妊娠していてもできる酒さや酒さ様皮膚炎への対策第2弾は食生活の改善。食生活の改善と言っても、今回は無理な制限食をせずにできる範囲で改善していこう、という趣旨です。
というのも、酒さに有効とされる食事制限の類ですが、妊婦さんはできない事が多いです。
糖質制限や砂糖断ち、脂質の制限などですが、もちろん控える事はできますし、お菓子を食べるクセがあったらそういったものを辞めるという努力はできます。
でも、ご飯やパンなどは食べちゃダメ、脂は一切とっちゃだめ、お肉も酒さを悪化させるからいけません、となるとお腹の赤ちゃんへの栄養が心配です。
妊婦の方でもできる除去食もありますが、こちらは健康な妊婦さんであってもどの時期から開始するかやどの程度の除去をするかの議論が分かれるところ。
もちろん、除去食や制限食をがんばってらっしゃる妊婦さんもいらっしゃいますので、そういった方の努力は素晴らしいものですが、今回はもう少しゆるく頑張ろうというお話。
必要な栄養素は摂りつつも酒さが悪化しやすい食物を避ける、という程度しかできないという方も多いのではないかと思います。
そこで今回は、酒さが悪化しやすいと言われる食物を避けつつ過ごしていくうえで、抑えておきたいポイントなどを考えてみたいと思います。
もくじ
酒さが悪化しやすい食品リストおさらい
先日の記事で酒さが悪化しやすいと言われている食品をリスト化しました。
アルコールやカフェインなど分かりやすいもの以外にも、多くの食品で酒さが悪化するようです。
具体的な食品リストは前回の記事を見て頂くとして、ざっくりと内容をご説明しますと以下のようになります。
酒さが悪化しやすいと言われている食品の共通点として見られる特徴には、アレルギーを引き起こしやすい物質の他、仮性アレルゲンである、ヒスタミンやセロトニン、チアミンの含有量が高いものが多く見られました。
また、血管への刺激となる物質が含まれている食品で酒さが悪化すると言われているようです。
ヒスタミンやチアミンと言われてもピンと来ませんが、血管への刺激を控えるような食生活、と言われると何となく納得できます。酒さや酒さ様皮膚炎の肌は毛細血管が拡張して弱っているのが一つの特徴です。
明らかに避けた方がいい食品
食生活を改善していく上で、妊娠しているというポイントと酒さで避けた方がいいと言われているというポイントが重なる食品の場合は判断が楽です。
- アルコール
- カフェイン
がそれに当たりますね。
アルコール
アルコールに関してはお腹に赤ちゃんがいる時点で避ける方が多いですし、妊娠や酒さに関わらず身体に悪そうですのでほどほどにしたいところですね。私は好きですが。
ただでさえ長文になりそうですので、アルコールの害については以前の記事に譲ります。
カフェイン
カフェインも妊娠中は控える方が多くいらっしゃいますし、私も大好きなコーヒーをやめてノンカフェインのお茶に切り替えました。
カフェインは摂りすぎると頭が痛くなったり胃が痛くなったりしますし、コーヒーを飲むとアトピーや肌荒れ部分がむず痒いような感覚を覚えるという口コミも多く見ます。
特にドリップコーヒーにカフェインが多い傾向にありますが、実は緑茶や紅茶にもカフェインが含まれています。
私も発症部位が一番ひどい時は緑茶や紅茶も避けて一切のカフェインを摂らないようにしていました。意外とおいしいお茶が多いのであまりストレスは感じませんでした。
クセがあって飲みにくいどくだみ茶は麦茶と混ぜて常備茶に。ゴクゴク飲むタイプは安く売っているお茶が嬉しいですよね。
お気に入りは黒豆茶とルイボスティー。黒豆茶はきなこっぽい風味でまろやかな味が楽しめますし、ルイボスティーは少し風味のある紅茶のような味。
特に黒豆茶の方はかなりはまって、毎日飲んでいました。きな粉好きな方にはおすすめ。
できるだけ避けた方がいい食品
アルコールやカフェインほどではなくても、できるだけ避けた方がいい食品があります。代表的なのが
- 香辛料
特に唐辛子などの辛いものに代表される香辛料です。
日常的に思い浮かぶ料理ではキムチやチゲ鍋、マーボー豆腐でしょうか。一味唐辛子や七味唐辛子、豆板醤やコチュジャン、ラー油などにも使われています。
辛いものを食べると汗をかいたり、顔がほてったりという経験がある方も多いと思います。
唐辛子には血管を拡張させる作用があり、血管の刺激になります。また、大量に摂取すると胃の粘膜を傷つけてしまいます。
私もやはり発症直後はキムチを食べ過ぎると顔の赤みが増した上に炎症部位の痒みがましていました。
顔への刺激がダイレクトに感じられる食品の一つではないかと思いますので、避けられる範囲で避けましょう。
炎症の状態が良くなれば少量の摂取に問題のない事も多いです。
日常的に避けるのが難しいが避けるべきとされる食品
日常的に避けるのが難しいという食品も中にはあります。
- しょうゆ
- 大豆
- 一部の発酵食品
あたりは日本人である以上完全に断つのは難しいのではないでしょうか。
特に大豆や一部の発酵食品が酒さに良くないとされていますが、それを言うと大豆を発酵させた味噌は酒さを悪化させる事になり、味噌汁が飲めない事になります。
西の方は食べないかもしれませんが、東の方では納豆も積極的に薦められます。こちらも大豆で発酵食品ですね。
さらに、妊婦さんには和食中心のヘルシーな食生活が求められますが、しょうゆや大豆、納豆は和食と切っても切れない関係にあります。
農林水産省の調査による大豆発酵食品の仮性アレルゲン
農林水産省によるしょうゆ、みそ、納豆を対象とした「大豆発酵食品のヒスタミン及びチラミン濃度の調査」によると
ワーストケースにおける各食品からの推定暴露量は、健康被害が報告されている最少量よりかなり低く、これら大豆発酵食品のみの摂取によって、Him、Tymを原因とする健康被害が発生する可能性は通常低いと考えられた。
との報告があります。リンク先はPDFで専門用語ふんだんなのでちょっと分かりにくいですけどざっくり解説すると以下のような感じです。
という感じです。
上記で検証されていたのは、一食辺り味噌で味噌汁三杯分、納豆は3パック分、醤油は1食で一日分摂ってしまうほどの大量摂取です。
これほど大量に摂っても健康被害となるヒスタミン量やチラミン量に達していません。
大豆食品摂取の目安
この辺りの大豆発酵食品は、大量に摂取するのを避けつつ、日常生活を送る上で当たり前の摂取量に関してはそれほど気にしなくても良さそうです。
但し、何が反応するかは人それぞれです。酒さや酒さ様皮膚炎で通常とは全く違う皮膚状態である場合に少量でも反応するという可能性はあります。
また、大豆はアレルギーを発症する方もいる食品です。普段は何ともなくても、炎症を起こしている肌には反応しやすくなっている可能性もあります。
大豆食品を摂取して酒さや酒さ様皮膚炎の状態が悪化した場合にはなるべく避けるようにしましょう。
大豆はアレルギー物質としてメジャーである分、除去食なども発達しています。避けなければいけなくなった時は、大豆アレルギーの方向けの食品を上手に活用するのも手です。
酒さ的に避けた方がいいが、妊婦的には摂りたい食品
酒さで避けた方がいいとは言われているけれども、栄養素や妊婦の体質改善としてはしっかり摂っておきたいという食品もあります。
判断に迷うのがこの食品群だと思います。特に妊婦が積極的に摂れと言われるものなのに酒さに良くないとリストアップされてしまっているものは
- ほうれん草
- ナス
- トマト
- いちじく
- 乳製品
あたりだと思います。
ほうれん草やナス、トマトなどは野菜を積極的に摂る観点から、いちじくの栄養素は母乳に最適、乳製品も便秘解消やビタミン、ミネラルが豊富な点から積極的に薦められています。
こうしたものは健康にいいとされている事から病院食などでも出されますし、酒さだから、と避けるのも難しい食品ではないでしょうか。
ところがアレルギーという観点から見ると、どれもヒスタミン量が多く、食べるとかゆみを感じる人も多くいます。
食品で肌が反応するケースは本当に人それぞれ。全ての食品を避ける事ができない以上、自分の体質に合うか合わないかで判断するしかありません。
明らかに肌が反応する場合を除き、それほど神経質にならなくても普段の生活で口にする程度は許容範囲と捉えておいた方が妊娠と酒さのバランスに苦しむ事も少なくなります。
もちろん、一日のうちで大量に摂取するなどの食べ方は避けつつ、鮮度の高いものを選ぶ事によってヒスタミン量も減らせますので上手に選んでいきましょう。
まとめ
肌は食事から作られますので、食事の管理というのはとても大切な事です。悪化しやすい物質を避け、体内環境を整える上でも食事制限はとても有効に思います。
だからといって、全ての人が制限食で生活できる環境にある訳ではありません。
私もまだ母乳を飲んでもらっていますから、今日から食事制限します!という事はできません。母乳が終わっても自分の食事だけ別に作るわけにもいかないので、極度な食事制限は難しいかなーと考えています。
子供も3人目ですので、今後食事の支度が大変になる事はあっても楽になる事はありません。うちは主人が食事の支度をしてくれる時もあるのですが、子供たちの分以外に、私のために制限食を別に作れ、などとは口が裂けても言えません。
もしやるのだとしたら自分の分だけは自分で作って家族の食事は別にきちんと作る、というように折り合いをつけていかないといけないと思います。
酒さを発症してらっしゃる方の世代的に、家事や育児に大忙し、さらにはお仕事もお持ちで仕事と家の事が終わるともう一日が終わっている、なんて方も多いと思います。
そんな中、食事制限までは無理でも悪化するものを控えたり、明らかに身体に悪いアルコールのようなものを辞めたりなど、できる事は多くあります。
治療に長くかかる病気ですので、今できる事をしっかりと行い、できない事は無理して追い求めず、自分のペースで改善していけるといいですよね。