先日ツイッターで、歯磨きをしたら顔の赤みが増すという話をお伺いしました。脱ステ直後は痛くなるほど荒れてしまったそうです。
酒さや酒さ様皮膚炎の症状と歯磨きって一見関係なさそうですが、ニキビや肌荒れの原因が歯科金属だったという話も聞きますし、口腔内の状態が肌と関係しているのは不思議ではありません。
そこでちょっと調べてみたら、歯磨き粉には合成界面活性剤が含まれているとのこと。
これは意外と知らなくて使っている方も多そうだと思ったので、記事にまとめておきます。
もくじ
歯磨きで顔が赤くなる理由
まず歯磨きで顔の赤みが増す理由を考えてみましたが、私の頭では物理刺激かケミカル成分しか思いつきませんでした・・・。
歯磨きの物理刺激に反応して赤くなる
まず歯を磨くときの物理刺激ですが、歯磨きって口の中にブラシを入れて磨きますから多少なりとも刺激はあるんですよね。
口の周りの皮膚は顔の中でも特に薄いですから、酒さや酒さ様皮膚炎を発症していると少しの刺激で赤くなります。
そのため、口腔内への刺激で口から近い箇所の赤みが増している、というパターン。口周りに症状が出ている酒さの方や口囲皮膚炎の方はあり得なくもないですね。
歯磨き指導で教えてもらった正しい歯の磨き方
以前に歯医者さんの歯磨き指導というもので受けたことがあります。
基本的に歯磨きというのは、正しくブラッシングすればそれほど力を入れなくて良く、ゴシゴシと磨いていたら力の入れすぎだという指導でした。
歯と歯ぐきの境目や歯と歯のあいだを小刻みに動かし、1~2本ずつ丁寧に磨いていくような指導で、力の入れ方は本当にソフト。
歯ブラシをグーで持っている人はその時点で既に力の入れすぎだそうです。鉛筆を持つような感じで人差し指と親指で歯ブラシを持ったら力を入れず、軽く磨いていくのが理想。
力の入れ方は軽いのですが、磨き方は丁寧に行うので、これは時間がかかるわ、と思った覚えがあります。
指導をしてくれた歯科助士さんの話では、そういう磨き方をするので一度の歯磨きに10~15分かけてくれ、と。それを聞いた瞬間、むり!と思いました・・・。
15分はかけられなくても、ちょっと力を入れているという自覚がある方は、ブラッシング方法を変えてみるのも一つの手ですね。
正しい歯の磨き方はライオンさんのホームページに詳しく乗っていました。
歯磨き粉の成分に反応して赤くなる
もう一つの可能性としては歯磨き粉の成分に反応して赤くなっているパターン。
物理刺激よりもこっちの方が可能性が高いんじゃないかと思います。
安価な歯磨き粉には、発泡剤として洗浄力の強い合成界面活性剤が使われているようです。
具体的に色々な歯科のホームページで「ラウリル硫酸ナトリウム」という成分が挙げられていました。
「ラウリル硫酸ナトリウム」と言えば、シャンプーの洗浄剤に使われることもあるほどの界面活性剤。シャンプーの洗浄成分の中でも「高級アルコール系」と言って洗浄力も強いけれど肌刺激の強いものになります。安価なので色々な製品に使われています。
ちなみにナトリウムの部分はNaなどのように短縮表記されることもありますので、
- ラウリル硫酸ナトリウム
- ラウリル硫酸Na
などと書かれているものは同じ界面活性剤。最近では刺激が強すぎて、安いシャンプーにすら入れるのを疑問視する声もあるそうです。
どうしてこんな刺激のある成分が歯磨き粉に使われているかというと、発がん性のリスクが否定されているから安全だという根拠に基づいたもののようです。発がん性のリスクがないというのは厚生省が出した公式の見解ですので、各社ともこれに基づいて商品開発を行います。
発がん性はなくても皮膚刺激はあるじゃないか、と突っ込みたくなったのは私だけでしょうか。
ウィキペディアには炎症は促進するけれども、発がん性や毒性はないというような記述があります。だから毒性はなくても、炎症を促進したらダメなんだって。
炎症
(中略)他のすべての界面活性剤と同じく皮脂を取り除くため、皮膚や眼などに炎症を起こす可能性がある。(中略)発癌可能性の論争
1970年代に発癌性が指摘され厚生労働省によって精密な追試が行われたが発癌性は確認されていない。東京都立環境衛生研究所の調査でも毒性は無いとの結論に達している。
歯磨き粉の界面活性剤をどの程度気にするべきか
歯磨き粉の界面活性剤は、洗浄成分として使われている訳ではなく、発泡剤として使われています。そのため使われている量もごく微量です。
安価な歯磨きには多くのメーカーが界面活性剤を配合しています。安価であるがゆえに使用する人数も膨大で、それで健康被害があるならとっくにそのような商品は発売できなくなっています。
そういった事からも、健康な方はそれほど気にしなくてもいいのではないかと思います。
一方で酒さや酒さ様皮膚炎のような皮膚疾患を持っている場合、少し気を付けて欲しいことがあります。
経口摂取というのは経皮摂取の数倍の吸収力があります。つまり、口に入れたものは肌に塗るものよりも多く吸収される、ということです。
洗浄力が高く刺激の強いシャンプーに使われるような洗浄成分が、頭皮の数倍の吸収率がある口から身体に入ります。
皮膚が弱っている時は、その刺激に反応してしまう事があってもおかしくないかと思います。
ラウリル硫酸ナトリウムの危険性については、歯科医院の院長先生のコラムがあります。分かりやすくまとめられていましたし、歯科医院の先生のお話ですから信頼性も高いですね。
歯磨きに歯磨き粉は必要ない?
余談ですが、私は歯磨きの時に歯磨き粉を(あまり)使いません。
先ほどの歯医者さんの歯磨き指導では、歯磨きに歯磨き粉は必要ない、と指導されました。ないと気持ち悪ければ本当に少量、歯ブラシの先にちょっとつける程度で十分だそうです。
歯磨きの画像って大体歯ブラシのブラシ部分にべったりと歯磨き粉がついていますが、あれではつけすぎと指導されました。
その時に界面活性剤の話をされた覚えはないのですが、随分前のことなのでひょっとしたら覚えていないだけかもしれません。
私はその歯磨き指導の歯磨き粉が必要ない、という部分はなぜか実践しておりまして。
あまり使わないというのは、使ってもごく少量、どうしても気持ち悪くなった時だけで、つける量も歯ブラシの先にちょっとです。
夫や長女はそのような事はなく、普通に歯磨き粉をつけて歯磨きをしています。
でも、よく考えたら真ん中の6歳児には歯磨き粉を使ってないんですよね。子供用の歯磨き粉ってあるじゃないですか。うち、買わないんです。
夫も長女も自分で歯を磨きますが、6歳児は私が磨くことが多かったので、私の習慣が移っているんでしょう。それでも虫歯になることもなく、歯科検診もいつも問題なしで帰ってきます。
私に取っては習慣化しすぎていて当たり前の行動でしたので、この記事を作るまで深く考えていませんでした。
大手メーカーの歯磨き粉にラウリル硫酸ナトリウムは入っているのか
本当に良く見かける歯磨き粉に、ラウリル硫酸ナトリウムなる界面活性剤が入っているか見てみました。
ライオン クリニカ
とりあえず選んだのは良く見かけるクリニカの歯磨き粉。ライオンさんの製品です。お値段は200円以下で買える程度のもの。
こちらの全成分は以下のようになっております。
湿潤剤…ソルビット液、PG、PEG4000/清掃剤…無水ケイ酸A/粘度調整剤…無水ケイ酸、ポリアクリル酸Na/発泡剤…ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液、POE硬化ヒマシ油、ラウリル硫酸Na/粘結剤…キサンタンガム、アルギン酸Na/香味剤…香料(マイルドミントタイプ)、サッカリンNa/安定剤…酸化Ti/清涼剤…メントール/洗浄剤…テトラデセンスルホン酸Na*1/薬用成分…フッ化ナトリウム(フッ素)/コーティング剤…ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド/保存剤…塩化ベンザルコニウム
・・・・ありました。その他にも合成っぽい名前の成分がたくさんです。決して合成成分そのものが悪いのではありませんが、肌が悪化している時は成分が増えるほど反応しやすいですね。
花王 クリアクリーン
もう一つくらい検証しましょう。同じライオンさんじゃ芸がないので、別の会社で。
花王さんのクリアクリーンも良く見かける商品ですね。お値段は300円程度。
クリアクリーンの全成分はこちらです。Amazonには表示がなくて公式サイトを見ないと表示されていませんでした。
湿潤剤:ソルビット液
基剤:水
清掃剤:MC顆粒、炭酸Ca
粘度調整剤:無水ケイ酸、CMC・Na
発泡剤:ラウリル硫酸塩
香味剤:香料(ナチュラルミントタイプ)、サッカリンNa
pH調整剤:リン酸1Na、水酸化ナトリウム液
薬用成分:モノフルオロリン酸ナトリウム、ベンゼトニウム塩化物
着色剤:青1
しっかりありますね。
安価な製品にはそこそこ配合されていると思っていいかもしれません。
発泡用途が主ですので、疑わしいのはシュワシュワと泡立つタイプ。洗った感があって気持ち良いですが、肌が反応している間は我慢して界面活性剤フリーのものを使いましょう。
界面活性剤不使用の歯磨き粉
歯磨き粉の値段もピンキリです。
合成界面活性剤フリーになればドラッグストアで安価に買えるものよりは少々値が上がります。また、歯周病に効く成分を配合してあったりホワイトニングができる歯磨きにすると数千円になることも。
記事の趣旨は歯周病予防でもホワイトニングでもありませんので、比較的安価に買えそうな合成界面活性剤フリーの商品だけ紹介します。
お値段は大体500円ちょっとくらいから(Amazon)。今まであまり意識していなかったので、ドラッグストアでどのように扱われているかはちょっと分かりません。今度見ておきます。
シャボン玉 せっけん歯磨き
自然派石けんの大手メーカー、シャボン玉石けんさんです。無添加せっけんと言ってメーカーを上げていくと、最初のうちに出てくるくらいには有名。私は真っ先に思いつきます。
真っ先に思いついたので歯磨き粉も探してみたら、やっぱり出してくれていました。
合成界面活性剤、サッカリン、防腐剤などを使用していないせっけん歯磨き。発泡剤として石けん素地を使っています。
成分も非常にシンプルで、やはり安心して使うことができるブランドです。
基剤:水
湿潤剤:ソルビトール
粘結剤:セルロースガム、ベントナイト
発泡剤:石ケン素地
香味剤:香料(ペパーミント)
パックスナチュロン ハミガキ
パックスナチュロンは太陽油脂さん。こちらのブランドも無添加せっけんで有名です。
口臭を防ぐ天然緑茶エキスを配合しつつ、お口の中を健やかに保つ甘草エキスや天然ビタミンEも配合。
こちらは洗浄剤として石けん素地を使用。
成分もとてもシンプルですが、シャボン玉さんよりもビタミンEや緑茶エキスなどの配合があります。
とにかくシンプルを求めるならシャボン玉さん。少し追加機能が欲しいならこちら。
arau. アラウ せっけん ハミガキ
arauさんも無添加石けんがコンセプトのブランド。ドラッグストアでも良く見かけますね。
合成界面活性剤やアルコールフリーの低刺激歯磨きで、使用後に味覚を損なわず、少ないすすぎですっきり。低発泡性なので電動歯ブラシとの相性も良いようです。
パックス ジェルはみがき
界面活性剤に限らず研磨剤すら気になるという方には、研磨剤不使用の歯磨きも。
研磨剤、発泡剤を使わない透明のジェルはみがき。合成成分不使用でキシリトール配合。清涼剤としてハーブを使用しています。
まとめ
酒さや酒さ様皮膚炎のような皮膚病って、思いがけないところに炎症ポイントや悪化ポイントがあったりしますよね。
今回の歯磨きもその一つ。
微量とはいえ、まさか歯磨きに合成の界面活性剤が含まれているとは思っていませんでした。
今回お話をお聞きした方(@hogehoge_moon)は歯磨き後に痛くなるくらいだったようで、最初から歯磨き粉を怪しんでいらっしゃいました。
こういう情報があると、歯磨きが悪化要因になっているなんて考えもしていない私のような人間には非常にありがたいです。ありがとうございます!
私もあごニキビばかりひどいですし、歯磨き粉はあまり使わないとは言えたまには使うので、ちょっと見直してみたいと思います。
歯磨き後に赤くなるという方や、歯磨きと洗顔を同時に行っていて洗顔で赤くなると思っている方は、一度歯磨きの方法や歯磨き粉を疑ってみてもいいかもしれません。