酒さを悪化させたり、顔の赤みを増したりする食品としてヒスタミンなどの仮性アレルゲンを多く含むものが挙げられます。
酒さで避けるべき、とされている食品群の共通点もヒスタミンやセロトニン、チラミンなどの仮性アレルゲンです。また、カフェインは仮性アレルゲンの代表格です。
仮性アレルゲンは血管へ作用する物質が多く、血管の異常を起こしている酒さや酒さ様皮膚炎で避けるべきです。
では仮性アレルゲンとは一体何なんでしょう?アレルギーとは違うんでしょうか?
避けるべき食品リストに載っていなくても、仮性アレルゲンが豊富なら避けた方がいいのでしょうか?
気になったので調べてみました。
もくじ
仮性アレルゲン
まずは仮性アレルゲンについてざっくりと理解しておきましょう。
食品には最初から様々な化学物質が含まれています。化学物質というと後から付与されるイメージがありますが、そうではありません。
食品添加物や農薬などとは違い、食物そのものにも化学物質が含まれています。
その化学物質の中に、アレルギー反応とそっくりの症状を起こす物質があります。
代表的なものには
- ヒスタミン
- カフェイン
- セロトニン
- チラミン
などがあります。
仮性アレルゲンとアレルギー
仮性アレルゲンは、食品に対するアレルギーそのものではありません。
食べるとアレルギー反応を起こしたような症状が出る食品が仮性アレルゲンの豊富な食材です。
分かりやすい例では、
鮮度の落ちた食べ物を食べて、吐いてしまったり蕁麻疹が出た
という事で、食べ物そのものによるアレルギーではなく、古くなった食品に多くなるヒスタミンによる反応です。
もう一つの例として
やまいも食べたら口の周りがかゆくて赤い
これは山芋の仮性アレルゲンであるアセチルコリンのしわざ。
つまり、食物アレルギーではなく、食品(に含まれる化学物質)がアレルギー(のような)反応を起こしてしまうのです。
アレルギーはIgE抗体がマスト細胞と結合して起こりますが、仮性アレルゲンは違います。
アレルギーと仮性アレルゲン、ヒスタミン食中毒などはそれぞれ別のものではありますが、様々な要因が重なって肌の炎症を引き起こします。
仮性アレルゲンと皮膚炎
アトピー性皮膚炎と仮性アレルゲン
仮性アレルゲンは皮膚炎と非常に関係が深く、アトピー性皮膚炎を悪化させる物質として注意喚起されています。
アトピーの方は意識して避けているんでしょうか。アトピーと仮性アレルゲンの関係はとても多くの情報が見つかります。
特にアトピーで食べ物に多く反応するタイプの方は、何かを食べると痒くなったり赤くなったりする、というお話を良く耳にします。
これには仮性アレルゲンが大いに関係しているようです。
酒さ様皮膚炎と仮性アレルゲン
酒さや酒さ様皮膚炎はアトピーとは違うとは言え、皮膚疾患という大きな分類では仲間です。
アトピーを悪化させる物質が酒さも悪化させるとしても全く不思議ではありません。
特に酒さ様皮膚炎でお世話になる(なりたくない・・・)脱ステロイドですが、脱ステ中には様々な仮性アレルゲンに反応してしまう事が多いようです。
脱ステロイドをご経験の方はお分かりの通り、脱ステはいつもと違う異常事態です。普段は反応しない物質に反応しやすくなります。
その中で、仮性アレルゲンやアレルギー物質は反応を起こしやすいと言えます。
また、仮性アレルゲンには血管へ作用する物質が多いです。
血管の異常を抱える酒さや酒さ様皮膚炎では血管への刺激は避けるべき、というのは何度もお話してきたと思うのですが、仮性アレルゲンは血管収縮作用か血管拡張作用のどちらかを持つ事が多いです。
仮性アレルゲンそのものが酒さに良くないのではなく、仮性アレルゲンが血管に作用するから良くないのかもしれません。
仮性アレルゲンの豊富な食品
仮性アレルゲンの豊富な食品を紹介します。
ヒスタミン
ほうれん草、ナス、トマト、牛肉、鶏肉、馬肉、パン酵母、発酵食品、赤ワイン、青魚
セロトニン
山芋、タケノコ、トマト、ナス、落花生、クルミ、バナナ、キウイ、パイナップル、アボカド、プラム
アセチルコリン
山芋、サトイモ、タケノコ、トマト、ナス、落花生、そば
チラミン
チーズ、ワイン、チョコレート、アボカド、プラム、バナナ、ナス、トマト、パン酵母
サリチル酸化合物
イチゴ、トマト、きゅうり、メロン、柑橘類
ニコチン
じゃがいも、トマト
カフェイン
コーヒー、ココア、チョコレート、お茶、一部の飲料製品
イノリン
さんま、たら、鮭
リノール酸
卵、バター、動物性油脂、植物性油脂
酒さや酒さ様皮膚炎で避けるべきとされる食品のリストと大きく重なりますね。
仮性アレルゲンはどう除去すべきか
仮性アレルゲンをどう除去し、いつまで避けて暮らしていくべきか。
酒さや酒さ様皮膚炎の患者に取って、とても迷いますよね。
重症度の高いものはご家族の協力を得てでも避けるべきではありますが、リストにある食品全部避ける!とまではなかなかいかないのが現実。
特に治療期間も長くなる酒さで、大好きな食品が仮性アレルゲンだったら。
いつまで避ければいいのか、どのくらい避ければいいのか、とても気になるところです。
鮮度で避ける
仮性アレルゲン、特にヒスタミンなどは、鮮度の落ちたものに多く含有します。古くなったものを食べたら反応してしまうのはこのせい。
つまり、なるべく新鮮なうちに食べることで仮性アレルゲンを避ける事ができます。
調理方法で避ける
仮性アレルゲンの中には、水にさらしたりアクを抜いたり、加熱処理をしたりといった調理過程で失われるものもあります。
こういった調理方法を利用する事で仮性アレルゲンを減らすことが出来ます。
少量ずつ食べて避ける
さらに、量も一つの目安となります。
仮性アレルゲンは少量では症状が出ない事も多くあります。
そういった場合にはアレルゲンの除去に拘らず、体調の良い日や食品の鮮度が高いときに少しずつ食べるようにします。
体調で避ける
また、肌が回復してくると仮性アレルゲンであっても反応しなくなります。
脱ステロイド中は明らかに反応してしまったものが、脱ステが進むにつれて食べられるようになった、というのは良くあります。
肌の調子が悪い時は、反応しやすい、という場合も良くあります。
これは個人差がありますので、自分の体調を良く知ることが一番の手がかりとなります。
まとめ
酒さや酒さ様皮膚炎患者に取って、どの食品をどの程度避ければいいのかの基準みたいなものって欲しいですよね。
今までご紹介した中では避けるべき食品のリストや、悪化する物質ランキングでおおよその傾向は掴めます。
こういったデータを見ながら日常生活に応用していくのですが、最後に大事になってくるのは自分の体質。
ここに書いてあるからあれも避けなきゃ、これも避けなきゃ!と考えずに、こういったデータを上手く活かしながら、自分の体質を探っていく一つの手がかりとして利用してみて下さい。
コメント
ろーざさん、こんばんは。
皮膚科に行ってきました。
ステロイドは長く使うほどリバウンドの可能性が高まるのは確かだから炎症が収まったのならやめてもいいんじやない?化粧水は塗らなくていいんじゃない?自分で判断していいよ。
ということで自己判断自己責任ってことですね。。炎症がちゃんと収まったのか判断が難しいのと、今朝ロコイドを塗る量がちょっと多かったみたいで夕方頃からまたほてって赤いのです(>_<)ロコイドの基剤にワセリンが入ってる関係だと思います。ワセリンにも反応しちゃうんです。。薄くてデリケート過ぎるお肌…面の皮厚くなりたいです~!
今週の金曜にいつもの先生で予約を取っているので、最長でも一週間なら大丈夫!と思ってそれまでは調子を見て塗るなら量に気をつけてやってみたいと思います(≧へ≦)
はてなさん、こんばんは。
皮膚科通院お疲れさまです!
自己判断、自己責任は分かっていても何らかの指標って欲しいですよね。
はっきりと言ってくれなくても、精神的に楽にしてくれるお医者さんだと安心感が違うのですが。
ちょっと気になったんですが、ロコイドで炎症・・・とまではいかないものの反応して赤くなっちゃうんですよね。
だとすると、炎症を抑えるための薬で炎症を起こしかけてもいる、というちょっと難しい状態に。もちろん、ステロイドの炎症を抑える効果の方が高いとは思いますが。
今回は貰ってしまっているので変える事ができませんが、ロコイドのジェネリックであるアボコートというものであればワセリンは使っていないようです。
アボコート軟膏0.1%
他にもローション状のステロイドとかあるみたいなんですけど、それはそれで他の成分がいっぱいです。
ワセリンで反応してしまう場合って結構厄介で、安全性の高い成分ですから薬に限らず化粧品にもかなり使われているんですよね。
金曜日以降ステロイドは塗らないかもしれませんが、ワセリンで赤くなる事はお伝えしておいた方がいいかもしれませんね。
ワセリンで反応する方ってそこそこいらっしゃるんですが、医師によっては面倒がっちゃうんですo(TヘTo)
軟膏からクリームに処方が変わるだけでもワセリンの含有率が下がりますので、反応率も低くなるんですが。
金曜日まで4日間。
炎症が治まったかの判断は難しいと思いますが、肌の様子に注意しながら頑張り過ぎないようにがんばってくださいo(-`д´- o)
ろーざさん、こんにちは。
ろーざさんの知識量はすごい!
アボコートを処方して欲しかったです!!
今の先生からワセリンを処方してもらってダメだった実績はあったのですが…
金曜日に改めてワセリンに反応することを伝えて今後の処方に生かして行きたいと思います。
そうそう、化粧品にもワセリンが入ってることって多いですよね。。ワセリンが使えないってどういう肌状態なんだ?と…ワセリンを受け入れてくれたらかなりスキンケアがしやすくなると思うのですが…難儀です(*_*)
いつも応援ありがとうございます!
知識量はGoogle先生が99.98%を担っております!ヾ(  ̄▽)ゞ
サイトで聞かせて頂いているので目の前で調べられるだけで、アボコートにワセリンが入ってない事を知ってたわけじゃないです。。。それなのに偉そうにすみません^^;;;
成分の事はなかなか難しい問題で、皮膚科の医師もある程度は知っていないといけませんが、医師の本領は医療ですよね。
基材の部分にあたるものの成分まできっちり把握しろというは医師の役割から外れますので、ちょっと酷かな、と思います。
そこで薬の事は薬剤師に任せようというための医薬分業なのですが、患者からしてみると、じゃあ成分の事は誰に相談すればいいの?たらいまわし?みたいなデメリットもないとは言えないんですよね。
ワセリンかぶれはちらほら拝見するとは言え、地域の医療現場では珍しいと思われがちです。
どうやってワセリン避けをするかというと、ある程度は自衛しないといけない部分もあって、もう何から手をつけていいか分からなくなりますよね。
自衛という意味でも、今後の処方に生かせるように先生に伝えておく事は大事ですね。
ワセリンも肌が回復してくれば使えるようになるかもしれませんし、今の状態に合うものを見つけながら、少しずつでも進んでいきましょう!Σ(σ`・ω・´)σ