セラミド入りの化粧品はその保湿力やエイジング効果の高さで知られていますが、酒さや酒さ様皮膚炎にとってさらに大事なもう一つの効果がバリア機能の強化。
セラミドは肌にもともと存在しており、細胞と細胞をつなぎ合わせる大事な役割を果たしています。
そのため、酒さのようなトラブル肌や赤ら顔、敏感肌に対しての化粧品適性が非常に高く、積極的に補給していきたい成分のひとつ。
セラミドには「保湿」「エイジング」「肌バリア強化」といった高機能な効果が揃っているため、コラーゲンやヒアルロン酸のように保湿を重視した成分よりも効果が出やすいです。
赤ら顔用や敏感肌用の化粧品にはセラミド配合の化粧品も多いですが、それはこういった効果を狙ってのこと。
そこで今回は、セラミド入りの化粧品がもたらす効果やセラミドの種類などを詳しく解説していきたいと思います。
もくじ
セラミドとは
セラミドは細胞間脂質
セラミドとは、肌の角質層で細胞と細胞の間をつないでいる細胞間脂質です。
細胞をレンガに例えると、レンガのセメント部分が細胞間脂質。
細胞の間で水分や油分を抱えこみ、内側からの潤いを逃がさないように働くほか、紫外線やアレルゲンなど外部からの刺激を通さないようにするバリアの働きも担っています。
細胞間同士の結合を高める役割を果たしており外部刺激をシャットアウトすることから、肌のバリア機能そのものとも言えます。
セラミドはその細胞間脂質の主成分にあたり、約半分の50%を占めています。その他の細胞間脂質としては遊離脂肪酸やコレステロールが知られています。
細胞間脂質と肌のラメラ構造
細胞間脂質を含む角質層の厚さはわずか0.02mm。食品用のラップと同程度の薄さです。この薄い角質層の中で、角質細胞が10~20層の層を作っています。
このミルフィーユ状の層をラメラ構造と言います。
このミルフィーユ状の層によって肌内部の水分蒸発や油分の低下を防ぎ、外部刺激をシャットアウトします。層が幾重にも重なっているので、内部の水分は逃げにくく、外部の刺激は入りにくくなります。
セラミドが肌にもたらす重要性
セラミド不足は敏感肌の元
セラミドに限らず細胞間脂質が不足するという事は、肌のバリア層が弱ることを意味します。
外部刺激を防いでくれる機能が弱まり、水分や油分の保持能力も低くなります。このため、乾燥が進行し、少しの刺激で炎症を起こしてしまったり肌荒れを起こします。
セラミド不足は乾燥肌や敏感肌を促進するだけでなく、花粉やハウスダストのようなアレルゲンにも弱くなります。
酒さや酒さ様皮膚炎の場合は皮膚に炎症を起こしていますから、肌のバリア機能も弱まっています。
セラミドは肌のバリア機能そのもの
セラミドを含む細胞間脂質は、肌のバリア層そのものです。肌のバリア機能を司る成分には他に天然保湿因子(NMF)があります。天然保湿因子とは肌の表面にある皮脂膜のこと。
肌のバリア機能を保持する役割としては、皮脂が数%、天然保湿因子が20%弱、残りの80%程度を細胞間脂質が担っています。
細胞間脂質の役割は、細胞と細胞が剥がれないようにしている他、水分や油分を保持して肌の水分蒸発を防ぎ、外部からの刺激をシャットアウトしています。
セラミドなどの細胞間脂質が不足しても、皮脂膜や天然保湿因子がある程度のバリア機能を担ってくれますが、細胞間脂質が不足するような肌ですとその皮脂や天然保湿因子の働きも弱っている事が多いです。
このように肌の機能が弱っているとセラミド不足をカバーできず、外部刺激が肌に与える影響が大きくなります。その結果として、わずかな刺激でも赤みやかゆみが発生する原因となります。
アトピーさんはセラミド不足
アトピー性皮膚炎の患者さんの多くはセラミドが不足している事が知られています。
酒さは認知度の低い皮膚疾患ですが、アトピーも様々な要因によってかゆみや赤みを伴う慢性皮膚疾患。アトピーも酒さに負けないくらい難治性です。
酒さやアトピーなどの皮膚疾患では、元々セラミドを作り出す力が低い、と考えられています。一度酒さやアトピーを発症してしまうと炎症を起こして肌の機能が弱まりますので、結果としてセラミド不足に陥ることも多くあります。
酒さやアトピーがセラミド不足になる原因は、肌が常に炎症を起こしていたり、極度の乾燥状態になったりすることが多くあるため。こうした事を繰り返しているので、肌のバリア機能が正常に働かなくなることが原因の一つです。
セラミドは年齢とともに減少
角質層のセラミドは年齢を重ねるほどに減少し、50歳代では20歳代の約半分にまで減少すると言われています。
セラミドが減少すると細胞をつなぎ止める細胞間脂質が弱くなるため、肌の水分を保持する機能やバリア機能が低下します。
そのため皮膚は乾燥しやすくなり、肌老化が進みます。
赤ちゃんのきめ細かな肌は豊富なセラミドに守られていますが、年齢を重ねるにつれ乾燥やシワなどの肌老化が現れてきます。
丈夫で健やかな肌を保つためには、角質層のセラミド量を保つことが大切です。
セラミドが持つ肌への効果
セラミドは肌の重要な役割を果たす成分であるため、様々な肌トラブルに対する効果を持っています。
- 高い保湿力
- アンチエイジング
- 肌のバリア機能強化
セラミドの保湿力
セラミドは脂質でありながら「親水性」をもち、水とも油とも馴染むという不思議な特性をもっています。
普通の油性成分は水とは馴染みませんが、セラミドは油とも水とも馴染みます。
このため、セラミドは細胞間脂質に存在して水分が蒸発しないように水を抱えこむという役割を果たしています。
セラミドの高い保湿力は、水分が蒸発するのを防ぎ潤いをキープしてくれる役割を果たします。
セラミドのアンチエイジング
肌老化は、年齢と共に減少していくセラミドも原因のひとつ。
セラミドは細胞間脂質として肌のキメやハリ、潤いを担っています。
そのため、セラミドには肌の老化やシワを防ぎ、肌のハリを保つ役割を果たします。
セラミドのバリア機能強化
セラミドはバリア機能として、外部の刺激から肌を守る働きをしています。
角質層の細胞はレンガのように積み重なっており、セラミドはレンガの隙間を埋める大事な役割を果たします。
水分が肌から逃げないようにして潤いを保ち、外部の刺激から肌を守るのがセラミドの役割。
レンガを埋めるセメント部分をセラミドが担っているのです。
セラミドが不足すると、角質層の細胞をつなぎ止める細胞間脂質がスカスカになり、肌の水分は逃げやすく外部からの刺激は受けやすくなってしまいます。
そのため、セラミドを補うことは肌のバリア機能を強化することにも繋がっていきます。
セラミド化粧品を選ぶコツ
ヒト型セラミド配合の化粧品を選ぶ
セラミドには天然セラミドの他、人工的に作られた疑似セラミドがあります。
疑似セラミドは比較的安価に入手することができますが、効果は天然セラミドには叶いません。
その天然セラミドの中でも最も効果が高いとされているのがヒト型セラミド。
ヒト型セラミドは人間の細胞間脂質とほぼ同様の化学式を持っています。そのため浸透性や刺激性において疑似セラミドよりも効果が高いとされています。
ヒト型セラミドのメリット
- 保湿力や浸透力に優れる
- 刺激が少ない
ヒト型セラミドの見分け方
ヒト型セラミドは化粧品の成分表示欄で「セラミド1」「セラミド2」などのように数字付きで記載されています。
「ビオセラミド」や「植物性セラミド」などのように数字付きでないセラミドはヒト型でない天然セラミド。
「セチルPGヒドロキシエチルパルミタミド」のように化学式が連なったような名前のものは疑似セラミドです。
そのため、ヒト型セラミド配合の化粧品を選ぶ際には「セラミド+数字」という表記がしてあるものを選ぶだけでヒト型を見分けることができます。
ただし、近年ではセラミド+英数字という新表示名に変わっているため「セラミド」の後が数字でない場合でもヒト型セラミドという可能性があります。
それでも「セラミド+〇〇」という命名規則には従っているので、何となくでも見分けやすいかと思います。
ヒト型セラミドの種類
セラミドの中ではヒト型セラミドが一番効果が高いとされていますが、そのヒト型セラミドの中にも種類があります。
主な働き | 新表示名 | |
---|---|---|
セラミド1 | 高いバリア機能 | セラミドEOP |
セラミド2 | 高い保水機能 | セラミドNG、セラミドNS |
セラミド3 | 保水機能 シワ改善 | セラミドNP |
セラミド4 | 脂質バリア層を保持 | |
セラミド5 | 脂質バリア層を保持 | |
セラミド6・6Ⅱ | 水分保持 ターンオーバー促進 シワ軽減 | セラミドAP |
セラミド7 | 細胞増殖と菌のバランス調整 | |
セラミド8・9・10 | 不明 |
肌の効果別ヒト型セラミド
ヒト型セラミドは番号が若いほど効果も高く、また種類によって得意分野が違ってきます。
例えば、ヒト型セラミドの中でも最も保水が得意なのはセラミド2。
反対にバリア機能を強化したいと思ったらセラミド1が有効です。
効果 | セラミド種類 | 効果詳細 |
---|---|---|
保水 | セラミド2・3 | 水分を角質内にとどめて潤いを保つ |
バリア機能 | セラミド1 | 紫外線やアレルゲンなどの外部刺激から肌を守る |
ターンオーバー | セラミド6・6Ⅱ | 肌代謝が促進され丈夫な肌が作られる |
セラミド配合の化粧品を選ぶ際には、あなたの求める効果に合わせたセラミドが入っているかどうか確認しましょう。
セラミド効果アップ、相乗効果のある成分入りの化粧品を選ぶ
セラミドは1種類のみ配合するよりも複数種類配合した方が、互いに作用しあって効果が高まります。
また、セラミドだけでなくコラーゲンやヒアルロン酸、プラセンタ、ビタミンCなどのようにその他の成分と組み合わせることでも相乗効果が高まります。
セラミド配合の化粧品を選ぶ際には、セラミドの数だけでなくその他の美容成分がどの程度入っているのかも意識して選ぶようにしましょう。
セラミドとコラーゲンやヒアルロン酸の比較
セラミドは、コラーゲンやヒアルロン酸のような保湿成分と比較されることがあります。
コラーゲンやヒアルロン酸は角質層のさらに下部である真皮で働くのに対し、セラミドは角質層で働きます。
働く場所も違えばそれぞれの役割も違いますので単純な比較はできず、同時に配合することでより高機能な保湿効果を発揮できるようになります。
セラミドを身体の中から補う工夫
セラミドは化粧品として外から補給することもできますが、酒さや赤ら顔のようなトラブル肌ではどんな化粧品も肌に合わないこともしばしば。
そういった場合にはセラミドを身体の内側から補うことで、肌のセラミド不足を解消することができます。
もちろん、塗る化粧品と併用することで効果もアップしますので、普段の食生活やサプリなどにも気をつけてみましょう。
セラミドを食品から摂る工夫
セラミドはこんにゃく、しらたき、ひじき、ゴボウ、米、小麦などに多く含まれています。
こんにゃくやゴボウのように色の黒い食べ物に多く含まれる傾向にあります。
中でも生芋こんにゃくには多くのセラミドが含まれており、多くの食品の中でもとびぬけた含有率を誇っています。
セラミドのサプリメント
セラミドのサプリメントには、一日に必要なセラミドを配合してあるだけでなく、体内でセラミドを吸収しやすくする工夫や相乗効果が狙えるような設計を施してあるサプリがあります。
食事からの摂取に限界がある時や、手軽に摂りたい時に便利なのがサプリメント。
高機能なものであっても手ごろの価格のサプリもあるので、内側からの保湿を考えている場合には検討してみましょう。
セラミド配合化粧品3選
メディプラスゲル
メディプラスゲルは化粧水、乳液、美容液、クリームが一つになったオールインワン。
洗顔後はこれ一本でお手入れが済むため、手軽に保湿対策ができる上、肌に触る回数が少なくて済むので摩擦による肌ダメージを受けにくい設計です。
酒さや酒さ様皮膚炎のようなトラブル肌の場合は極度に弱っているので、化粧品を普通に塗るためのステップが却って刺激になることも。
化粧水→美容液→乳液・・・と塗り重ねる手間がないので、過剰スキンケアになりがちな酒さにはおススメ。
セラミドは元々油性成分であるため化粧品に配合しようとすると界面活性剤も必要になりますが、メディプラスゲルならアトピーの開発者さんが低刺激にとことんこだわって作りあげられた安心設計。製薬会社との共同開発のため、皮膚科学的にも安心です。
セラミド1・3・6に加え66種類もの美容成分を配合しているので、相乗効果に関しても期待できます。
エトヴォス
敏感肌用の化粧品が得意なエトヴォスから、セラミド配合の敏感肌用化粧品。
セラミド1・2・3・5・6Ⅱと5種類ものセラミドを配合しているため、セラミド同士の相乗効果はかなりのもの。
人の肌にあるセラミドと同じラメラ構造のため、浸透力も高く長時間うるおいが持続します。
ヒアルロン酸やNMF、植物エキスやキャリアオイルなどの美肌成分がセラミドの保湿をサポート。
ヒフミド
小林製薬という大手の製薬会社から販売されており、抜群の安心感を誇るのが「ヒフミド」。
セラミド1・2・3という効果の高いセラミドを高配合してある他、高保湿成分の「リピジュア®」も配合されているので相乗効果も抜群。
クリームタイプには通常0.5%でも効果が期待できるセラミドを、8倍にもあたる4%も配合。
合成セラミドに比べ3倍の保水力を謳っており、ヒト型セラミドで強く美しい肌をはぐくむのがコンセプト。
まとめ
セラミド入りの化粧品は、上手に選んで使うと酒さの肌をぐっと改善してくれます。
私自身も化粧水が使えないほど荒れた肌から立て直してきて、初めて市販の化粧品を使ったのはセラミド配合の化粧品でした。当時は肌の変化に合わせて高機能な保湿をすることで、一気に肌の改善が進んだことがあります。
注意点として、酒さのようなトラブル肌の場合、使うタイミングを間違えると却って肌荒れを起こすことも十分にあり得ます。
そういった場合にはいくら高機能なセラミドとは言え無理して使うことはせず、時期を待ってみて下さいね。時期を待つのはとても忍耐がいるんですが、肌の改善が進んでいけばちゃんと塗れるようになる日が来ますので。
酒さや赤ら顔でどんな化粧品を選んだらいいか分からない方や、セラミド配合の化粧品が気になっている方の参考になれば幸いです。