酒さは難治性で完治することはないとも言われます。中には治らない病気だとはっきり医師に告げられる人も。
その一方、酒さが治ったという人もいますし、良い状態を保ったまま過ごすことができている人もいます。
治らないと言われることがあるのも、酒さが治ったと体感する人がいるのも、どちらかが正しくてどちらかが間違っているわけではありません。
どうして医師が「酒さは治らない」というような事を言うのでしょうか。そこには言葉の誤解や、病気に対する認識の違いがあります。
もくじ
寛解と完治の違いを知っておこう
酒さに限らず、難治性の慢性疾患では良く「寛解(かんかい)はするけれども完治はしない」というような事が言われます。
同じ皮膚疾患でいけばアトピーも立派な難治性の皮膚疾患。発症人数が酒さよりも多いため、非常に多くの情報があり、中には完治したと思われる方も大勢いらっしゃいます。
寛解というのは症状が落ち着いて、安定した状態を保てること。
寛解という状態を数年続けて、再発などの傾向がなければ完治ということができます。
そう、つまり、完治した、と思っていてもいつ再発するか分からない状態であればそれは寛解であって完治ではないのです。
この辺りに医師から「酒さは治らない」だとか「完治なんてしない」と言われてしまう原因があります。
一般的な感覚だと、症状が落ち着いてきて数か月もすれば「私の酒さは治ったんだ」と考えます。
ところが、医師の感覚は違います。酒さが難治性であることや、症状がぶり返すことがあるのも医師には分かっています。
症状の落ち着いた状態が数年続かないと「完治」とは言えませんので、医師の口からは「まだ治ったわけではない」だとか「体質だから治らない」というような言葉が出てきます。
そういった言葉に患者は絶望や立腹を感じてしまう訳ですが、全ての医師が心なくこのような発言をしている訳ではありません。
中には「治ったと思って油断していると再発しちゃうよ」という意味が込められていることもあるかと思います。
「治らない」という言葉の表面だけを捉えると絶望しかありませんが、そんなにひどいものじゃありませんし良くはなります。
寛解状態を続けて完治に至る
酒さに限らず難治性の疾患は、寛解状態を続けて初めて完治に至ります。うつ病やガン、白血病など、再発の危険性のある病気では寛解状態であることこそが大事です。
ガンが縮小して症状が改善されても、5年間は再発への注意がされます。ガンには一つの目安として5年生存率という言葉もあるほど。
5年経って再発の兆候が見られなかった場合は一区切りといったところですが、その後も定期的に検診を行うことが望ましいとされています。
こういった事から考えると「5年」という単位が一つの目安。5年間症状が出ない状態(寛解状態)で過ごせたら、酒さが完治した、と言えるのかもしれません。
だからと言って必ず再発しないという確証はありません。
アトピーの方の中には、症状が落ち着いていたのに5年以上経ってから再発してしまう方もいらっしゃいます。
5年という期間は一つの目安にはなりますが、5年経ったらもう2度と酒さ症状が出ない、と言い切ることはできないのです。
つまり、寛解状態を続けていく事はとても大事だけれども、「完治」したかどうかは誰にも分からない。ということにもなります。
言葉だけを捉えると「治らない病気」や「完治しない病気」という言葉は絶望的ですが、それは裏側に完治と言い切るには難しい事情があるから。
それでも酒さを良い状態に持っていくことは可能ですし、その状態を続けていくことも可能です。
酒さを完治させるためには
酒さに大事なのは体質理解。自分の体質を理解して酒さ症状をコントロールし、症状が悪化したり再発したりしないようにすることです。
最終的には完治と言えるまで良い状態を続けて行くのが目標になります。
酒さ症状をコントロールするにも2つの方向性があり、悪化要素を排除するマイナス方向への努力と症状を改善するプラス方向への努力があります。
どちらの努力が正しいとかどちらの効果が高いという事ではなく、どちらも取り入れつつ自分が快適に過ごせる方法を見つけることが一番大事です。
悪化要素を排除する努力
悪化要因を排除するのがマイナスする努力。紫外線を避けたり悪化する食べ物を避けたり、ということですね。紫外線は言わずもがなですが、スキンケアなどでも塗って赤くなるようなものや物理的な刺激になるものを避けていきます。
食べ物や飲み物もしかり。食べたら調子が悪いものを分析して排除していく、ということはとても地道でストレスのたまる作業です。食べたいものが好物だった場合にはなおさら。
でも特定の食べ物やスキンケアが、酒さを悪化させている要素の一つであれば、その要素を排除することによって良い状態を保つことができます。
悪化する要素は人それぞれですので、まずは自分が何で悪化するのかを探っていくと体質への理解が深まります。
改善要素を足す努力
もう一つは、プラスする努力。こちらは酒さ症状が改善する栄養素を足したり、スキンケアを足したりする努力です。お薬を塗ることもこちらの部類に入りますね。
悪化要素を排除するのはとても根気がいりますし現実的に厳しいことも出てきますが、改善要素を足すことは比較的簡単です。
ただし、こちらもどの要素で自分が改善するのかという体質理解はとても大事。
スキンケアでもお薬でも食べ物でも、合わないものを塗ったり食べたりすれば症状は悪化してしまいます。
マイナスする努力よりも比較的簡単とは言え、プラスして悪化するリスクはつきものです。何かをプラスしてみようと考える時は、きちんと自分の状態を観察しながら行いましょう。
生活に取り入れらるかどうかも大事
さらに、その努力を継続して続けていけるかどうかも大事です。
空気や気候の良いところに引っ越して、食べ物や飲み物も制限し、ストレスから切り離された生活を送れば治る、と言われてもできることとできないことがあるかと思います。
食事もスキンケアも、制限するにしろ足すにしろ、一般的でないことをすればお金も時間も手間もかかります。キレイごとじゃなく、いくら高い化粧品やサプリが良くたって、お金がないと続けられませんよね。
割と多くの方が経験する洗浄剤などでの悪化。悪化要素が安価で強力な界面活性剤だったら、ドラッグストアのセール品が使えなくなり、そこそこ高価な洗顔料やシャンプーを使わざるを得なくなります。
食事も制限しようとすると、スーパーに普通に売ってるものが食べられなくなりますからとんでもなく食費もかかります。家族の分を別に作る、などの手間だってかかります。
それぞれ生活環境も違いますから、フルタイム勤務で残業までこなす子育て中の主婦の方と、専業主婦で子供がいない方、独り身で食事や生活リズムが自由になる方では、可能な努力が違います。
酒さというのは、人生設計すら大きく狂わせる病気です。この病気の治療のために、仕事や夢を諦める方も多いと思います。
自分の生活の中でどの辺りに落としどころが作れるか、理想と現実のバランスをどこで取るか、生活していく上では非常に大事なことです。
まとめ
最近は自分の酒さが治らないかもしれない、と気にする事がなくなりました。10年以上も顔に皮膚疾患を抱えてるとふてぶてしくなるものですw
私の場合はニキビという診断名がついてニキビ治療を行っていた頃から酒さだったのでしょうが、今はこんな顔でも当時に比べればきれいになったもんです。
それどころか、当時から比べたら飛び上がって喜びたくなるほど、今の状態は良い状態。それくらい私の皮膚疾患ってひどかった上にその状態が何年も続いたので。
酒さが治らない、という言葉に絶望を感じたり憤りを感じる方が大勢います。私もひどい状態の時に治らないという言葉も言われましたし、これ以上の治療なんてできない、とも言われました。
医師から匙を投げられたこともありますし、多くの失望や苛立ち、絶望も経験してきました。顔だからものすごいストレスになるんですけど、なかなか分かってもらえないんですよね。
「治らない」と言われても、肌を良い状態に持っていくことはできます。苦労するかもしれませんが、良くはなるんです。
「治らない=良くならない」ではありません。治らないと言われても、絶望することなんてないです。
少しでも良い状態でいられる方法を見つけて、自分に合った方法を続けていくことが大事。表面の言葉に振り回されず、前を向いていきましょう。
でも、治らないというような言葉を使う時は、少しこちらの気持ちも配慮して欲しいですよね。