酒さの原因の一つとして、顔ダニが挙げられています。
酒さ患者さんはこの顔ダニの繁殖が異常に多い傾向にある、との研究結果が出ています。
そのため、顔ダニを殺菌、駆除することのできる石けんで酒さ症状が改善したという方がいらっしゃいます。
一方で、顔ダニ石鹸を使っても効果がなかった、というような口コミだけでなく、酒さ症状が却って悪化した、というような口コミも見かけますよね。
一体どれが正しいのか迷ってしまいますが、これは顔ダニの性質と酒さの関係を理解すると納得がいきます。
今回は顔ダニ石鹸がどうして酒さに効くのか、また酒さ症状を悪化させないためにはどうやって顔ダニ石けんを使っていったらいいのか、まとめてみました。
もくじ
顔ダニとは
酒さの原因には様々な要素が挙げられていますが、その中の一つが顔ダニ。
顔ダニというのはニキビダニとかデモデクス、毛包虫などと言われているもので、人の皮膚には必ず存在する寄生虫の一種です。
顔ダニはニキビの原因としても知られていますし、ニキビダニという命名からもとても嫌なイメージですが、顔ダニがいること自体は問題ではありません。
顔ダニは人の肌の皮脂腺に存在しており、皮脂腺の細胞や皮脂をエサとして生きています。人の顔には多くの皮脂腺が存在することから、「顔ダニ」とも呼ばれることになりました。
この顔ダニですが、皮脂をエサとして生きていますので、通常であれば余分な皮脂を食べてくれる存在です。余分な皮脂を食べ、皮膚の表面を正常な状態に保つ役割があります。
顔ダニには数千種類の種がいると言われていますが、人に生息するのはその中でも2種類。
皮脂腺の浅い部分に複数で生息するニキビダニか、皮脂腺の深い部分に単独で生息するコニキビダニ。どっちにしろニキビダニです。
夜行性で脱皮を繰り返して成長していき、14日ほどの寿命と言われています。
顔ダニと酒さ
通常であればそのような働きをしている顔ダニさんですが、酒さやニキビ肌の方々は、顔ダニが異常繁殖していることがあります。
酒さに関しては顔ダニの異常繁殖が原因の一つであるとも言われています。
顔ダニが異常繁殖しますと顔ダニの死骸や脱皮した抜け殻、フンなどの量も増え、肌に残りやすくなります。そしてその死骸やフンが毛穴をふさぎ、結果としてニキビになりやすくなります。
酒さ症状の一つとして、丘疹(ニキビのようなブツブツ)や膿疱(膿をもったブツブツ)が挙げられますが、顔ダニが引き起こす症状もこういったブツブツです。
また、その他の酒さの原因として、免疫異常や腸内細菌の異常が挙げられています。
酒さの原因の一つとしても指摘されている免疫異常も、顔ダニを増殖させる原因の一つです。
酒さ患者にはカテリシジンという抗菌ペプチドが異常発生していて免疫系統に悪さをしているとも言われていますが、皮膚感染症や皮膚バリアの破壊はカテリシジンの産生を促進します。
つまり、顔ダニの異常増殖は直接的にニキビ状の発疹を引き起こすだけでなく、皮膚バリアの破壊も引き起こし、酒さのもう一つの原因とされているカテリシジンの増殖も引き起こします。
顔ダニと酒さに関しては全米酒さ協会も1ページ割いて解説しています。その中で上記のカテリシジン顔ダニの関係や、顔ダニが好んで生殖する場所が酒さ症状を発症しやすい場所と合致していることなどの他、様々な顔ダニと酒さに関することが書いてあります。
顔ダニと酒さ様皮膚炎
また、酒さ様皮膚炎の場合も顔ダニと深い関係があります。
酒さ様皮膚炎の原因となっているのはステロイドですが、このステロイドには顔ダニを増殖させる副作用があります。ステロイド剤には皮膚の免疫力を下げてしまう働きがありますので、顔ダニが増殖しやすい環境になるんですね。
ニキビにステロイドを使うと悪化する可能性がある、と言われるのはこのことが理由です。
酒さ様皮膚炎の方々は長期に渡ってステロイドを使用したがゆえに酒さ様皮膚炎になっていますので、顔ダニの増殖が起こっている可能性が高いです。
ステロイドの離脱症状にはひどい発疹や膿疱も含まれますが、それもステロイドの副作用によって顔ダニが異常に増殖していることが理由の一つです。
顔ダニの増えすぎで起こる症状
顔ダニが増えすぎたがために起こる症状には以下のようなものがあります。
かゆみ
顔ダニが増殖して活動が活発になると、ダニの死骸や抜け殻も増えます。それらがアレルギー症状を引き起こし、かゆみが生じることがあります。
酒さのかゆみの原因の一つかもしれませんね。
顔ダニは夜行性のため、夜寝ている間に活動します。夜のうちに顔の表面に出てきて老廃物を置いていきます。朝かゆみを感じる場合は、夜のうちに活動した顔ダニの影響も考えられます。
ニキビ
顔ダニの死骸や抜け殻、フンが増えすぎると、毛穴につまって炎症を起こし、ニキビの原因になります。
丘疹や皮疹、膿疱と呼ばれるものです。つまりはニキビのようなブツブツで膿を伴う場合もありますが、赤くプツプツとなるだけの場合もあります。
人によって出方は違いますが、ブツブツは酒さの方のお馴染みだと思います。
乾燥
顔ダニの好物は皮脂です。顔ダニが増えすぎると皮脂を多く食べてしまうため、本来必要な皮脂まで食べられてしまい、乾燥を誘発します。
人の皮膚というのは、皮脂が足りなければ肌バリアを守るためにも却って皮脂を出そうとします。皮脂が増えれば顔ダニの増殖には好条件となりますので、悪循環に陥ってしまう可能性もあります。
酒さは肌の内部は乾燥しているのに皮脂だけ以上に分泌する「インナードライ」の傾向をお持ちの方が多く、乾燥は酒さ症状を悪化もさせます。
肌老化
顔ダニの活動が活発になればダニの爪や口で細胞が傷つきます。細胞が傷つくと活性酸素が大量に発生しますので、老化の原因にもなります。
肌老化が進むと肌のハリや艶がなくなっていき、シワになりやすくなります。
毛穴の開き
顔ダニは皮脂腺に生息しますので、活動が活発になれば皮脂腺への出入りが多くなります。皮脂腺から出てきて肌表面の細胞を食べ、また皮脂腺に戻るというような活動を繰り返します。
そのため毛穴の開きが促進します。
酒さ症状が発症している部位だけ毛穴が開いていたりするのは、こういった理由もあるかもしれません。
顔ダニ石けんで酒さが悪化する仕組み
顔ダニを除菌できるような石けんが売られています。抗菌作用の強い石けんで、こういった顔ダニ石けんを使って洗顔することで、顔ダニを死滅させることができます。
顔ダニが異常繁殖している場合に使えば、顔ダニを減少させることで酒さ症状の改善が期待できます。
顔ダニ石けんを使って酒さ症状が改善したというお話もたくさん聞きますよね。一方で、全く効かなかったという人もいますし、却って悪化した、という話まであります。
ここではまず、顔ダニ石けんで酒さ症状が悪化してしまう場合の仕組みを見ていきます。
悪化してしまう場合に注意しておきたいポイントは、以下のような点。
- 石けんの脱脂力が強すぎる
- 石けんの殺菌力が強すぎる
- 顔ダニが異常繁殖していないのに顔ダニ石けんを使っている
石けんの刺激に注意してみよう
石けん洗顔というのは脱脂力が強く、肌刺激も強い洗顔方法です。
無添加石けんなどは界面活性剤が肌に残りにくいというメリットはあるものの、アルカリ性の性質で汚れを落とします。人の肌は弱酸性ですから、アルカリの刺激があるだけで刺激になります。
石けんそのものの特性に関しては以前にまとめてあるので、そちらをご覧ください。
殺菌力に注意してみよう
また、顔ダニというのは人の皮膚に存在してもいいものです。バランス良く存在している分には余分な皮脂を食べ、皮膚のバリア層を守ってくれる存在です。
こうしてバランスを保っている顔ダニを根こそぎ殺してしまうと、皮脂を食べてくれるものがいなくなり、皮膚の皮脂バランスが崩れてバリア層が破壊されます。
つまり、何でもかんでも根こそぎ除菌すればいいという訳ではなく、適度に残す必要があるんですね。
顔ダニは多すぎても少なすぎても弊害を起こします。殺菌力の強い顔ダニ石けんで自分に必要な顔ダニまで退治してしまっていないか、注意しながら使う必要があります。
顔ダニ石けんで洗う必要があるかどうか注意してみよう
上記の殺菌力と似たような話ですが、そもそも顔ダニが異常繁殖してない箇所に殺菌力の強い顔ダニ石けんを使う必要はありません。
顔ダニに限らず、人間の皮膚には皮膚常在菌という肌を守る働きをする菌がいます。顔ダニは厳密に言えば寄生虫の一種かもしれませんが、働きとしては皮膚常在菌と同じものです。
顔ダニ石けんは顔ダニだけを選んで殺してくれる訳ではなく、とにかく殺菌を行うことで顔ダニを退治します。
逆に言えば、本来肌に必要なはずの皮膚常在菌まで殺してしまうのです。
皮膚常在菌も顔ダニと同じく、多すぎても少なすぎてもいけないという性質を持つものが多く、下手に除菌を行うことでこのバランスを崩してしまいます。
顔ダニが異常繁殖していないにも関わらず顔ダニ石けんで洗顔をすれば、肌に必要な菌まで殺してしまうことになります。その結果として酒さ症状が悪化する、ということが起こります。
顔ダニ石けんが使える酒さか見極めよう
ここまで顔ダニの特徴や、顔ダニ石けんで悪化してしまう場合を見てきました。
こういったことが分かると、自分の酒さ肌へはどのように顔ダニ石けんを使っていったらいいか判断できます。
酒さと言っても人それぞれで症状が違う
まず酒さと言っても色々なタイプがいて、顔に赤みがあるだけの方もいればブツブツを伴う方もいます。
糸ミミズのような毛細血管の拡張が見えるような人もいれば、発症部位が全体的にぼんやりと赤くなっているようなタイプも。
酒さという病気だけとっても、細かいところは人それぞれなんですね。
顔ダニの効果が出そうな酒さかどうかの判断ポイント
その中で顔ダニによる効果が期待できそうなのは、何といっても顔ダニの影響で酒さ症状が悪化している人です。
当たり前のことなのですが、よく考えてみてください。自分の酒さ症状に顔ダニの特徴があるかどうか、ですね。もっと分かりやすく言うと、ブツブツしているかどうか、です。
顔ダニはニキビの原因にもなっていますし、異常に増殖すれば必ずニキビのようなブツブツが出てきます。
こういったブツブツを伴う酒さ症状の場合、顔ダニ石けんで改善を見込める可能性がありますね。
顔ダニ石けんの見極め方の一例:私の場合
私の酒さ症状を軽くご説明します。
私の場合、酒さ様皮膚炎の脱ステ症状が治まった直後は、顔の中でも頬とアゴにニキビができていました。
その後脱ステ1年以上たって、今では頬にニキビができることはなくなってきましたが、アゴにはまだできます。
先ほどの顔ダニ石けんが今の私の酒さに効果が出そうかどうか考えた場合、アゴであれば効果的に働く可能性がありますね。
逆に今はブツブツができない頬には使ってはいけないと判断できます。
そして、使うのであればニキビがひどくなる生理前などにアゴにだけ使い、ブツブツが枯れてきたら使うのを止めるのが効果的に思います。
私は現在顔ダニ石けんは使っていませんが、もし今使うのであればこのような使い方をすると思います。
まとめ
顔ダニ石けんが酒さに効く、と言われると、酒さ症状を改善させようと毎日何回も顔ダニ石けんで洗顔してしまう方もいます。
それが結果的に酒さ症状を悪化させてしまう可能性があるのですが、何が原因か分からないと顔ダニ石けんが良くなかったと思ってしまいますよね。
顔ダニ石けんが酒さに効くのには、今までお話ししてきたような理由があります。その理由を踏まえて、自分の酒さ症状に合うかどうかを考えてみてください。
また、効かなかったという場合は、顔ダニが原因の酒さではなかったと原因を切り分けることができますよね。
悪化してしまった場合には、どの行為がいけなかったのか、振り返る指針になるかと思います。
酒さ症状も人それぞれですし、酒さの原因となっている要因も人それぞれ。
使って良かった場合もダメだった場合も、結果を分析してこれからの治療に役立てるようにしていければいいのではないかと思います。
コメント
はじめまして!私は妊婦で酒さよう皮膚炎になってしまった者です。妊娠中になってしまった口角炎とニキビを皮膚科でもらったステロイドを塗り範囲が悪化、別の皮膚科ではとびひと診断されて、抗生剤と別のステロイドを処方され、治したい一心でそれを信じて使った結果、初めは少し改善したものの、ある時から口の周り全体が真っ赤に!!これはおかしい!と自分で色々調べたところ、ローザさんのサイトを見つけ、全く自分と同じ症状!とビックリ。皮膚科では教えてくれなかった酒さよう皮膚炎と初めて分かりました。
脱ステと水洗顔をはじめて約2週間、鏡をみては落ち込む毎日ですが、こちらのサイトを参考にさせて頂きながら少しずつでも治ると信じて頑張ります。ぜひ色々と教えてください。よろしくお願いします。
こまめさん、初めまして。
コメントありがとうございます!
私も妊娠を期にそれまでのニキビ治療ができなくなり、一気にバランスが崩れて酒さ様皮膚炎になってしまいました><
妊娠中だと飲める薬も限られていますし、ステロイドの離脱症状を抑えてくれるお薬なんかも飲めないのでお辛いと思いますo(TヘTo)
脱ステロイドを行っている場合はとにかくステの離脱症状を落ち着かせることが最優先になるかと思います。
積極的な治療が行えず、肌を傷めないようにしながら治るのを待つという何とも消極的なやり方で、焦りを感じてしまうと思いますが、必ず良くなっていきますので一緒に頑張りましょうΣ(σ`・ω・´)σ
このサイトがこまめさんのお役に立てれば幸いです。
私に分かることであれば何でもお答えしますので、またいつでも遊びにいらしてください!
早速のコメント、本当にありがとうございます。そうなんです。飲み薬なども飲めないので、本当に何もせず、水と夜は無添加石鹸を泡立てて優しく洗ってみていますが、今は炎症期〜皮向け期への移行期間なのか、鱗のような黄色っぽい皮膚ができては剥がれ落ち、赤みもまだまだひどい状態です。。でも一番ひどかった時の痒みや熱のようなものはなくなってきたかも、、?
今のところ炎症がひどいのは口の周りが中心ですが、保湿を全くしていないせいか、ホルモンバランスのせいなのか、ここ数日は頬や顎にも少し赤みやニキビができてしまいました>_<炎症がひどくない部分は保湿をしてもいいのでしょうか?他に妊娠中でもできることはありますか?
出産まであと2ヶ月半あまり。色々他にもトラブルも重なり心が折れそうですが、こちらのサイトを拝見させて頂きながら少しでも前向きに頑張りたいです!
皮剥けが始まると炎症は最初の頃よりは治まっていると思いますが、まだまだ肌の奥では炎症を起こしている状態ですのでもうしばらくは優しく扱ってあげてください。
鱗のようなコーンフレーク状の皮むけが、そのうちどんどん小さくなっていって、最後には粉吹き状態になります。
これはこれで炎症期とは違う辛さがあるのですが、少しリバウンドのようなものがあっても必ず最後にはきれいな肌になりますので大丈夫ですよ。
石けん洗顔は本来肌に良いもののはずなのですが、石けんが持つアルカリ性という性質と脱脂力が強いという特徴のため、一部の方は石けん洗顔で肌を傷めることもあります。
全ての方に当てはまる訳ではありませんが、今まで色々お伺いした中で、石けんが合いやすい方は皮脂の分泌が多い方が石けん洗顔が合いやすいようです。
逆に乾燥気味のお肌の方は石けん洗顔が合いにくいようで、私と同じように(私も乾燥タイプです)石けんで肌荒れする場合が多いです。
「石けん」に関する記事一覧
私は毎日石けんを使うとどうしても肌荒れするので、普段はメイクをしなくてもコールドクリームのようなもので洗顔をしています。
私はクリームを愛用していますが、肌質によってはミルククレンジングの方が油分が少なく洗えます。
とはいえ、今石けん洗顔で気持ちよく洗えているのであればわざわざ変える必要はないと思います。この辺は本当に人によりますので。
コールドクリーム洗顔で酒さ様肌を改善しよう。水洗顔が物足りなくなった肌に最適。
保湿と脱保湿に関しては難しいんですよね><
人によってまるっきり違いますし、同じ人でも保湿が必要な時期と脱保湿で改善する時期があったりしますので(;><)
私も脱保湿でぐいっと改善したかと思えば、保湿で改善する時期もありました。
この辺りお肌の様子を見ながら判断していくしかないと思いますが、何かあればいつでも聞いてください!
でも、炎症していない部位には保湿してあげてもいいと思いますよ。健康なお肌の基本は保湿ですから。
もし炎症が広がったりするようでしたらすぐに止める感じで。
保湿か脱保湿かは酒さ様皮膚炎最大のテーマ。今の自分にどちらがいいかを考える。
妊娠中にできることは少なくなってしまいますが、紫外線対策や腸内改善など、まるっきり何もできない訳ではありません。
抗生物質が飲めなくて辛いのですが、抗生物質を飲んだからと言って酒さ様皮膚炎が治る訳ではありません。
飲んでいる間はブツブツやかゆかゆなどの症状を抑えてくれるので、飲めればとても助かることは確かですが><
私が妊娠中にしたことなどを含め、酒さと妊娠に関しては以下のページでまとめてあります。
ほとんど体験談のような気がしますが、何かのお役に立てれば幸いです。
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ご出産までもう少しですからお腹も大きくなって、動くのも大変になる時期ですね。
2か月半あれば肌の改善も進むと思いますし、赤ちゃん産まれるまでにはまだまだ綺麗になりますよ!
こまめさんの赤ちゃんが元気に産まれてくるのがとても楽しみですヾ(*≧∀≦*)ノ
今が一番お辛いと思いますが、前向きになろうとされている姿勢はとても素敵です。
何かできることがあれば、いつでも遠慮なく仰って下さいねo(-`д´- o)