酒さ様皮膚炎や酒さの場合、保湿をすると却って肌状態が悪化する事があります。
普通の肌状態であればスキンケアの原則は保湿なのに、酒さや酒さ様皮膚炎の場合はどうして保湿が逆効果になるのでしょうか。
今回は保湿がマイナスに働く仕組みを考えていきたいと思います。
もくじ
酒さ様皮膚炎の肌状態
酒さ様皮膚炎で保湿が逆効果に働くのはどうしてか。
これに関しては酒さ様皮膚炎の肌状態が密接に関係しています。
脱ステロイドと肌の炎症
酒さ様皮膚炎発症直後は脱ステロイドを行うと思います。脱ステロイドを行うと、まずはひどい炎症が起こります。
この炎症が治まるまでにはかなりの期間が必要となります。ステロイドを使用していた頻度が長かったり強いステロイドを使用していると、脱ステの症状が治まるのも相応の時間がかかると考えられています。
ステロイドの副作用による通常肌との違い
さらに、酒さ様皮膚炎の肌状態は通常の肌とは違います。
酒さ様皮膚炎の肌はステロイドの副作用によって
- 肌が薄い
- 毛細血管の拡張
という特徴があります。
保湿が逆効果になる2つのパターン
上記のような特徴を持った酒さ様肌に取って、保湿が逆効果になってしまう事があります。
保湿が逆効果になるのは以下の2つのパターンがあります。
- 保湿剤が合わない
- 保湿で却って乾燥が進行している
保湿剤が合わない
肌状態が悪いと保湿剤自体が肌の悪化要素となって、却って肌状態を悪くすることがあります。
これは保湿剤を肌に優しいものに変更したり、成分をシンプルなものにするなどで対処できる場合があります。
肌状態が悪い時期ほど肌に反応する成分は多くなります。
発症直後は水道水の塩素ですら反応してしまう事もあるほどです。
保湿で乾燥が進行する
肌が炎症を起こしている場合、保湿で却って乾燥してしまうことがあります。
炎症を起こしているという事は肌が熱を持っています。
熱を持った箇所に水分を補給すると、その水分が蒸発します。この蒸発が問題で、肌が元々持っている水分も一緒に蒸発してしまいます。
簡単に言うと焼け石に水の状態。
保湿しても保湿しても、元々肌にある水分と一緒に蒸発してしまうので却って乾燥するのです。
酒さ様皮膚炎の肌は極端に薄くなっているため、水分保持能力がとても弱い状態です。
元々肌にある水分が少ないので、ほんの少し水分が逃げただけでカラカラに乾いてしまいます。
保湿剤が合わない場合の対処法
保湿剤が合わない場合は、別のものを使うことで改善する場合があります。
但し、酒さ様皮膚炎を発症した直後や、炎症がひどい状態の場合は無理に化粧水などで改善しようとしない方が無難です。
ちょっとしたものにすら肌が反応する確率が大きく、普通の肌状態であればいい方向に働く成分であっても、炎症を起こしているような肌状態で使用すると肌が悪化してしまう事があります。
自分の肌状態がどういった段階にいるのかを考え、炎症や腫れがひどい段階であれば何もせずに、まずは肌の基礎体力が上がるのを待ちましょう。
また、弱った肌であれこれと試すのも却って肌を悪化させる原因になります。
保湿で肌を保護したい場合、まずはワセリンなどの低刺激のものから始めていくようにしましょう。
保湿で乾燥が進行する場合の対処法
保湿で乾燥が進行する場合、これは肌内部の炎症が治まりきっていない事が考えられます。
こういった場合には保湿剤自体を受け付けないので、何かを塗って改善しようとするのを止めましょう。
まず肌の炎症を治めることが優先となってきますので、肌を刺激しないことを最優先に過ごします。
保湿を始める時期
保湿を始める時期に関しては、保湿のメリットが脱保湿のメリットを上回った時に始めるのがいいです。
大体いつくらいなのかというのは個人差がありますし、現在までにどのようなケアを行っているかにもよりますが、大体以下のように考えればいいかと思います。
ターニングポイントで試す
酒さ様皮膚炎の改善具合にはターニングポイントがありますので、そのポイントごとに試してみるといいでしょう。
具体的には炎症が治まって皮剥けが始まった時や、皮剥けが治まって肌表面が滑らかになった時など。
その他にも、ニキビができにくくなってきた実感があったり、浸出液が出なくなったなどの変化もターニングポイントです。
そういった各ポイントごとに肌状態が変化しています。
こういった変化が見られたときにそれまでのケア方法を見直し、その時に合った方法を選びなおすことで肌改善も進みます。
保湿を始める時は顔の赤みに注目した化粧水や敏感肌用の化粧水から試してみるのがお勧めです。
悪化したら潔く諦める
保湿で悪化した場合、次のターニングポイントまで潔く諦めるというのも大事な選択です。
酒さ様皮膚炎の場合は肌を良くしようとあれこれするよりも、肌を悪化させないように行動したほうが、結果的に肌改善が進む場合が多くあります。
ターニングポイントは本当に色々な時期に存在します。季節が変わっただけで肌状態も変わります。
そういった時に、いかに自分の肌状態を把握できるかはとても大事です。
脱保湿で肌が改善しているのであれば、無理して保湿をする必要はありません。
肌が強くなると共に使える保湿剤の種類も増えていきますので、保湿が必要と感じるまでは肌を悪化させない事に努めましょう。
まとめ
一口に酒さ様皮膚炎といっても、色々な段階があります。
脱ステロイドを始めた直後はひどい炎症に悩まされますし、その炎症が軽減されたと思ったら落屑が始まり、皮剥けが治まったと思っても顔の赤みは残ります。
こういった経過を経る酒さ様皮膚炎で、全ての段階において肌を改善に導く方法というのはありません。
発症直後は何もしないで改善が進んでも、その後肌の基礎体力が上がってくるにつれて保湿を取り入れていった方が良い結果を得られる場合もあります。
現在の自分の肌に取って何が必要かを良く見極めて、保湿が必要な段階では肌に優しい保湿を、脱保湿が必要な段階では無理のない脱保湿を取り入れていきましょう。