ただでさえ辛い酒さ様皮膚炎の症状ですが、妊娠している場合はできる事も極端に減ってしまいますので、さらに辛い思いをしながら治療をしていかなくてはなりません。
色々な体験談やご相談を拝見していると、妊娠や出産を機に酒さや酒さ様皮膚炎を発症してしまう方はとても多いように思います。
私自身も酒さ様皮膚炎発症時は妊婦で、妊娠が肌のバランスが崩れた一因となっているように思います。
そこで今回は、妊婦の酒さ様皮膚炎でどのような事が辛かったか、妊婦時代を忘れないうちにまとめておきたいと思います。
もくじ
妊娠と酒さ
妊娠を期に酒さや酒さ様皮膚炎を発症してしまう人も多くいらっしゃいます。
これはホルモンバランスが大きく崩れる事が原因の一つです。
酒さを発症しないまでも、妊娠を期にニキビや肌荒れに悩まされる方は珍しくありません。ホルモンと肌は密接に関係していますので、ホルモンバランスが崩れれば肌の不調となって現れます。
ホルモンバランスが乱れた結果、肌の水分量や皮脂量が崩れたり、敏感肌に傾いたりします。
こういう時は肌トラブルを起こしやすく、元々酒さの傾向がある方は症状がひどくなりやすくなります。
また、内服薬が飲めないことからステロイドに頼ってしまう場合も多く、酒さ様皮膚炎発症の一因ともなります。
私の妊娠と酒さ様皮膚炎
私の場合も妊娠した事がきっかけで肌のバランスが崩れ、それまで上手く付き合っていたステロイドに頼ってしまった結果の酒さ様皮膚炎でした。
妊娠した事でそれまで生理前ニキビを抑えるのに使っていたミノマイシンという抗生物質が飲めなくなった事も、ステロイドに頼ってしまったきっかけの一つです。
元々ニキビ肌で生理前ニキビがひどく、人前に出れないほど悪化してしまうので生理前は必ずと言っていいほどミノマイシンで抑えていました。
ステロイドは補助程度にしか使用していなかったのですが、妊娠した事でミノマイシンで抑えることが出来なくなり、ステロイドで抑えようとした結果、ニキビよりもひどい酒さ様皮膚炎となってしまいました。
妊婦の酒さ様皮膚炎で辛かったところ
抗生物質やかゆみ止めが飲めない
酒さ様皮膚炎を発症したばかりの頃はひどい炎症と浸出液や膿、かゆみにひりつきと言った辛い症状に悩まされます。
その症状を少しでも和らげることのできるのが抗生物質だったりかゆみ止めだったりしますが、妊婦の場合はこの抗生物質が飲めません。
痒かろうが発症部位が熱かろうが、とにかく一瞬でも楽になる方法がなく、ひたすらに耐えるしかありません。
抗生物質を処方して頂いたからといって酒さ様皮膚炎が治るわけではなく、発症時の症状を和らげるだけではありますが、それでもあの痒みや肌のつっぱり、炎症に膿に浸出液が少しでも緩和されるかどうかと言うのは大きな違いです。
少しでも楽になりたいのになる事ができず、ネットで他の方の治療記録を読んでも、抗生物質を処方して頂けて羨ましい、などと考えてしまいます。
抗生物質を処方して頂いても丸っきり楽になる訳ではありませんし、処方して頂いたとしても今度は長期服用への不安がついて回ります。
それでも抗生物質が飲めれば少しは楽だったかもしれない、と恨みがましく考えてしまうことも多々ありました。
ビタミン剤や漢方も飲めない
抗生物質に限らず、漢方薬やビタミン剤の処方すらして頂けない事も多くあります。一般的に妊婦に対しての内服薬の処方はとても慎重です。
このため、肝心の体内からの改善を助けるアプローチが取れません。
ビタミン剤は食事に気をつければ済むことなのかもしれませんが、ただでさえつわりなどで体調変化の激しい妊娠中。思うように食事を摂る事もままなりません。
サプリに頼りたいところですが、大抵のサプリには妊娠中の服用は医師に相談するようにとの注意書きがあります。
そこで医師に相談すると、飲む類のものは全て否定される事もあります。
酒さ様皮膚炎の発症初期はスキンケア的なアプローチができないにも関わらず、体内からのアプローチもできないとなると本当に何も出来なくなってしまいます。
私の場合は産婦人科の主治医に許可をとり、皮膚科の主治医にかなり嫌がられながらもビタミン剤と漢方薬を処方して頂いた経緯があります。
これもすんなり処方していただけたわけではなく、産婦人科の医師と皮膚科の医師それぞれにとても苦労しながらお願いした記憶があります。
医者に見放される
酒さは元々難治性の皮膚病で、寛解するけど完治はない、などと言われる事もあります。
体験談をお伺いした中でもとても極端な例ではありますが、うちでできる事はなにもない、などと患者を突き放すような事を言うお医者さまもいらっしゃいます。
さらに妊娠中ですと飲み薬もダメ、ビタミン剤などもできれば処方したくない、酒さや酒さ様皮膚炎には塗り薬もダメ。
と八方塞の手詰まり状態になってしまいます。
医師にできる事が少ないのは事実ではありますが、丸っきり突き放してウチでは診たくないという態度を取られる可能性もあり、ただでさえ不安定な精神状態の中にさらに追い討ちをかけられます。
それでもきちんとしたお医者さまであれば、できる事がない、または少ないという説明をしてくれた上でどういう風に過ごせばいいかのアドバイスをくれます。
私自身も医師から
という言葉は言われています。
私の場合は年単位の通院暦があり面識のある医師が相手でしたので、それほど嫌な印象を受けませんでしたが、相性が悪い医師や言い方のきつい医師が相手であればかなりの精神的ダメージを受けたように思います。
運動ができない
何か塗る事も飲む事もできず、医者にもできる事はないと言われ、せめて代謝を良くしようと思っても、妊婦ですので運動にも制限がかかります。
汗をかくような激しい運動はもちろん、お腹が大きくなってくれば手軽に始められるジョギングなどもできません。
マタニティスイミングや軽いウォーキングなどもありますが、それでも健常時と比べるとできる事に制限があります。
また、お腹の赤ちゃんの状態によっては軽い運動すら止められる可能性もあり、こればかりは赤ちゃん次第。
お腹の赤ちゃんが最優先ですので、運動を止められたら、きちんと休養することを考えなくてはなりません。
妊婦の症状にも悩まされる
当然なんですが、酒さや酒さ様皮膚炎だからと言って妊婦特有のつわりや倦怠感などが軽減されるわけではありません。
妊婦特有の症状と言っても人によって違いますが、重い人では妊娠中毒症で入院するほど。
後期になってくれば大きくなったお腹で少し動いただけで疲れてしまいます。
特に妊娠を期に酒さ様皮膚炎を発症した場合は、妊娠初期に始まるつわりの症状と、酒さ様の脱ステロイド初期に見舞われる激しい炎症が重なってしまう事もあり、文字通り身も心もボロボロになります。
私も妊娠初期はつわりやめまいに悩まされ、後期に入れば落ち着くかと思えばさらにひどい症状に悩まされて一日中ベッドにいた時期があります。
マタニティ教室などに参加できない
顔の中心部にとても目立つ炎症や皮むけなど、とても人前に出れる姿ではありません。
これは見た目の問題ですので、厳密に言えば参加できないことはないのですが、やはり参加すると周りの好奇の目にさらされます。
人によっては無遠慮にどうしたのか聞いてくる人もいますし、聞いてこないまでも視線や態度で引かれているのが分かってしまったりします。
こうなるとマタニティ教室などに参加するのも億劫で、どうしても出かけるのが嫌になってしまいます。
結果としてママ友があまりできず、育児情報等の交換があまりできなかったりします。
特に地域に特有の情報はネット検索でどうにかなる性質のものではありませんので、こういった地域情報に疎くなってしまい、育児すらままならないと自分を責めるきっかけになってしまったりします。
まとめ
酒さや酒さ様皮膚炎は治療法も確立されておらず、ネット上に情報も少ない病気です。
さらに妊婦という状況まで加わると、ほとんどと言っていいほど情報が見当たらず、こんな思いをしているのは自分だけ、など悲観的な気分になってしまいがちです。
自分が妊婦だった頃も、気になる治療法を見つけても妊婦では実践できずに絶望したりしていました。
このブログを始めてから色々な方の体験談やご相談を伺う機会があり、妊娠中でなおかつ酒さや酒さ様皮膚炎、という方が多くいらっしゃるのを目の当たりにしました。
皆さん、同じような悩み、苦しみを抱えてそれでも一生懸命前に進んでらっしゃいます。
これからもそんな方のお役に立てるよう、妊娠中に辛いと思ったことをまとめました。
当初の予定では「妊婦で辛かったことと妊娠中でもできる事」のような形で、妊婦でも実践しやすい治療法を併記する予定でした。
書いているうちに辛かった事だけで長文となってしまいましたので、妊娠中に実践したことなどは別の記事にしたいと思います。
今回は辛いことだけをまとめた少し暗い記事になってしまいましたが、似たような境遇の方の励みにでもなれば幸いです。