酒さの治療に使われる外用薬を一覧にしました。
日本では酒さという病気自体の認知度が低く、外用薬の選択肢もほとんどないため、酒さ治療の最先端である米国で使われているものもリストアップしました。
というか、米国で使われている薬のリストアップをしてて、ついでに日本で使われる薬も入れた感じ。
ここは日本なので、仕方なく日本で使われている外用薬を先に紹介していますw
もくじ
酒さ治療に使われる塗り薬一覧
日本で酒さに使われる外用薬
日本では「酒さ」という病気に保険適用がありません。そのため、酒さの症状である赤みや腫れ、丘疹、膿胞などに有効とされる外用薬、特にニキビ用のお薬が処方されることが多いです。
- タクロリムス軟膏
- プロトピックのこと。皮膚の免疫系に作用し炎症を鎮める。顔の赤みに効果的であるため酒さに用いられる事もあるが、長期連用で酒さ様皮膚炎の副作用が報告されている。
- イオウカンフルローション
- 古くからニキビ治療に使われてきたイオウのお薬。角質柔軟作用、脱脂作用、殺菌・殺虫作用の他、穏やかな消炎作用。
- クリンダマイシン
- ダラシンTゲル。ニキビに有効な抗菌外用薬。抗生物質配合で菌の発育を阻害し、にきびにアプローチする。ローション状の薬剤もある。
- 過酸化ベンゾイル
- ベピオゲル。ニキビ治療界隈を騒がせた待望の新薬。2015年4月に発売された新しいお薬。抗菌作用でニキビにアプローチするほか、角質剥離作用も。海外では酒さにも使用されているが、ニキビ治療薬としても新しすぎるため、日本の酒さ患者への処方が積極的とは言えない。
海外で酒さに使われる外用薬
海外では日本よりも発症者も多いことから日本よりも研究が進んでいます。アメリカでは以下のようなお薬が酒さに処方されているようです。
- メトロニダゾール
- ロゼックス。内服薬はフラジール。海外では酒さの第1選択肢と言ってもいいほど処方が盛ん。トリコモナスに対する抗菌作用で赤ら顔、酒さ、ニキビにアプローチ。副作用も少ない。日本ではがん性皮膚潰瘍の臭いに処方され、酒さやニキビでの認可はない。院内処方(自己負担)で出してくれる皮膚科も存在する。内服薬のフラジールはトリコモナス症、ヘリコバクター・ピロリの除菌に処方される。
- アゼライン酸
- DRX AZAクリア。海外では30年前からニキビ治療薬として使用されているが日本での認可はない。角質のつまりを改善、皮脂分泌抑制、抗菌、抗酸化作用の他、メラニンの生成を抑える美白作用。処方薬としての認可はないものの、医療機関用の化粧品扱いで販売があり、美容皮膚科などに取り扱いが多い。販売元はロート製薬。
- アドレナリンα受容体作動薬
- ミルバソゲル。血管収縮剤。血管収縮を起こし、酒さの発赤を抑えるが、毛細血管拡張の血管には効かない。即効性があり、30分程度で赤みが薄くなる。効果は6~8時間前後持続。すぐに赤みを抑えたい場合に向く。
- イベルメクチン
- ストロメクトール。糞線虫症(ふんせんちゅう)や疥癬(かいせん)の治療に使われる。酒さに対しては顔ダニの抑制というアプローチをする抗寄生虫薬。米国でもFDAの認可を受けたばかりの比較的新しい薬。
- レチノイド
- ビミタンA誘導体。トレチノイン。繊維組織の修復。角質の著しい剥離により皮膚のターンオーバーを促進するニキビ、シミ、しわの治療薬。酒さに対しては紅斑、丘疹、膿胞、毛細血管拡張の抑制があるが大規模な統計がない。使用にあたっては紫外線防止剤が必須になるなど注意が必要。日本の医薬品に類似化合物としてアダパレン(ディフェリン)があるが似て非なるもの。
- ペルメトリン
- 殺虫剤の一種。疥癬の治療(ビゼンダニが原因の皮膚感染症)使われる。疥癬治療薬としては世界標準薬ながら日本での認可はない。酒さには顔ダニの抑制を目的として使われる。
一部のものは自己負担で処方して下さる皮膚科もあります。また、海外からの個人輸入という手段で入手する事も不可能ではありませんが、ここでは紹介しません。
新薬(研究中)
- セリンプロテアーゼ阻害薬
- 酒さでカリクレイン5(KLK5)のレベルが高くなっていることに注目した薬。
- 肥満細胞(マスト細胞)安定化薬
- 酒さ患者にマスト細胞の増大が見られることに注目した薬。
まとめ
ありがたい事に最近多くの方とやりとりさせて頂くんですが、色々な境遇の方がいらっしゃって、それぞれに海外のお薬を使用される経緯があります。
メトロニダゾールあたりは自己負担で処方してくれる皮膚科もちらほら聞くようになりましたし、個人輸入という手段は以前からあります。
海外に住んでらっしゃる方ともお話させて頂いたりして、ちょっとお薬のまとめみたいなのがあるといいな、と思ったので作りました。
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