先日、酒さ対策として行っていた行動が結果的に冷え性改善になっていた、というような記事を書きました。
それがきっかけで冷え性について色々と調べていたのですが、意外と酒さとの共通点のようなものも見えてきました。
酒さの方は冷えのぼせという症状がある方も多く、更年期近くの女性が酒さになりやすい事から、冷え性に悩まされる方も多いように思います。
この冷えのぼせ、たかが冷え、と侮れません。
体温は免疫システムや代謝、自律神経などにも深く関係しており、身体の機能と密接につながっています。
体温が一度下がると免疫力は約37%、代謝は10~20%低下すると言われています。反対に体温が一度上がると免疫力は約60%活性化するそう。
酒さの方はある種の免疫異常を抱えている場合が多いとの統計もあるため、体内改善の第1歩として免疫システムの正常化は特に意識したいところです。
冷え性の改善を図って体温が上がると、免疫システムや代謝、自律神経など、身体のバランスが取れるようになります。
その結果として酒さ症状の改善も期待できるのではないかと思いますので、冷え性対策をまとめてみました。
もくじ
冷え性を引き起こす要因
冷え性は生活習慣病の一つという側面が強く、生活習慣を改善すると冷え性の改善に繋がりやすいです。
また、冷えは女性に多い傾向にあるため、女性ホルモンとの関係も考えられているようです。
特に女性ホルモンのバランスが崩れる更年期や、自律神経の乱れやすい女性に冷え性の傾向がみられます。
その他にも遺伝や疾病の一つという考え方もあるようですが、ここでは生活を変える事で改善しやすい生活習慣を主に見ていきます。
冷え性の主な原因として考えられている要因をまとめておくと、以下のようになります。
- 生活習慣
- 遺伝
- ホルモンバランスの乱れ
冷え性の原因
冷え性の直接的な原因は血行不良です。
生活習慣やホルモンバランスの乱れから血行が悪くなり、それが冷え性に繋がります。
手足が冷たく感じるのは、心臓から遠い部分だから。
心臓から遠いため血液が上手く流れず、身体の熱を上手に運ぶことができません。
冷えのぼせタイプ
また、冷えのぼせというタイプは、上半身と下半身の熱バランスが上手くいっていないタイプ。
酒さの場合は上半身、特に顔ばかりに熱が集まり、顔はほてって熱いのに足の先はとても冷たくなるというような症状になります。
この冷えのぼせタイプの原因も、血行不良。
こちらは本来であれば下半身に向かうはずの血液が、上半身に集中してしまっています。
血行不良の原因
血行不良の原因として、以下のような要素が考えられています。
- ドロドロ血液
- 貧血
どれも血液に関係しているものばかり。
まずは血液が不足せず、サラサラの血液になるような食習慣や生活習慣を身につけていけば良さそうです。
血液サラサラに関してはテレビでも度々取り上げられていますので、たくさんの情報が手に入りそうですね。
東洋医学で考える冷え性の原因
実は冷え性の改善というのは、漢方薬の得意とする分野です。
漢方薬は症状に合わせて処方するのではなく、体質に合わせて処方します。
西洋薬のようにどの症状にはどの薬、と決められている訳ではなく、個人個人の体質や現在の体のバランスを見ながらオーダーメイドのように処方して頂くのが本来の使い方です。
そのため、冷え性のような、長期に渡る生活習慣や体質の改善を必要とする症状に対しては、漢方薬での体質改善の相性がとてもいいです。
東洋医学で冷え性の原因を考えると、以下のようになります。
- 気虚 ・・・ エネルギー不足
エネルギーが不足する「気」が乱れている状態。身体を暖める気が足りず、熱が生まれにくい。 - 血虚 ・・・ 血液不足
貧血と同様に「血」が足りていない状態。血が足りないため身体の末端まで血液が届かない。 - 瘀血 ・・・ 血流停滞
ドロドロ血液。血虚と同様、「血」の異常ではあるが、血がドロドロして血流が停滞している。中高年以降に増える傾向がある。 - 寒湿 ・・・ 水分過多
水毒。「水」の異常。水分量の偏りや冷たいものの取りすぎ。水分の取りすぎによって体が冷え、むくんだりする。
東洋医学でもやはり冷え性は血の異常という事で、貧血とドロドロ血液には注目します。
さらに「気」や「水」といった独特の考え方で、身体全体のバランスを整えます。
冷え性の改善方法
身体を暖める食事を意識する
食材には身体を暖める食べ物と身体を冷やす食べ物があります。
秋ナスは嫁に食わすな、という言葉をご存知の方も多いと思いますが、あれは嫁いびりという側面だけでなく、なすは身体を冷やしてしまうため子供ができにくくなる事を懸念した言葉でもあります。
身体を暖める食材と、逆に冷やしてしまう食材をまとめておきます。
身体を暖める食材
- 寒い時期にとれるもの
- 寒い土地でとれるもの
- 塩辛いもの
- 固くて水分の少ないもの
- 煮るのに時間がかかるもの
- 地面の下に生えるもの
- 熱を加えたもの
- 豆
- 干物
- 発酵食品
寒い時期や地域で取れるものを意識すると、身体を暖める食材が選べます。
具体的な食品はというと
- しょうが
- ねぎ
- にんにく
- にんじん
- 山芋
- ごぼう
- かぼちゃ
- 玉ねぎ
- にら
- りんご
- さくらんぼ
- 味噌
- 醤油
東北などの寒い地域が名産地になっているようなものや、煮ものに入れるような根菜類を中心に考えていくといいです。
注意点として、身体を暖める食品の中で、塩辛いものは酒さ症状を悪化させてしまう可能性が高いです。また、発酵食品も人によっては酒さの悪化要素となります。
身体を冷やす食材
- 暖かい時期にとれるもの
- 暖かい土地でとれるもの
- 人工的に精製したもの
- 生野菜
- 果物
- 嗜好品
- 動物性脂肪
身体を冷やす食材には人口精製したものや生野菜、果物や嗜好品などが並びます。
何となくなるほど、と思わせるようなリストですね。
また、暖かい地域や時期に取れるものが身体を冷やしますので、暖める食材とは正反対ですね。つまり、南国フルーツのようなものは身体を冷やします。
具体的な食材には
- トマト
- レタス
- キャベツ
- ナス
- こんにゃく
- 梨
- スイカ
- バナナ
- 白砂糖
などがあります。
砂糖や嗜好品を避け、油は植物性のものを使用する事を意識するといいです。野菜は生で食べないようにすることで多少回避できます。
身体を暖める飲み物を意識する
食事と同様、飲み物にも身体を暖める飲み物と冷やす飲み物があります。
- 色の濃い飲み物は身体を暖める
- 色の薄い飲み物は身体を冷やす
- 発酵されていると身体を暖める
- 発酵されていないと身体を冷やす
白色という薄い色のついている、豆乳や牛乳は身体を冷やします。
ワインであっても白ワインは身体を冷やし、赤ワインは身体を暖める、というように同じ飲み物であっても作用が違うこともあります。
黒豆茶は身体を暖める飲み物ですが、緑茶は冷やす飲み物。
製造過程で発酵されている紅茶は身体を暖めますが、発酵されていないコーヒーは身体を冷やす、などのような例もあります。
こういった材料の違いによる違いは、ホットで飲むかどうかには関係ありません。ホットコーヒーを飲んだら一時的に身体が温まりますが、その後身体を冷やします。
身体を暖める飲み物リスト
- しょうが湯
- 紅茶
- ほうじ茶
- 黒豆茶
- ウーロン茶
- 赤ワイン
- 日本酒
身体を冷やす飲み物リスト
- ジュース
- 清涼飲料水
- 牛乳
- 豆乳
- 緑茶
- コーヒー
- 白ワイン
- ビール
- ウィスキー
適度な運動をする
血行を良くするには、適度な運動が大事です。特にウォーキングや階段の昇降など、軽めの運動を意識すると日常生活にも取り入れやすいです。
マッサージや柔軟体操なども血行促進には効果的。
あくまで軽めの運動というところがポイントです。
汗だくになるような激しい運動は酒さ症状を悪化させますので、やりすぎには注意しましょう。
冷える部位を動かす
足や指先など、冷える部位を動かして血行を促進します。
つまさき立ちなどのつま先運動、屈伸運動を行うことで下半身の血行を良くします。
単純に足をぐるぐると回してみたり、マッサージなども効果的です。
シャワーでなく入浴を心がける
冷えの改善にはお風呂が効果的です。シャワーでなく浴槽にきちんとつかり、血行を良くします。
毎日の事ですから、シャワーをお風呂にするだけでかなりの違いがあります。
入浴と酒さ症状
注意したい点として、酒さ症状はお風呂で悪化するというような事が言われています。
確かに酒さに対して血管への刺激は避けた方がいいですし、お風呂上りは顔も真っ赤になるため、血行が良くなる入浴は避ける方が多いようです。
入浴に関しては人それぞれだと思いますが、身体が温まらない事によって長期的に見ると酒さ症状が悪化している可能性もあります。
私は入浴をしないと肌の調子が悪くなるタイプです。出産時に1か月入浴できずボロボロになった肌が、入浴を開始した途端に改善したこともあります。
入浴によるデメリットと入浴によるメリットを天秤にかけて、ライフスタイルに合わせて決めるといいですね。
入浴で顔が赤くなるのは酒さでなくても当然の症状です。入浴後にしばらく赤くても、ある程度時間が経ったらきちんと戻っていく場合には、あまり気にする必要はないかもしれません。
入浴のポイント
全身で入浴をする際はぬるめのお湯にしっかりとつかりましょう。
37度とか38度が理想で、40度を超えるような温度のお風呂は熱すぎます。お風呂で酒さが悪化すると思っている方は設定温度を見直してみて下さい。
顔のほてりや赤みが気になる場合には、半身浴や足湯などでじっくりと身体を暖める方法を取ってもいいかと思います。
温水と冷水を交互に使う
お風呂に入ったときに、温水と冷水を切り替えながら交互に当てると血行促進になります。
顔には当てず、足などの冷える部分に行うといいです。
水は冷たければ冷たいほどいいと言われていたりしますが、酒さの場合は極端な温度変化は避けた方が無難だと思います。
お風呂のお湯と、少し冷たいと感じる程度のぬるま湯程度でも効果はあります。
熱いお湯と冷たい水を交互に顔にかけるという行為は、できれば避けましょう。
冷え性改善に用いられる漢方薬
冷え性の改善に用いられる漢方薬には以下のようなものがあります。主に女性ホルモンのバランスを整えたり、血の異常に焦点を当てた漢方薬が多いです。
- 温経湯(ウンケイトウ)
- 加味逍遙散(カミショウヨウサン)
- 桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
- 真武湯(シンブトウ)
- 十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)
- 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)
- 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
以前の記事にも書きましたが、私の冷え性改善には「桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)」という漢方が大きく貢献していると感じています。
まとめ
冷え性というと、身体を暖め血行を良くすることが思い浮かびます。短期的にも長期的にも身体を暖める事を意識していくといいです。
顔ののぼせやほてりと同時に冷え性がある場合は、冷えのぼせという事になります。
特に酒さの場合、しょっちゅう顔の赤みやほてりを意識して、冷やしたりほてりを抑えたりという事を考えています。
ついつい冷たい飲み物やクーラーの効いた部屋で身体ごと冷やしてしまいそうになりますが、顔は冷やしても、身体全体は冷やさないように注意しましょう。
この冷え性対策、少し意識すると分かるのですが、結局は健康に良いとされる事をしていく事になります。
結果的に肌にも良い効果が表れますし、免疫や自律神経の乱れと酒さ症状の関係は大いに気になるところ。
冷え性の改善と酒さ症状の改善には重なる部分も多いため、取り組める範囲のものを意識して取り入れていくといいと思います。