酒さや酒さ様皮膚炎のような皮膚疾患には日焼けが大敵ですが、日常生活を送っているとどうしても紫外線を浴びてしまう時もあるもの。
日焼け止めを塗りなおす時間がない場合もありますし、酒さの状態がひどいと肌に塗るものを受け付けない時もあります。
焼けないように物理ガードや塗る日焼け止め、飲む日焼け止めを併用していくのが望ましいですが、それでも焼けてしまった時はどうすればいいのか。
きちんとアフターケアをすると、酒さの肌を悪化させずに素早く日常に戻ることができます。
もくじ
日焼け後のアフターケアが必要な理由
日焼けした肌の状態
日焼けというのは火傷の一種。
日焼けをした肌は紫外線によって軽いやけどを負っている状態ですから、肌がヒリヒリと赤くなったり、乾燥して皮が剥けてきたりします。
また、紫外線を浴びることによって活性酸素が発生し、シミやシワなど肌老化の原因にもなります。
日焼け後の肌は熱を持っていますので皮膚の水分が蒸発しやすく、肌の乾燥も引き起こします。
乾燥した肌は本来の機能に必要な水分や油分を維持できないため、肌バリアの低下を引き起こし、炎症を起こしやすくなります。
このように、日焼けには多くの害がありますので、日焼け後のアフターケアをしっかりとしておくことで炎症を抑えることが重要です。
日焼け後の肌は・・・・
- 皮膚に熱を持ち軽いやけどの状態になる
- 熱を持つため水分が蒸発し乾燥する
- 水分や油分が保持できないためバリア機能が低下
- 紫外線による活性酸素が肌老化を引き起こす
酒さと日光トラブル
特に酒さのような皮膚疾患や肌トラブルを抱えていると普通の人よりも焼けやすく、紫外線によるダメージを受けやすい状態です。
酒さの方には「日光過敏症」の傾向がある場合も多いですが、それは酒さ(様皮膚炎)という病気がバリア機能の低下を起こしているから。
バリア機能の弱った肌は通常なら問題にならない量の刺激でも肌の内部に通してしまい、炎症の原因となってしまいます。
酒さ様皮膚炎と紫外線
酒さ様皮膚炎の場合であっても、ステロイドの薬害でバリア機能がめちゃくちゃになっていることは酒さと同様です。
酒さ様皮膚炎の場合は「脱ステロイド」を行うと思いますが、この脱ステ直後の3か月程度はとても日に当たれるような状態ではないかと思います。
この時期は浸出液や膿、落屑(皮むけのこと)で顔中が埋め尽くされていることも多く、化粧水などを使用できる状態にありません。
脱ステ症状がひどい場合、一般的な化粧水などは症状が落ち着き始めてから使うようにしましょう。
日焼け後のアフターケアを行う際に選ぶべき化粧水
日焼け後のアフターケアで大事なのは、以下の2つのポイント。
- 炎症を抑える(抗炎症作用)
- メラニンの生成を抑える(美白作用)
日焼けには種類があり、紫外線を浴びてから数時間で肌が赤くなる「サンバーン」と日焼けから数日後に肌が黒くなる「サンタン」があります。
肌質別。日焼け後に必要な化粧水成分
また、人によって肌の焼け方にも差があり、赤くなって肌の色が黒くならないようなタイプから、赤くはならずに黒くなるタイプまでさまざま。
これは人によって、サンバーンを起こしやすいかサンタンを起こしやすいかの違いがあるからです。
- サンバーンを起こしやすい肌(すぐ赤くなって黒くならないタイプ)
- サンタンを起こしやすい肌(赤くなりにくいが黒くはなるタイプ)
サンバーンを起こしやすい肌におススメ
サンバーンを起こしやすいタイプの肌では、赤く炎症した肌の鎮静が最優先になりますので、「抗炎症作用」のある化粧品を選ぶのがベスト。成分としては「グリチルリチン酸」や「アラントイン」がおススメです。
中でも『アラントイン』は低刺激で、抗炎症作用の他に細胞活性化作用もあります。敏感肌用やニキビ肌用の化粧品にも多く配合されており、酒さでも使いやすい化粧品が多くあります。
成分で選びにくい場合は「敏感肌」用の化粧品や「アトピー」用の化粧品などを。注意点として「ニキビ肌」用に関しては、商品によってアルコールで清涼感を加えていたり皮脂を過剰に取ってしまったりするものがありますが、そういったものは向きません。
サンタンを起こしやすい肌におススメ
サンタンを起こしやすいタイプの肌では、抗炎症作用のある化粧品に加え、メラニンや活性酸素を抑えることのできる美白化粧品がおススメです。
美白化粧品としては「ビタミンC誘導体」や「ハイドロキノン」などが挙げられますが、酒さのような敏感肌や日焼け後の炎症肌に「ハイドロキノン」は刺激が強いです。
また「トラネキサム酸」や「アルブチン」などはメラニンを作る過程を阻害するもので、ビタミンC誘導体やハイドロキノンのようにできてしまったメラニンを薄くする効果は弱いです。
日焼け後は水分補給も必要ですので、保湿効果も兼ね備えているビタミンC誘導体配合の化粧品がおススメとなります。
こちらは「美白」用の化粧品を選べばいいのですが、日焼け後ということも踏まえ効き目の穏やかなものを選ぶようにしましょう。
赤くもなるし黒くもなる・・・というタイプは
多くの方は「赤くなってから黒くなる」という中間の肌質をお持ちだと思います。
そういった場合は、日焼け当日~2・3日目までは炎症を抑える「抗炎症作用」を重視し、それ以降は「美白」を意識したケアをすることで日焼けのほてりとメラニンの両方をケアできます。
特に日焼け当日と翌日程度は、クールダウンを重視した化粧品で肌の炎症を抑えることが大事です。
肌の炎症を抑えきれないと、乾燥やシミ、シワの原因となって肌老化が進みます。また、炎症が抑えきれていないのにビタミンC誘導体のような美白成分を肌に塗ると、却って刺激になってしまうことも多くあります。
まずは炎症を抑えてから美白、というように順序を守ったケアを行ってみてください。
日焼け後に行いたいアフターケアの方法
1、まずはクールダウン。
日焼けをしたらまずは「なるべく冷ます」のが王道。
顔を洗うのもなるべく冷たいお水で洗い、肌の熱を取ることを心がけます。
保冷材などをタオルでくるんで肌にあてるのも有効です。
酒さのような肌トラブルがある場合に気を付けたいのは「やり過ぎない」こと。
冷やしたいからと言って何度も洗ったり、保冷材を長時間顔に乗せたりするのはさらなる肌ダメージの元です。
特に「洗う」という行為はなるべく控えた方がいいので、肌についている日焼け止めやメイクなどを落とすときにのみ行い、クールダウン目的であれば保冷材や後述する「水でのケア」を活用するようにしましょう。
洗顔の際におススメのアイテムは、肌ダメージの少ないミルククレンジングやクリームクレンジング。
純石けんでの洗顔はアルカリが肌ダメージになる上に皮脂を取りすぎてしまう危険性があるものの、界面活性剤が肌に残らないというメリットもあるので、肌に合う場合にはこちらを。
2、水分補給とクールダウンを兼ねて。天然な「水」でのケア。
冷やすケアを行った後には、水分補給とクールダウンを兼ねて天然の「水」を利用したケアを行います。
日焼け後のアフターケアとしては、ほてりを感じた時に何度もシュッシュと振りかけておきます。
肌がほてっている時や乾燥を感じた時に、シューッと振りかけるだけの天然水。
ここで使うのは、「アベンヌウォーター」や「ターマルウォーター」のような温泉水や天然水です。
ただの「お水」でありながら、その産地によってミネラルや有機物などが豊富に含まれます。その含有成分が肌に有効に働き、水道水や蒸留水よりも肌の保水力や柔軟性に優れます。
商品 | 分類 | 成分 |
---|---|---|
ターマルウォーター | 天然水 | セレン |
アベンヌウォーター | 温泉水 | 各種ミネラル |
ウィラードウォーター | 分子構造の異なる水 | 亜炭 |
基本的にはただのお水ですから、炎症を起こしているような肌でも使えることが多く、鎮静効果もあるので日焼け後のアフターケアにも最適。
肌が敏感に傾いている時ほど天然水の力は侮れず、酒さや酒さ様皮膚炎の場合は自分に合う天然水を1本常備しておくのがお勧めです。
私はiHerbで「ウィラードウォーター」を愛用していますが、アベンヌでもターマルでもお肌に合うものを使えばOK。
どこでも手軽に入手できるのは、ドラッグストアでも購入可能なアベンヌウォーターです。ウィラードウォーターを原液で使うよりもコスパは高いのですが、スプレーが柔らかいミスト状で出てきて肌への刺激も少ないので外出時に便利です。
酒さ(様皮膚炎)の状態がひどい場合、アベンヌのような温泉水すら使えないこともままあるので、そういった時には精製水を。
3、抗炎症作用のある化粧品でのケア
日焼け当日~ヒリヒリが治まる数日後までは、抗炎症作用の高い化粧品を使うのがおススメ。
赤くなりにくい人でも、当日はやっぱり肌が炎症を起こしているので抗炎症作用を重視したスキンケアを行っていきましょう。
代表的な抗炎症成分
- グリチルリチン酸2K
- 甘草エキス
- グリチルレチン酸ステアリル
- アラントイン
メディプラスゲル
メディプラスゲルは敏感肌用に作られたオールインワン。開発者自身が重度のアトピーだったため、皮膚疾患のある肌でも使える高機能な保湿にこだわって作られました。
一本でスキンケアが完了するため、日焼け後の肌トラブルもこれ一本でお手入れ可能。
グリチルリチン酸とアラントインの両方が入っており、抗炎症作用も高いため日焼け後すぐの鎮静にも最適です。ヒト型セラミドも3種類入っているので、肌バリアの乱れた日焼け後の肌を正常に導きます。
日焼けで痛んだ肌には、何度も触らずに済むというオールインワンの利点も最大限に得られますし、ほてりと乾燥を感じるたびにケアしたい場合にもオールインワンは最適。
ビタKレッドXトナー
赤ら顔用化粧水の中からはビタKレッドXトナー。
酒さ、赤ら顔向けの成分である「ビタミンK」を中心に、抗炎症作用の高いグリチルリチン酸とアラントインが両方入っているのもポイントです。
お水のようにサラッとしたテクスチャーなので何度もバシャバシャつけてもべたつかず、日に何度かケアしたい日焼け後には最適。
酒さ向けの成分が入っているので、赤ら顔をケアしながら日焼けのほてりも緩和できるのが嬉しいポイントです。
NOVⅢトライアルセット
皮膚科医推奨のNOVブランドから、敏感肌用のNOVⅢシリーズ。皮膚科においてあることも多く、医師におススメされることもある信頼性の高いブランド。常盤薬品工業が作っていますので、品質も確かです。
NOVブランドの中でも最も敏感肌に配慮したシリーズで、肌荒れや乾燥が気になる方に最適。
セラミドを配合したスキンケアでバリア機能の低下をサポートし、乾燥や肌荒れから皮膚を守ります。
グリチルリチン酸2Kまたはグリチルレチン酸ステアリルが入っているため抗炎症作用もあり、セラミドによる肌バリアの強化も期待できる一品。
セラミド入りは「ノブ Ⅲバリアコンセントレイト」「ノブⅢミルキィローション」「ノブ Ⅲモイスチュアクリーム」という高保湿タイプのラインナップのみ。
ライン使いは日焼け後のアフターケアには向きませんが、NOVならドラッグストアで入手できることも多いので外出先の急な日焼けにも対応できる可能性があります。
4、美白効果のある化粧品でのケア
赤みやヒリヒリ感がおさまってきたら、美白効果のある化粧品でケアしましょう。
浴びてしまった紫外線はリセットできませんが、ビタミンC誘導体などの美白化粧品でケアすることで少しでも活性酸素を抑え、肌老化を防ぐことができます。
この時に注意したいのは、美白のみを追求した化粧品だと酒さの肌には乾燥や刺激が気になり使いにくいという点。保湿力や敏感肌にも配慮してある美白化粧品を選ぶのがポイントです。
代表的な美白成分
- ビタミンC誘導体
- ハイドロキノン(強すぎるため酒さや日焼け後には×)
- トラネキサム酸
- アルブチン
- プラセンタ
ディセンシア サエル
保湿をしながら美白ケアができる化粧品。ポーラオルビスグループの開発です。
セラミドとビタミンC誘導体を同時配合しているため、高い保湿力とバリア機能の強化、美白効果を兼ね備えています。
ビタミンC誘導体と相性の良いコウキエキスなどを配合して、相乗効果を高めているのもポイント。
バリア機能を高め、メラニンの生成を抑えながら、メラニンを還元して美白を実現というコンセプトで美白のできる敏感肌用化粧品になっています。
白漢しろ彩
赤ら顔用化粧水の中からは毛細血管の拡張にアプローチできる「白漢しろ彩」。
白漢しろ彩には赤ら顔向けの成分のほか、ビタミンC誘導体も入っているので美白には最適。毛細血管にばかり気が向いてしまいますが、セラミドも入っているので日焼け後の乱れたバリア機能を整えるのにも役立ってくれます。
酒さ向けの成分入りなので、赤ら顔のケアもしながら美白をしたい人にはこちら。
ポイント、化粧水がしみた場合
いざ化粧水を塗ってみてヒリヒリしたり染みたりした場合、無理にその化粧水を使わずに他のケアに切り替えましょう。
ワセリンを使ったスキンケアの注意
酒さや酒さ様皮膚炎でスキンケアができない場合「ワセリン」が多く使われますが、肌に熱を持った日焼け後には却って熱がこもってしまうことも多くあります。
ワセリンというのは保湿剤というよりも保護剤の意味合いが強く、肌にべったりとフタをして水分や油分を蒸発しないために守るもの。
日焼け後のケアには少し不向きではありますが、肌に合っている場合にはワセリンでも構いません。
使う場合には純度の高いプロペト以上のものを使用するようにし、ヴァセリンのように安価で黄色っぽいものは避けるようにしましょう。
普通肌の場合は白色ワセリンでも良いかと思いますが、酒さや酒さ様皮膚炎には「サンホワイト」という最高純度のワセリンをお勧めしています。もしくは皮膚科で「プロペト」を処方してもらいましょう。
化粧水が使えない場合の軟膏ケア
ワセリンも化粧品も使えないとなると、前述の精製水や天然水でのケアがおススメです。ただ、それだけでは当然少し物足りなくなってくるもの。
そういった場合には、肌が荒れていても使える軟膏やクリーム、市販薬も視野に入れてみてください。
市販のかゆみ止めの中には皮膚の保護や傷を治す効果を兼ね備えているものも多く、炎症がひどい場合にはそういった薬に頼るのも一つの手です。
その際には「ステロイド」の入っていないものを選ぶように注意しましょう。一般的にはステロイドの入った軟膏で炎症をサッと抑えるのが有効とされていますが、酒さや酒さ様皮膚炎にステロイドは厳禁とされています。慢性疾患である酒さにとっては対処療法でしかない上、酒さ様皮膚炎発症のきっかけにもなってしまいますね。
また「親水軟膏」のような低刺激な軟膏や、肌に合う軟膏、バームなどがストックにある場合はそちらを使ってのケアでも。
親水軟膏は薬品の基材にもなる軟膏ですから低刺激ですし、軟膏やバームなどは水分と同時に油分も補うことができるためひとつである程度の保湿能力と保護能力があります。
身体の中からできる日焼けケア
水分補給
日焼け後は、皮膚だけでなく体内の水分も減少します。体内の水分が不足していれば肌にも水分が回りません。
こまめな水分補給を行い、体内の水分を補給するようにしましょう。
この時にビタミンやミネラルを豊富に含んだ天然水などを飲むと効率も良いので、積極的に利用していきましょう。
ビタミン、ミネラル
日焼け後は、水分と同時にビタミンやミネラルなども排出されてしまいます。ビタミンやミネラルは人の体の機能が正常に働くために必要な栄養素。
中でも水溶性で肌を作るのに欠かせないビタミンB、ビタミンC、亜鉛などを重点的に補充しておきましょう。
日焼け後などの特別な時には不足分も多くなりますので、サプリなどの利用も考慮に入れるといいです。
たんぱく質
たんぱく質は肌のもととなっている栄養素。血液や筋肉、皮膚を作る主要な成分です。
肉・乳製品・魚・卵・大豆
まとめ
日焼けのような紫外線ダメージは普通の人でもダメージを受けるもの。まして酒さ(様皮膚炎)ならなおさらです。
皮膚疾患を患っていると日焼けや紫外線のダメージを受けやすい上、受けた後の回復も遅いので少しの油断で肌がボロッボロなんてことも良くあります。
それでも酒さとの付き合い方というか、紫外線にあたるとどうなるかをふまえ、日光を浴びてしまった時にトラブルケアを身につけておくと受けてしまった紫外線ダメージを最小限に留めることができます。
わたしもここで紹介したようなやり方で紫外線ダメージを抑え、夏などは子供たちをプールに連れて行ったり、海に連れ出したりすることもできる程度にはなりました。
もちろん、塗る日焼け止めだけでなく飲む日焼け止めなど、紫外線ダメージを受けないための対策もしていますが、海やプールはそれだけでは足りません。
それに、日々生活していると、どうしても日焼け止めを塗りなおす時間がない時ってあるんですよね。
そんな時でもケア方法さえきちんとしておくと普通よりも回復も早いので、日焼け後のアフターケアに悩んでいる方はぜひ色々試してみて下さい。
言うまでもないことですが、使う化粧品は「自分のお肌に合うもの」を。どんなにスペックが良い化粧品でも合わないものは害でしかありません。
必ずしもここに載っているものを使わなければいけないわけではありませんので、こんな系統の化粧品を使うと良いという参考にしてみてください。
それでは、汗や紫外線で悪化してしまいがちな夏をがんばって乗り切りましょう~。
抗炎症作用のあるセラミドオールインワンで日焼け後の肌をケア
化粧品を使う前のクールダウンには「水」のスキンケアを活用