今回は脱ステを、保湿を使って上手に乗り越えられている方の体験談をご紹介します。
色々とお話しさせて頂いていると、脱ステ中の保湿法、スキンケア法には多くの方が悩まれています。
やっかいな事にこの脱ステ、肌質や体質、生活スタイルまで人それぞれですので、正解というものがありません。
脱ステというと脱保湿が取り上げられやすいのですが、実際は保湿で回復する人もいれば、脱保湿で回復する人もいます。
今回ご紹介するあーこさんは、保湿をとても上手に利用されている方。
お写真を拝見させて頂きましたが、脱ステ直後とは思えないくらいの回復をされて、脱ステ50日程度でもうお化粧すらなさっています。
色々とお話をさせて頂いていると、スキンケアに対する姿勢も素晴らしいのでご本人の許可を頂いて掲載させて頂きます。
ちょっと長いですが、分けてしまうとせっかくの流れがつかみにくくなるため、あえて1つにしています。
もくじ
あーこさんの酒さ様皮膚炎発症まで
あーこさんは、オシャレが好きでメイクもお上手で、フルタイムでしっかり働くとても素敵な女性です。
そんな方が酒さ様皮膚炎になってしまい、夜も眠れず誰にも助けを求められず、とても苦しいお気持ちを打ち明けて下さいました。
あまりお苦しかった部分ばかりを取り上げるのは本意ではないので、素晴らしいと思った部分だけ引用しますね。
以前はすっぴんで外を歩くなんて考えられず、毎日きっちりお化粧して、クレンジング、洗顔、朝は酵素洗顔までしていました。
きっと洗いすぎで角質層が薄くなっていたのだろうと思います。
ホルモンのバランスも崩れてきて、肌の調子が悪い日にステロイドを塗って騙し騙しやっていたツケが来たのかなと、自業自得なのですが、今となっては後悔先に立たずです。。
酒さ様皮膚炎を発症してしまってとても後悔されていますが、こんなに苦しいお気持ちでヤケを起こされてもおかしくない状態でも、それまでの生活の何が酒さ様皮膚炎の原因になってしまったのか分析してらっしゃいます。
酒さ様皮膚炎診断後のお薬
酒さ様皮膚炎を発症してしまってからのお薬は、漢方薬を中心にフラジールやタリオン、ロゼックスなど、酒さのお薬も交えながら使ってらっしゃいます。
服用している薬はフラジール、タリオン、漢方のトウキシャクヤクサン、ケイブリョクシガンカヨクイニン、大柴胡湯です。
あとは個人輸入したロゼックスジェルを痒みがあるところに塗っているのですが、自己判断なので少し不安があります。
漢方薬が3種類と少し多く処方して頂いている印象です。また、海外では酒さに対して一般的に使われているロゼックスを個人輸入されています。
ここでもあーこさんが素晴らしいのは、ロゼックスを全ての箇所に塗らず、痒みのあるところにだけ塗っているところ。
ロゼックスは確かに酒さに使われる薬で海外では実績もありますが、合わない場合は毒にすらなってしまいます。
こういう使い方をしていれば、合わなかった時のダメージも少ない上に、肌に合う塗り方を模索する事ができます。塗る量を増やすのは、肌に合うことが分かってからで十分です。
ロゼックス補足説明
ロゼックスは本当にいいお薬で、最近でもロゼックスが良かったというお話を聞いて私まで嬉しくなってしまったり、といった事もあったのですが、脱線しますのでまたの機会にします。
ロゼックスは院内処方(自己負担)で処方して下さる皮膚科もありますので、そういった皮膚科を探すという方法もありますし、個人輸入という方法もあります。
お薬の個人輸入に関しては自己責任の部分が非常に大きく、失敗して肌状態が悪化してしまった場合にさらに苦しい思いをする、という事は覚えておいて下さい。
その他のお薬補足説明
お薬を一つ一つ解説しているとキリがないので、ものすごくざっくりとだけ説明します。
フラジールは塗り薬になるとメトロニダゾールという酒さ治療に使われるお薬です。酒さには保険適用がありませんので、塗り薬で入手するとなると個人輸入か自費での処方となります。
あーこさんは服用とおっしゃってますので、飲み薬で頂いたようですね。
タリオンは抗ヒスタミン剤。アレルギー症状を抑えます。酒さ様皮膚炎の場合はかゆみ止めと考えてもいいです。
当帰芍薬散(トウキシャクシャクサン)、桂枝茯苓丸料加薏苡仁(ケイシブクリョウガンカヨクイニン)は冷え性や生理不順などがある方に向けた、ホルモンバランスを整える効果のある漢方薬。
大柴胡湯(ダイサイコトウ)は、身体の熱や炎症を取り、痛みを和らげたり便通を助ける漢方薬です。
漢方薬での体質アプローチ
あーこさんの漢方薬は、ホルモンバランスを整える系統が2種類、便秘の解消になる系統が1種類と、漢方薬局なみの手厚さで処方して頂いています。
あーこさんのスキンケアはとても素晴らしいのですが、この漢方薬もとてもいい働きをしていたようで、お通じがすっかり良くなったとおっしゃっています。
運良く、酒さ様に詳しい皮膚科を見つけて、テーラーメイドの服薬をすることができ、漢方も自分に合っていたようで、便秘がすっかり良くなりました。
腸内バランスと酒さ症状には深い関係があります。
何も塗れないくらいにひどい状態ですと体内へのアプローチを考えますので、脱ステ中は多くの方が腸へのアプローチに挑戦するように思います。
脱ステ直後のスキンケア法
あーこさんは保湿を上手に使って、脱ステを乗り切っておられます。脱保湿が取り上げられがちな脱ステですから、保湿方法は皆さんとても気になりますよね。
ここはちょっと詳しく見ていきます。
あーこさんからお聞きする症状から回復がとても早く感じましたので、そのように申し上げましたら、きちんとご自分のお肌を分析した上でスキンケアをしてらっしゃいました。
洗顔方法
洗顔は肌を傷める割合が多いので、脱ステ直後は無理して行って欲しくないのですが、あーこさんは洗顔法も素晴らしいです。
元々乾燥肌なので、夜はお湯洗顔、朝は蒸したタオルで優しく拭くだけ、痒みが出たときは保冷剤で冷やす、の繰り返しです。
脱ステ直後、石けんやクレンジングなどは使っておられません。
朝は肌を守るために、水洗顔すら行わないけれども、蒸しタオルで汚れはきちんと落とす、という徹底ぶり。蒸しタオルじゃあ汚れが落ちない・・・と気になったと思いますが、良く耐えられたと思います。
スキンケア方法
また、スキンケアにはターマルウォーターとオイルというシンプルケアを徹底されています。
もし回復が早い方だとしたら、薬の効果ももちろんですが、自分ではターマルウォーターが効いているような気がします。
ガサガサがひどかった時に、こまめに噴射して肌に馴染ませると、いい感じに落ち着いてきました。
日中も何度も付け直しています。ターマルウォーターのあとは何もつけないか、スクワランオイルを薄〜く塗っています。
ターマルウォーターのあとですが、肌状態に応じてオイルを塗るか何も塗らない、というようにその日の肌状態に応じて変えているのも素晴らしい点の一つ。
さらに、脱保湿がご自分に合わないと感じた時に、どのように思ってターマルウォーターにたどり着いたかも語って下さいました。
肝心のスキンケアは、お医者様のおっしゃることが腑に落ちなかったので、自分で探すしかない!とまた調べました。
そこでターマルウォーターと出会えたんです。
まだ炎症もありカユカユだけど、
脱保湿っていうのがあまり自分に合わないなぁと思っていたところでしたので、ただの水、というのが安心でした。
ターマルでもカサカサする時だけ、プロペトかスクワランオイルを薄く塗りました。
ターマルウォーターはただの天然水ですので、本当に良いアイディアですよね。私なんか思いつかなくて精製水使ってましたし、当時の自分に教えてあげたいです。
あーこさん以外にも、アベンヌウォーターやターマルウォーターを上手に使う方が何人かいらっしゃいましたので、何も塗れないのに水分が欲しいという場合にいいかと思います。
プロペトはワセリンですが、医療用の精製度が高くグレードの高いワセリンです。市販でもさらに精製度の高いサンホワイトというものがあります。
※ターマルウォーターもスクワランオイルも、合わなくて塗れないという人も当然います。あーこさんと同じ過程をたどれなくても、それで不安になる必要はありません。
脱ステ1か月後からのスキンケア
脱ステ1か月程度をターマルウォーターでしのぎ、乾燥が気になり始めたころに少し機能の高い化粧品をご使用になっています。
今はもうターマルウォーターは卒業していまして、リスブラン化粧品の、ジネンミスト、ノンEローションとクリームのケアが基本です。
ターマルウォーターのみでは乾燥が抑えられない気がしていた時、漢方薬局の薬剤師さんに相談させていただきながら、リスブランのスキンケアを始めました。
もうすぐ3週間になりますが、使い始めてすぐにつっぱりが気にならなくなり、自分の肌の感覚が戻りました。
メイク落とし、洗顔もリスブランが合ったようで、お化粧も出来るように。
あーこさんは、この辺りのステップアップ具合も素敵ですね。
脱ステ直後からのケア方法や、ご自分の肌に対する分析も素晴らしいと思っていましたが、今回も肌が回復してきて潤いを保てるようになってきた時にすかさず乾燥に気づいています。
リスブランの化粧品は脱ステのアトピー患者さんが良く利用されるようです。
あーこさんに教えて頂いて思い出したのですが、以前に脱ステでリスブランを勧めている漢方医の方をお見掛けした気がします。ちょっとすぐに思い出せないので、この辺はもう少し追加で調べておきたいと思います。
リスブラン化粧品は脱ステのアトピー患者さんが良く使われるということで、安心してスタートできました。
漢方の薬剤師さんと電話でお話ししながら、励ましていただきながらというのも、精神的に良かったと思います。
その日の赤みによって、ローションパックにするのかどうか、クリームの量など、自分なりに試行錯誤しながら、なんとなーくですが分かってきた気がします。
やっぱり日によってローションパックをしたり、クリームの量を変えたりと、お肌の状態をきちんと分析してスキンケアをしてらっしゃいます。
リバウンドに関しても経験されていて、その時の様子も教えて下さいました。
勿論、リバウンドもありました。落ち込みましたが、火照って赤くなっているときは、とにかく水分をたっぷり、乾燥するかもしれないけど、クリームは無しか薄〜く、とアドバイスを受け、その通りにすると、回復が早かった気がします。
毎日の肌の様子で加減する大事さを知りました。
何も言わなくてもあーこさんは自分に取って適切なケアを自分で探して、実践していってらっしゃいます。
私がお手本にしたいくらいの取り組み方で、色々な部分が同じ酒さ様皮膚炎の方々の参考になるかと思います。
失敗があってもリカバリーできる
あーこさんのスキンケア法だけを見てくると、あーこさんの運が良くて自分に合った化粧品を見つけ、自分に合ったケアをすんなりと行っているように思ってしまいます。
そんな事はない、と言ってしまいますとあーこさんに対して失礼にあたってしまいますが、あーこさんも失敗を経験しながら手探りで脱ステを進めてらっしゃいます。
あーこさんが素晴らしいのはスキンケア法だけでなく、失敗した時のリカバリーもきちんと自分を分析して行っているところ。
あーこさんの場合はきちんとリカバリーされているので失敗とも言えないくらいのエピソードですが、少し失敗談もご紹介します。
朝食を食べたらブワーッと赤みが出て、リバウンド?と思いましたが、冷やしていたら取れました。どうやら、そら豆が原因だったのかな。
3日前からミネラルファンデーションを顔全体に塗ることにチャレンジしています。
やっぱりつっぱり感があるので、明日はやめておきます。
酒さ様にも効くというシャンプーを取り寄せて使ったところ、見事にかぶれ、顔と背中が真っ赤になり、パニックになったことも。。
すぐにローションパックをし、冷やして、顔は翌日には治まりましたが、首から背中がそれから温まると蕁麻疹のようになったりで、、散々でした。
ダメだったのかな?という程度の時も、明らかに合わなかった時もありますが、どのエピソードもその後のリカバリー方法がすごいですね。
肌の状態に気を付けながら実践し、ダメだと思ったら次の日はすぐやめる。赤くなってしまっても、自分に合った方法を交えながら冷やして落ち着かせる。
基本的な事なんですが、実践するとなると難しいもので、なかなかあーこさんのように分析しながら進めていく事ってできないです。(もちろん、私もできてなかったです。。。)
まとめ
あーこさんの回復過程が全ての方に当てはまるわけではなく、残念ながらターマルウォーターのような低刺激のものですら塗れないような方々も大勢います。
そういった場合は、脱保湿をしたくなくても、せざるを得ない状況です。触って悪化させるくらいなら触るな、という観点からも脱保湿が取り上げられがちですよね。
その「脱保湿」という観点からは外れますが、あーこさんのケアに対する姿勢は脱保湿であってもとても参考になるんじゃないかと思います。
あーこさんはご自分の肌質、体質をきちんと理解されて、合わないと思ったときはすぐに止め、リカバリーのケアをされています。
とにかく自分の肌を良く分析されており、化粧品を使う、使わないの判断や、次の化粧品にステップアップされる判断が的確です。
ご相談を頂いた中でもこれほど早くに回復された例は珍しい、というくらいに良い肌状態を保ってらっしゃいますが、それはあーこさんのそういった判断が大きな要因を占めているように思います。
大事なのは自分の肌に合うかどうかであって、保湿をするかどうか、ではありません。
あーこさんは保湿で回復していっている方の見本のようなお肌ですが、脱保湿だからと言って肌が回復しない訳ではありません。
脱保湿が必要な肌なのに、あーこさんの保湿方法だけを真似しても肌状態が悪化するだけですので、ここは少し注意したいところです。
あーこさんも間違ってしまった時はひどく落ち込み、言葉に言い表せないような辛い思いもされてます。それでも、自分に合う方法を手探りながらも探していって、それが結果につながってらっしゃいます。
自分の肌と向き合いながら、その時々で必要なケアをしてあげる事の大事さを、あーこさんから改めて教えられたように思っています。
あーこさんの体験談が、少しでも多くの脱ステ患者さんのお役に立てば、あーこさんも私もとても嬉しく思います。
あーこさん、貴重な体験談を本当にありがとうございます!
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