酒さ様皮膚炎の肌にお勧めのワセリン使用例第2弾です。
第1弾は真っ先に思いつくと思われるスキンケアへの使用法でしたが、今回はワセリンの持つ保護機能に注目するとどんな使い方ができるかを見ていきたいと思います。
ワセリンは保護剤としての性質がとても優れているので、この特性を利用してどんな事から肌を守れるかが焦点となります。
ワセリン使用例第1弾はこちら
もくじ
界面活性剤からの防御
界面活性剤と酒さ様皮膚炎
酒さ様皮膚炎に界面活性剤は大敵です。界面活性剤は肌に残ると皮膚のバリア層を破壊します。石けんやクレンジングなどには界面活性剤が使用されていますが、通常は洗い流すためこれが問題になる事は少ないです。
通常は問題にならなくても、酒さよう皮膚炎の肌には大問題です。極端に薄くなった肌はバリア層も極端に低下しています。
そのような状態の肌では、通常問題にならない量の界面活性剤ですら刺激になる可能性が高いのです。
そのため酒さ様皮膚炎では、洗顔をしなかったり保湿をしなかったりする脱保湿や水洗顔などが推奨されることがあります。
これは極端に弱った肌を界面活性剤の刺激や皮膚に触る刺激から排除するという、とても合理的な考えです。
洗顔を止めても防げない界面活性剤
さて、石けんやクレンジングを使った洗顔を止めても、生活していくうえでどうしても顔に触れてしまう界面活性剤があります。
髪を洗う時のシャンプーやリンスがそれに当たります。
顔に直接触れる洗顔やクレンジングは止めることができても、さすがに髪を洗うのを止めるわけにはいきません。
シャンプー自体を低刺激のものに変えるのはとてもいいアイディアですが、すぐに変える事ができなかったりせっかく買ってきたものが合わなかったりする可能性もあります。
そこでワセリンの出番です。
ワセリンでシャンプーの刺激から守る
ワセリンは肌に乗せても吸収されず、油の膜を張って水分を逃がさないようにする働きがあります。
油の膜を張るという事は水を弾くという事です。試してみると分かりますが、ワセリンをたくさん塗った肌を水にさらしても水を弾くだけでワセリンは落ちません。
また、ワセリンをべったりと塗っておくと石けんで洗ってもなかなか落ちません。石けんは界面活性剤そのものです。
つまり、ワセリンで界面活性剤から肌を守ることができるのです。通常だと使用感が悪いだけのベタベタですが、このワセリン特有のベタベタが最高の防御機能を発揮してくれます。
シャンプー前ワセリンの使用法
スキンケアとして使用する場合はなるべく薄く延ばして塗るのですが、界面活性剤からの保護を目的として使用する場合はなるべくたくさん塗ります。
シャンプー前の顔にワセリンをべたっと塗ります。スキンケアの場合は米粒程度を手のひらで伸ばすのが目安量でしたが、シャンプー前の場合は人差し指で2すくいくらいしてもいいくらいです。
私はケースに詰め替えてるのでこんな表現になりましたが、チューブタイプだとどんなもんなんでしょう。チューブの太さにもよりそうですが、人差し指の第1関節くらい出してもいいような気がします。
量を増やすだけで、塗り方はスキンケア時と同様です。
手のひらに伸ばして押し当てるように塗っていきます。この塗り方が一番肌に刺激がないので、塗り方はなるべくこれを守ります。
先ほど量の目安を書きましたが、一気にたくさん出して1回で塗ってしまうよりも、2回くらいに分けてやる方が塗りやすいと思います。
感覚としてはワセリンの膜を押し付けてる感じですね。
ベタベタの膜ができたらシャンプーとリンスをします。
シャンプー後のワセリンの処理
シャンプー時にワセリンで保護膜を作ることによって、シャンプーやリンスなどの界面活性剤から肌は守れます。ですが、その後肌に残ったワセリンはどうしようという問題につきあたります。
このワセリンを落とすために洗顔をするようでは本末転倒に思えます。
無理に落とさずそのままにしておけば皮膚の保護剤にもなるので、酒さ様で傷だらけの肌にはいいのですが、あまりにもベタベタしすぎます。
これはシャンプー後にぬるま湯で落とせる分だけ落として下さい。ワセリンは油なのでお湯に溶けます。お湯の温度を少し高くすれば多少落ちやすくなりますが、湯温が高すぎると肌の刺激になるのであまり高くはしないようにしましょう。
それでも残ったワセリンは、水分と一緒に肌に伸ばしておくといいです。酒さ様の肌では洗顔でもそうですが、落としきろうとしない事が大事です。
わざと顔をベタベタにするので使用感はもう最悪なのですが、シャンプーの刺激から肌を守る効果は抜群です。
何度かやってみると、お湯で流せる適量がつかめます。適量をつかむまでちょっとコツがいる方法なのですが、安価なワセリンでシャンプーの刺激から肌を守れますのでぜひ試してみてください。
手荒れに応用
この使用法は、シャンプーに限らず主婦湿疹や冬の手あれにも応用できます。洗い物などで手あれを起こしてしまう方は手でも試してみてください。
ワセリンをベタベタに塗ってからビニール手袋をして寝ると、翌朝とてもしっとりします。ビニール手袋は使い捨てのものがいいです。
ワセリンは傷口にも使用できますので、あかぎれにべたっと塗っておくと水や洗剤の刺激から肌を守ってくれますよ。
寝具からの防御
界面活性剤と同様、無意識に酒さ様皮膚炎の肌を傷つけやすいのが実は寝具です。
寝ている間というのは無意識にかいてしまったり、こすってしまったり。それだけではなく、枕や布団の刺激がけっこうあります。
私は夜はっと気がつくと、かゆすぎて布団でかいてた、なんて最悪の経験が何度もあります。タオルケットでかくの、気持ちいいんですよね。寝てる間に無意識でかいて、気がつくと自己嫌悪。
酒さ様の炎症期はそんな事の繰り返しです。特に発症したばかりの頃から炎症が一段落つくまでは、寝具や自分の手からも肌を防御して炎症を悪化させないように気をつけたいところです。
寝具防御のワセリン使用法
これも保護としての使い方がメインとなるので基本的にはたっぷり塗ります。
寝る前にたっぷり塗って休み、朝の洗顔でそれでも残っている余分なワセリンを落とします。朝になると意外と取れているもので、洗顔にそれほど神経質にならなくてもぬるま湯での水洗顔で落ちるレベルです。
あまりベタベタにしてしまうと寝具が汚れてしまうのですが、枕はフェイスタオルを敷いて寝ることで枕自体が汚れるのが防げます。
タオルを毎日変える事で清潔も保てますので一石二鳥です。雑菌も酒さ様皮膚炎が避けたいものの一つですので。
私は炎症がひどい時には、さらにプラスでマスクをして寝ていました。顔を冷やすために保冷剤をマスクで抑えていたので、寝るときは保冷剤とマスクとワセリンがセットな感じでした。
ワセリンの上からマスクをして寝ると寝具が汚れるのも防げますし、外気からも守ってくれます。自分の呼吸で潤いが保てるので、マスクなしより水分が逃げにくくなります。
難点はマスクの質によっては少々蒸れるくらいになる事。慣れるまでは少々寝苦しかったのですが、通気性の良いマスクをするようにしたら気にならなくなりました。
まとめ
ワセリンはとても優秀な保護剤なので、スキンケアだけに使用するのは少々もったいないです。一家に一つあると便利な万能薬的イメージで色々な事に使えます。
顔だけじゃなくて全身使用できますので、肌の状態が改善してきても色々と使い道はあります。
特にこれから冬に向けて乾燥が厳しくなるので、ひび割れしやすい方はかかとに塗ったりするのもいいと思います。
お子さんのいる方はオムツかぶれの予防やあせもに使えたりと使用用途は幅広いのですが、酒さ様皮膚炎と関係なくなるのでこの辺にしときます。
スキンケアとして使う場合も、酒さ様皮膚炎では皮膚の保護の意味合いを込めて少々多めに使ってみてもいいです。
必ずしも私の紹介した使い方をしなければいけない訳ではありませんので、皆さんに合った使い方を見つけてくださればと思います。