前回でヒルドイドの特性をざっとまとめたので、今回はヒルドイドの使い方を見ていきたいと思います。
ヒルドイドも種類によって基材が違うため、使用感が違います。テクスチャが違うので当然適した部位や適した使い方があります。
また、基材の違いによってアレルギー反応を起こす可能性が多少なりともあります。
今回はヒルドイドをより安心して使うために、基材の違いを見つつ使用に適した部位や使い方などを見ていきたいと思います。
もくじ
ヒルドイドの特性のおさらい
ヒルドイドとはどういうものかなどの特性や、塗ってはいけない場合がある事などは前回解説しています。
詳細は前回の記事に譲りますが、ざっくりとまとめると
ヒルドイドは安全性も高くて優秀な保湿剤だけど、血行促進作用が酒さ様皮膚炎を悪化させる場合もあるよ
という感じです。
特に悪化させる場合がある事には注意してください。処方薬だからと言って、真っ赤に腫れあがった肌にすら安心して塗れるというものではありません。
ヒルドイドと酒さ様皮膚炎
さて、ヒルドイドは安全性も高く保湿性能も抜群です。酒さ様皮膚炎を発症してしまうとそれまでの化粧水はまず塗れなくなりますので、ヒルドイドが使える状態まで改善した肌には積極的に使っていきたいです。
また、酒さ様治療中は下手な化粧水を塗るくらいならヒルドイドを塗っておいたほうがはるかに安心という利点もあります。
酒さ様皮膚炎治療中の肌はめまぐるしく状態が変化します。炎症が治まったと思ったら皮むけが始まり、小康状態を保っていると思えばリバウンドというように肌状態がくるくると変わります。
そのため、スキンケア法もどれか一つの方法に拘るのではなく、それぞれの利点を踏まえた上で自分の肌状態に合わせたスキンケア法を選択していく必要が出て来ます。
肌状態が悪化した時の第一選択肢はワセリンやヒルドイドですので、酒さ様肌の強い味方です。
また、紫外線を浴びすぎたなどで肌を痛めてしまった日には、普通の化粧水からヒルドイドに戻すことで低刺激のスキンケアを行う事ができます。
ヒルドイドを酒さ様肌のスキンケアに上手に取り入れていくことで、肌の改善の助けになるはずです。
ヒルドイドを使える時期の目安
そんなヒルドイドですが、ワセリンと違って発症直後から使える訳ではありません。ヒルドイドは傷に直接塗ってはいけませんので、発症直後の傷だらけの肌には塗らないほうが無難です。
症状がひどい場合はヒルドイドの血行促進作用によって、ほてりや炎症などがひどくなります。
ではどのくらいの時期から使えるかという事になると、これはその人の肌によってとしか言いようがないのが実情です。肌ってそれぞれ違いますし、症状の出方も人それぞれです。
季節が違うと保湿の仕方が変わるんで、そういった外的要因も加わります。
なので一概にこの時期から使える!という絶対的な指針はないのですが、あえて目安を出すとしたら
ほてりがある程度収まり、炎症も多少は落ち着いてきた肌
で試してみて下さい。
ある程度とか多少とか抽象的で申し訳ないのですが、ヒルドイドの血行促進作用を考えると万人にお勧めするなら炎症が完全に治まってからになります。
ただそれだと塗り始めるのに何ヶ月もかかっちゃいますので、普通の化粧水探したほうがいいわ!って事になります。
ヒルドイドの利点の一つは肌状態が悪くても塗れる事ですので、血行促進作用が悪く働くことがあるというのは念頭におきつつ、少し肌状態が改善したら試してみてください。
ヒルドイドを試し始めるときの注意点
最初から炎症部位にたっぷり塗るのは避け、炎症部位の周辺に少量ずつ塗って試してみます。
ほてりが促進されたり顔の赤みが増すようなら使用を中止し、もう少し肌の改善を待ってから塗りましょう。
人による部分が大きいとは思いますが、大多数の人は炎症が完全に治まるまで待たなくても塗れるようになるはずです。
私がヒルドイドを塗れるようになった時期
私の場合も、炎症が少し治まってから塗り始めました。正確な時期はちょっとうろ覚えですが大体以下の記事くらいの時です。
炎症が治まり始めたはいいけど、乾燥が進行し始めた時期です。炎症自体も完全に治まったわけではなく、発症直後に比べたらまだ良くなった、くらいの時ですね。
ヒルドイドの種類による基材の違い
ヒルドイドは種類によって基材の違いがあり、それが使用感などを変えています。まずは基材の違いをまとめてみます。
全て製造元のマルホさんのホームページから参照しています。
ヒルドイドクリーム
グリセリン、ステアリン酸、水酸化カリウム、白色ワセリン、ラノリンアルコール、セトステアリルアルコール、セトステアリルアルコール・セトステアリル硫酸ナトリウム混合物、ミリスチルアルコール、チモール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、イソプロパノール
ヒルドイドソフト軟膏
グリセリン、スクワラン、軽質流動パラフィン、セレシン、白色ワセリン、サラシミツロウ、グリセリン脂肪酸エステル、ジブチルヒドロキシトルエン、エデト酸ナトリウム水和物、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル
ヒルドイドローション
グリセリン、白色ワセリン、スクワラン、セタノール、還元ラノリン、セトマクロゴール1000、モノステアリン酸グリセリン、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、カルボキシビニルポリマー、ジイソプロパノールアミン
基材を見ると分かるんですけど、全てのヒルドイドにワセリンが入ってます。ワセリンってかなり色々な製品の基材にもなっているので、気付かないうちに使用している人も多いです。
ヒルドイドの記事なのでこれ以上つっ込みませんが、ワセリンもかなり優秀な皮膚保護剤として使えます。
基材が違うと種類も変わる
ヒルドイドには種類があって、有効成分であるヘパリン類似物質は0.3%しか配合されていません。その他の99.7%は他の物質が混ぜられており、それを基材といいます。
その基材の違いによってテクスチャの違いや、時にはアレルギー反応に対する違いが生まれます。同じヒルドイドでも種類によって使い勝手が変わるんですね。
ヒルドイドの種類は上記の3種類がありますが、保湿剤として処方されているのはソフト軟膏かローションが多いイメージです。
また、ヒルドイドのジェネリックであるビーソフテンは基材が全く別物になりますので、ヒルドイドと使い分けたり重ね付けしたりという事もできます。
特にビーソフテンローションは化粧水のようなテクスチャであるため、乳液状のヒルドイドローションと合わせるとそれだけでスキンケアが完了します。
また、化粧水というのは単純にヒルドイドシリーズにないテクスチャですので、ヒルドイドだとべたつきすぎるという場合にも重宝します。
基材の違いから見るアレルギー反応を起こしやすそうな物質
ヒルドイドの副作用ですが、クリームが少数報告されているのに対し、ソフト軟膏とローションは副作用自体が報告されていません。
基材を見ていると確かにヒルドイドクリームには反応しやすそうな物質が含まれています。**アルコールといったものですね。酒さ様肌にアルコールは避けた方が無難です。
全ての人がアルコールに反応するわけではないですし、肌に塗るものと口に含むものは違いますが、その話をし始めると本筋から外れますので自重します。
副作用の報告されていないソフトとローションはどうかというと、ソフトの方が反応しにくいイメージ。
これも人による部分ですが、ローションの方が界面活性剤が多い事とラノリンが入っている事ですね。ラノリンが肌に合わないって話は割と聞いた事があります。
有効成分に関してはどちらも変わらないので、ローションがダメだった人もソフトなら大丈夫という可能性はあります。基材が違いますから逆パターンもあり得ます。
あくまでソフトとローションを比べた場合にどうかというものであって、どちらも副作用が報告されないほど安全性が高いものだという事には変わりありません。
使用感の違い
ヒルドイドクリームは使ったことがないのでちょっと分かりません。保湿目的で処方される事もあまりないのではないでしょうか。
ですので、これ以降はソフト軟膏とローションを比較しながら話を進めていきたいと思います。
種類がイマイチ分からない人向けにソフト軟膏が1枚目の画像、ローションが2枚目の画像のものです。
![]()
引用:マルホ株式会社
使用感の違いはソフト軟膏はクリーム状、ローションは乳液状、といったところに現れています。
ヒルドイドソフト軟膏は重めのテクスチャのクリームで、ワセリンほどではありませんが塗るとベタベタします。
対してヒルドイドローションは乳液状のテクスチャで、塗るにあたってもさらっと塗れます。
ソフト軟膏はペタペタ、ローションはトロトロという感じですね。
使用量の目安
顔に対しての使用量の目安ですが、ローションの方は伸びが良いので意外と量は使いません。私の場合だと500円玉大使うと顔がかなりギトギトします。とりあえず10円玉大を目安に肌の状態によって増減させてください。
ソフトの場合の量はあずき粒大を目安にそこから量を増減させてください。ワンフィンガー分(人差し指の先から第1関節くらいまで)出してしまうとベトベトしすぎる感じです。
量に関しては個人差がありますので、あくまで目安と捉えてください。ローションを500円玉大使ってギトギトしなくても、肌状態が違いますので気にする事はありません。
部位によっての処方されやすさ
テクスチャが違いますので、塗る部位によって処方が分けられることがあります。
大まかには身体にはクリームが処方されやすく、顔にはローションが処方されやすい傾向にあります。
あくまで傾向ですので、必ずしもこの通りに処方されるわけではありません。
薬剤師さんに尋ねたところ、お医者さまによっては2種類を同時に塗るように指導する方もいれば、夏と冬で変えるお医者さまもいるとの事。当然、肌状態によって変えるお医者さまもいらっしゃると思います。
私もローションとソフト軟膏を一度の診察で2種類とも処方して頂いています。
肌状態によって使い分ける、というのはお医者さまにも伝えてあるのですが、それに加えて妊娠でお腹にも塗れるようにとクリームを頂いた事と、背中のかぶれがあった事もあると思います。
酒さ様皮膚炎の肌への適切な使い方
クリーム状と乳液状という違いがあるヒルドイドソフトとローションですが、その形状通りの使いかたをすればいいです。
基本的にはローションは乳液として、ソフトはクリームとして使います。
肌の乾燥具合によって両方使用しても構いません。ローションで潤いを確保した後肌の薄いアゴ部分だけクリームを足す、などの使用方法でもいいと思います。
これが基本の使い方。炎症などの大きな肌トラブルがない場合の使い方です。酒さ様は炎症しっぱなしなので、小康期に入れば普通のスキンケア的な感覚で使うことができると捉えてください。
それ以前はやはり様子を見ながら徐々に使用回数や使用量を増やしていくのが一番です。それほど心配しなくても、ヒルドイドが使える可能性は普通の化粧水よりもはるかに高いです。
ワセリンとW使いで保湿力アップ
ヒルドイドの後にワセリンをプラスする事によって保湿力と保護力を得ることができます。
ヒルドイドには肌の水分を保持する役割があり、ワセリンには肌の水分を逃がさない役割があります。両者の役割が違うため、両方同時に使うことができます。
但し、保湿過多になって熱がこもりやすくもなります。使用量などには注意しながら使ってください。
やり方は簡単です。ヒルドイドを顔に塗った後、米粒程度のワセリンを顔に伸ばします。
ワセリンを足す場合はヒルドイドローションの方がやりやすいかと思います。
ワセリンは顔の上で伸ばさないように注意します。手のひらで伸ばしたワセリンを顔に押し付ける感覚で塗ってください。塗り方の詳細はワセリンをスキンケアとして使う方法で書きましたのでそちらを参考にして下さい。
両方あったらどっちから使ってみるか
これからヒルドイドを塗ってみようという場合、両方の選択肢があるならばソフト軟膏から塗ってみて下さい。ローションの方が塗りやすいですが、ソフトの方がべたつく分保護力があります。
お医者さまから処方されたものがどちらか一方であれば、それを塗ってください。ローションだからダメという事はありません。ここで触れているのは両方手元にあって迷った場合の話です。
ヒルドイドが合わなかった場合
ヒルドイドが合わず、顔の赤みやほてりが促進されてしまった場合の原因は主に以下の2種類が考えられます。
- ヒルドイドの血行促進作用が悪さをしている
- 使用したヒルドイドの基材が合わない
血行促進作用が悪さをしている場合、まだヒルドイドを塗れる時期ではありません。ヒルドイドを止めてもう少しだけ肌の改善を待ちましょう。
肌が改善されれば、ヒルドイドの血行促進作用は良いほうに働いてくれる場合も多いです。
基材が合わなかった場合は、もう片方のヒルドイドを使うと解決する場合があります。どちらか片方しか処方されない場合も多いので、そういった場合は次の受診時に医師に相談してみて下さい。
この基材が合うか合わないかというのは、類似品を試して分かるものではありません。類似品は基材の部分が違うからです。
逆に言うと2種類ともダメでも類似品なら大丈夫、という可能性もあると言えばありますが、2種類ともダメなら素直にヒルドイド系保湿剤は諦めたほうがいいかと思います。
ヒルドイドの類似品
ヒルドイド自体は処方薬ですので医師の診断がなければ入手することはできません。ただ、ヒルドイドの主成分であるヘパリン類似物質を配合した商品ならば市販品でも存在します。
主には傷口を薄くするという商品と、ヒルドイドと同様にスキンケアを目的とした商品とに分かれます。
傷口を薄くする商品
アットノンという傷跡を薄くできる商品にヘパリン類似物質が使用されています。
商品の注意書きを見る限り顔への使用は積極的でないようですし、商品の目的も傷口を薄くする目的です。酒さ様皮膚炎でヒルドイドの代わりに顔に塗る事はお勧めしません。
スキンケア目的の商品
ピアソン
ピアソンという商品にヘパリン類似物質が配合されています。ローションとクリームがあります。
こちらのピアソンはヒルドイドのジェネリックであるビーソフテンと同じメーカーが作っています。成分もビーソフテンとほぼ同様ですので安心して使うことができます。
ノバルティスファーマ
また、ノバルティスファーマ株式会社というところからもスキンケア目的の商品が発売されているようです。こちらもローションとクリームがあります。
こちらの会社では商品の紹介をしているサイトでは商品の特徴だけでなく、ヘパリン類似物質についても分かりやすく解説してくれています。
類似品がヒルドイドの代わりになるか
ヘパリン類似物質の安全性と保湿能力や血行促進作用などの効果に関してはあると思いますが、だからと言ってヒルドイドと同様の効果が得られる保証はありません。
各商品とも基材が全く違うので別物です。特に傷口を薄くするという商品に関しては、商品自体がスキンケア用途として作られていません。使用法も違ってきて当然と考えたほうが良いと思います。
同様の効果を得る保証はありませんが、有効成分は同じものを使用していますので、似たような効果を得る確率は大きくなります。
また、医師に保湿を止められてヒルドイドを処方して頂けない場合は、そもそも保湿剤を塗るべきではありません。
類似品の使い方
それを踏まえた上で、類似品をどういった時に使えばいいかという事です。基本的に酒さ様皮膚炎でヒルドイドを処方して頂いている場合は、これらの類似品を使う必要はありません。
どういった場合に選択肢に入ってくるかと言えば、以下のようなケースが考えられます。
まず、お医者さまにマメに通えない場合。酒さ様皮膚炎の場合は治療が長期に渡りますので、通えない期間ができてしまう事も十分あり得ます。手持ちのヒルドイドを切らしてしまった場合には、十分選択肢の一つになるのではないでしょうか。
次に、良い肌状態を保っていたにも関わらずリバウンドで急激に肌が悪化した場合。こういった場合は通院を一旦お休みしている場合も多いですし、ヒルドイドではなく普通の化粧水を使用している事も多いはずです。
ワセリンやヒルドイドなどの低刺激のものに戻したいところですが、ヒルドイドは処方薬ですので通院をしていなければ手元にない場合があります。お医者さまにかかるまでの間、ヒルドイドの代わりに使う製品としてはいいのではないでしょうか。
また、肌の改善と共に処方薬ではないスキンケア商品を探していかなくてはいけません。そういった場合も選択肢として候補に挙がります。
ヘパリン類似物質が配合されている商品は第二種医薬品に分類されます。最終的には普通の化粧水まで戻したいところではありますが、肌が悪化した場合の選択肢が増えてくれるのは非常にありがたい事です。
まとめ
ヒルドイドにも種類があるので、どちらを使うかで悩んだり、そもそも酒さ様の肌に使って良いのかを悩んだりした方も多いのではないでしょうか。
ヒルドイドの種類によって使い勝手も違うので、どう使うかによっても肌状態は変わってきます。
ローションとソフトでテクスチャが違うことから重ねて使う事もできますので、保湿不足でお悩みの方は市販の化粧水を探す前にぜひ試してみてください。
コメント
ろーざさん、こんにちは。
酒さ様皮膚炎って只でさえ薬は限られてるのに良いといわれているヒルドイドが炎症を促進したりするなんて本当に悲しい事ですね( TДT)じゃどうすればいいんだよ~と何もしないのが一番いいと言うのが正解と頭では理解してる中でも何かヒントでもないかと(悪あがきです)調べてたら酒さ様皮膚炎はステロイドの不適切な使用なのは皆さんご存知な事ですが、その後ステロイドが体から抜けきった後に自分の体から作られる副腎皮質ホルモンが、どれだけ回復したかで治りも違うとありました。
これも本当かな?と疑問ですが自分の体で作られる副腎皮質ホルモンを増やす方法で薬やサプリメント以外で、お金をかけずにできる方法は「水かぶり」でした。本当に効くかはわかりませんが只今、実行中です!
効果があったら、ご報告しますね(*^^*)
つうさん、こんにちは。
いつもありがとうございます!
副腎皮質ホルモンの回復具合で治癒スピードが違うってのはありそうですよね!
酒さ様って副腎皮質ホルモンの分泌がめちゃくちゃになっちゃってる状態ですし。
体質改善も色々やってみましたけど、便秘にはヨーグルトとか食物繊維、オリゴ糖なんかはオーソドックスながら効果が実感できました。
水かぶりはこれからの時期勇気が出ないですーーー(;><)
でもお金かけずにっていうのはかなり魅力的ですね。
どうせかけるなら効果があるものにかけたいですし( ̄▽+ ̄*)
くれぐれも風邪を引かないように気をつけつつやって下さいね
ご報告お待ちしています^^