酒さ様皮膚炎の特徴の一つに乾燥があります。この乾燥が進行すると、酒さ様皮膚炎の症状の中でもかなり辛い皮剥けが始まります。
皮剥け期間を乗り切ることができれば改善までぐっと前進するのですが、酒さ様皮膚炎が乾燥する仕組みを知らないと却って悪化させてしまうことにもなりかねません。
一般的な乾燥肌への対策と言えば
水分を補給して、乳液などの油性商品で補給した水分を逃がさないようにする
といったものです。これは普通の乾燥肌には正しい保湿法かもしれませんが、酒さ様皮膚炎の場合には正しいと言い切れない場合があります。
「乾燥」という現象は同じですが、そこに至るまでのプロセスが違いますので対処法も少し異なります。今回は酒さ様皮膚炎の肌が乾燥してしまう仕組みと、適切な対処法を考えていきたいと思います。
もくじ
酒さ様皮膚炎の肌が乾燥する理由
まずは酒さ様皮膚炎の肌がどうして乾燥するかを考えていきましょう。
酒さ様皮膚炎の最も分かりやすい特徴と言えば炎症が挙げられます。病名にも「皮膚炎」とついているくらいですので、酒さ様皮膚炎と炎症は切っても切れない関係にあると言っていいでしょう。
酒さ様皮膚炎の炎症
肌が炎症を起こすと熱でほてります。灼熱感を伴うようなほてりも酒さ様の特徴の一つです。酒さ様皮膚炎の場合はステロイドの離脱作用でさらに炎症が促進されますので、一時的とは言え火傷のような炎症が顔中に広がる可能性があります。
炎症もちょっと日焼けで赤くなる程度のものとは違い、火傷をしたように真っ赤に腫れ上がった上に膿やニキビのようなボコボコとしたものができるので精神的にも辛い状況です。
この炎症とは酒さ様皮膚炎の治療期間中お付き合いしていかなくてはなりません。実は酒さよう皮膚炎が乾燥するのもこの炎症が理由なのです。
炎症と乾燥の仕組み
どうして肌が炎症を起こすと乾燥が促進されるかと言うのは簡単な仕組みからきています。
炎症部分の肌が水分を奪うため
炎症を起こすと肌温度は高くなります。酒さ様の場合は目も当てられないくらいの炎症を起こしますので、その分肌温度も高くなります。肌内部では血管が拡張し、炎症部位に血流が集まります。これが肌がほてる仕組みですね。
肌の温度が高くなると水分は蒸発していきます。これが炎症肌が水分を奪っていく仕組みです。炎症と乾燥は密接に関係しているのです。
酒さ様皮膚炎の乾燥
水分を奪われた肌は当然乾燥しますが、酒さ様皮膚炎の乾燥は水分不足から来るものではありません。結果的には水分不足になっている事は確かですが、炎症を起こした肌がどんどん水分を蒸発させている事が原因です。
つまり、熱でほてる事が乾燥に繋がっているのです。
また、ステロイドの副作用である皮膚萎縮も乾燥に拍車をかけています。
皮膚萎縮というのは簡単に言うと肌が薄くなる事です。肌が薄くなれば本来貯めておくべき水分量を確保できず、少量の水分しか貯めておけません。
少量の水分しか貯めておけないにも関わらず、熱で水分が奪われ続けるので乾燥が促進される
というのが酒さ様皮膚炎の乾燥の特徴です。
保湿が悪影響となる可能性
これまで見てきたように、酒さ様皮膚炎の乾燥は炎症やほてりが原因です。このため水分を補給する為の保湿は却って熱がこもり、逆効果になる可能性があります。
保湿で水分が補給されると蒸発する水分量も多くなります。肌表面に乗せた水分は蒸発する時に肌内部の水分も奪っていきます。酒さ様の肌は肌の表面が極端に薄いため、内部の水分も奪われやすい肌状態です。
これが保湿で乾燥が促進される仕組みです。こういった事から酒さ様の肌では保湿と脱保湿で意見が分かれることが多々あります。
どちらが正解というものではなく、炎症や乾燥の程度など肌の状態によって上手に使い分けていくのが改善への近道です。どちらかに決めてしまうのではなく、その時の肌状態に合わせて選んでいくといいと思います。
酒さよう皮膚炎の乾燥と皮剥け期
酒さよう皮膚炎の乾燥が進行していくと、皮剥けが始まります。私はどうやら3ヶ月少々で皮剥け期間に入ったようです。
具体的にどうなるかというと、それまでの炎症は少しなりを潜めるものの、乾燥がどんどん進行しているために肌がボロボロと剥がれ落ちる状態になります。
比喩でも何でもなく、皮膚がボロボロと剥がれ落ちます。お風呂にでも入った日にはちょっと指が触れただけで垢すり状態にこすれます。
これは乾燥が招く弊害ではありますが、皮膚が剥がれれば剥がれるほど肌の再生はきちんと進んでいます。
最初はうろこのように大きな皮が剥がれていきますが、皮が剥がれる大きさはどんどん小さくなっていきます。最後には粉をふいたような肌状態になりますが、ここまで来れば肌の改善はかなり進んでいます。
皮剥け期の落とし穴
見た目が非常に悪いため肌改善が進んでいないような錯覚に陥りますが、そんな事はありません。皮剥けを繰り返せば繰り返すほど、ちゃんと肌の再生が促されているのです。
この時期をどう過ごすかはとても大切です。剥けた皮を落とすピーリングなどを行ってしまうと肌状態は一気に後退します。剥けて肌に張り付いている皮を落としたくなる気持ちは分かりますが、その剥けかけた皮が肌を守っているのです。
ここを勘違いして剥けかけた皮を一生懸命に落としてしまうと、常に弱い肌が外部にさらされている事になります。せっかく肌が再生しようとしているのに、肌が強くなる隙がなくなって今います。
剥けた皮への対処法
ピーリング剤などの使用はどうしても、という時であってもあまりお勧めできませんが、数ヶ月に1回程度ですぐに肌が痛むという事もないと思います。どうしても使いたい場合は、その理由が数ヶ月に1回の大切な用事であるかどうかを考えてみてください。
結婚式などでどうしても、という場合など、一瞬の綺麗さを重視するべき時があるのはおかしいことではありません。酒さ様の治療は長期間かかりますから、色々な用事が入るのが普通です。大切な用事が終わり次第、また肌を労わってあげて下さい。
どうしてもという用事がある時に剥けた皮を落とすのは仕方のないことですが、日常的にゴシゴシと落とすのはやめましょう。無理に皮を落とそうとはせず、できるだけ肌に優しくて汚れが落ちる洗顔法を選んでいってください。
まとめ
酒さ様皮膚炎で肌が乾燥する理由を見てきましたが、理由が分かると適切な改善法が選びやすくなります。特にスキンケアに関しては、乾燥のイメージによる勘違いから肌の改善が進みにくい原因になっているように思います。
保湿をしてはいけない状態なのに、乾燥しているからといった理由で保湿する。皮を落としてはいけない状態なのに、剥けてきたからといって皮を落とす。
こういった行為は酒さ様の肌改善にマイナスの影響を及ぼします。酒さ様の肌はプラスの影響を受けにくく、マイナスの影響は受けやすいというとても敏感な肌です。
皮を落としたあと念入りに保湿すればいいじゃない、というのも勘違いです。保湿が逆効果になる可能性がある事を忘れてはいけません。下手をすると保湿とピーリングのダブルパンチですが、こういった勘違いの元にスキンケアを行っていると肌が改善するどころか悪化することすらあります。
一般的な肌とは違うんだという認識を持って、適切な対処法を身につけていく事が大事です。