにくくします。
ニキビは毛穴に皮脂がつまる事によって起こりますので、イオウの脱脂作用も有効に働きます。
また、皮脂腺の活発なニキビにはアクネ菌が繁殖していますので殺菌作用もありがたい作用です。
また、ニキビ部分は炎症を起こしていますのでカンフルの消炎作用もありがたい効果です。
作用だけを見ていくと非常に有効に感じますが、イオウカンフルローションの角質柔軟作用や脱脂作用が悪く働く場合もあります。
主には乾燥が原因で起こる大人ニキビには角質柔軟作用や脱脂作用が悪く働く可能性もあります。
逆に思春期ニキビに代表されるような皮脂の過剰な分泌によるニキビには良く効く場合が多いです。
酒さ様肌への注意点
酒さよう肌とイオウカンフルローション
前述のように、イオウカンフルローションには角質柔軟作用や脱脂作用があります。
角質柔軟作用というのは簡単に言うとピーリング。脱脂作用の方は乾燥を誘発します。どちらも酒さ様の肌には大敵です。
酒さ様皮膚炎の肌はステロイドの副作用で皮膚が薄くなっており、水分や油分を上手に保持できません。
そのような肌状態のところに角質を柔らかくしたり、乾燥を誘発させるような行為は厳禁です。
酒さ様肌の治療は、まず肌を厚くして自分の力で水分や油分が適切に保持できる状態に戻すことが最優先です。
この目標に真っ向から対立するイオウカンフルローションの作用は、酒さ様皮膚炎の肌を悪化させる可能性があります。
相反する酒さよう治療とにきび治療
イオウカンフルローションは酒さ様皮膚炎の肌を悪化させる可能性がありますが、それでもアクネ菌が増殖しているようなニキビには有効です。
私が医師に処方されたのも、ニキビダニ(アクネ菌)の検査をした上での事でした。
酒さ様の治療とニキビ治療とが相容れない部分なのですが、にきび治療を優先させると酒さ様が悪化し、酒さ様の治療を優先させるとニキビ治療がうまく進まない。
酒さよう皮膚炎にはこういったジレンマがつきものです。
イオウカンフルローションの効果的な塗り方
酒さよう皮膚炎を悪化させず、できたニキビには効果的にアプローチしたい。誰もが思うことだと思いますが、これはイオウカンフルローションの塗り方を工夫する事によってある程度は可能です。
イオウカンフルローションの使用方法
まずイオウカンフルローションの基本的な使用方法をご紹介します。
イオウカンフルローションには沈殿物がありますが、この沈殿物はイオウの粉末です。肌に塗ると、このイオウの粉末が白く残ります。
このため朝は上澄み液のみを、夜は容器を振って良く混ぜたものを塗るようにします。
酒さよう皮膚炎の場合は肌が弱くなっているため、振ったものを塗って荒れるようであれば夜も上澄み液のみ塗るようにします。
イオウカンフルローションの塗り方
朝と夜で使用方法の違うイオウカンフルローションですが、塗り方はどちらの場合でも同様です。
麺棒の先にイオウカンフルローションを染みこませ、その麺棒をニキビの部分にちょんちょんと置くようにつけます。
ローション状だからといって手にとって塗ったりコットンで塗ったりしないようにして下さい。
おでこ全体など広範囲にニキビができているような場合はコットンで塗布したくなりますが、そういった塗り方ができるのは思春期ニキビなど皮脂過剰の場合です。
酒さ様皮膚炎の治療中であれば、赤くもりあがったニキビの先端にのみ麺棒でつける事を心がけてください。
前述のようにイオウカンフルローションの角質柔軟作用と皮脂抑制作用が酒さ様肌を悪化させます。麺棒の先に取って必要な範囲にのみ塗る事によって、ニキビに対するアプローチを行うとともに酒さよう肌を悪化させないような対策としています。
気をつけたいのは、あまり赤くなっていないニキビにはなるべく塗らないという事です。
実際にこの塗り方をしていると肌の赤みが増さないのですが、ちょっと欲張ってあまり赤くないけれども少し盛りあがってる程度のニキビに塗ったところ肌の赤みが増してしまいました。
こんな経験から、コットンなどでニキビ部位に塗ってしまった場合は赤みの改善がかなり遅れるのではないかと思います。
イオウカンフルローションの塗布に関しては慎重に行うくらいで丁度良いです。
長女の思春期ニキビと私の大人ニキビではイオウカンフルローションの塗り方が違いますので参考にしてください。
保湿とイオウカンフルローションはどちらが先か
イオウカンフルローションを塗る時には洗顔後が多いと思います。この時に保湿とイオウカンフルローションとどちらを先に行うかで悩む事も。
まず、医師から指導されている場合はその指導に従うようにして下さい。
そうでない場合、保湿をしっかりと行ってからイオウカンフルローションを塗って下さい。
順番としては
- 洗顔
- 保湿
- イオウカンフルローション
です。
イオウカンフルローションにはピーリング作用や脱脂作用がありますので、保湿を行っていない肌に直接塗るのは刺激が強すぎます。
また、脱保湿を行っている場合でもイオウカンフルローションを塗る場合には保湿を足したほうがいいかもしれません。
そういった場合はイオウカンフルローションを塗布する近辺に、ヒルドイドなど低刺激の保湿剤を使用してみてください。
イオウカンフルローションの入手方法
イオウカンフルローションは処方薬のため、入手するには処方箋が必要です。つまり、医師の診察が必要になります。
イオウカンフルローションはニキビのお薬ですので、にきびの症状があれば皮膚科で処方して頂けます。但し、にきびの症状で受診しても必ずしもイオウカンフルローションが処方されるとは限りません。
イオウカンフルローションは古くから使用されているお薬ですので信頼性がありますが、ニキビ用の新しいお薬もどんどん出てきています。
お医者さまはニキビの肌状態を診た上で処方を決定しますので、他のニキビ治療薬を処方された場合は指示に従ってください。
イオウカンフルローションの類似品
イオウは市販薬に使用することができます。
イオウ自体がニキビに効果的なため、ニキビ用の治療薬や化粧品に含まれている事が多いです。また入浴剤に使用されている事もありますが、硫黄は銀製品を変色させるために注意が必要です。
イオウカンフルローションに一番近いアイテムは、やはりニキビ部分にのみ使用するニキビ治療薬です。
多くのものにイオウが配合されており、使用方法もニキビ部分にちょこんとつけるタイプのためイオウカンフルローションの使用法と似ています。
市販薬の場合はちょこっと付けがしやすいよう、クリーム状のものが多いようです。
クレアラシルやアクネス、ビフナイトなどが挙げられます。
上記の2つにはどれもイオウが3%配合されています。
ビフナイトにもイオウが配合されていますが、どの程度配合されているかは記載されていませんでした。
まとめ
イオウカンフルローションは酒さ様皮膚炎の肌を悪化させてしまう事もあります。ニキビ治療と酒さ治療を平行して行う事ができれば一番良いのですが、薬の作用により正反対の効果を得てしまう場合も多々あります。
ニキビに限らず元々の皮膚疾患と酒さ様皮膚炎の治療が相反してしまうというような事も多くあるのではないでしょうか。
イオウカンフルローションの場合は、塗り方を工夫することによって酒さ様肌へのダメージを最小限に抑えることができます。
今回紹介した注意点は酒さ様肌に限らず、大人ニキビに悩んでいる場合へも応用できます。
イオウカンフルローション貰ったけど使い方がイマイチ分からないという方や、イオウカンフルローションで悪化しちゃうとお悩みの方の参考になれば幸いです。