ワセリン関連の記事をいくつか書いていますが、ヴァセリンから出ているワセリンや、ヴァセリンリップを使ったらだめなのか、というご質問を頂きました。
ヴァセリンリップというのは「ヴァセリン」から出ているリップクリームですね。小っちゃくて可愛いですし、色付きのものもありコスメ好きだと心が揺らぎますね。
結論から言うと使ってダメということはありませんが、ワセリンの精製度は低そうだし添加物はいっぱいだよ、ということになります。
添加物をどのくらい許容できるかというのはその人の肌状態や相性などもありますので、一概に言うことはできません。
脱ステ直後や重度の酒さ症状がある場合はお勧めしませんが、ある程度肌が強くなって来れば、リップに関してはアリかもしれませんね。
添加物の入っているスーパーソフトワセリン配合の商品についても書いたばかりですし、使うにしてもデメリットを理解したうえで使って欲しいので、ちょっと紹介します。
もくじ
ヴァセリンとは
ヴァセリンは「ユニリーバ・ジャパン」という会社から出ているワセリンの一種です。ユニリーバって聞いたことある方もいらっしゃると思います。
「ダブ」とか「ラックス」「モッズ・ヘア」などを出している会社ですね。
「ヴァセリン」というシリーズで、ワセリンを使った商品を出しています。ドラッグストアでも良く見るワセリンです。
安価で大容量、かつワセリンの特性である高い安全性であらゆるスキンケアに使えます。
ヴァセリンの注意点その1、酸化防止剤が混ざってる
ヴァセリンは商品シリーズの名称ですので、正式には色々な商品があります。
まずドラッグストアで良く見かけるのは上記の「オリジナルピュアスキンジェリー」
こちらの全成分はこうなっています。
成分:(ヴァセリン オリジナルピュアスキンジェリー)
ワセリン、酢酸トコフェロール、BHT
つまり、純ワセリンじゃないのです。何を混ぜているかというと酸化防止剤。ワセリンが酸化しないような添加物が入っています。
- 酢酸トコフェロール
酸化防止剤。合成されたビタミンE。 - BHT
酸化防止剤。ジブチルヒドロキシトルエン抗酸化剤の略。安価な酸化防止剤として様々な用途に使用されるが、変異原性や催奇形性の疑いがあり食品への添加は疑問が持たれる。米国では乳幼児食品への使用が禁止されている。
ヴァセリンの添加物をざっとまとめたのが上記です。
酢酸トコフェロールは酸化防止剤の中でもビタミンEを化合したものですので、比較的安心です。
問題はBHT。発ガン性やアレルギーなどが取りざたされる成分ではありますが、ごく微量な添加でそこまで深刻になる必要はないと思います。
ただ、皮膚疾患がある方が皮膚病の部位に使用するのは避けた方がいいかと思いますし、その他の選択肢があるにも関わらずあえてこれを選ぶメリットはないかと思います。
また、ワセリンと言えばリップとしても使用しますので、その場合にこういった添加物が口から入る、という問題も出てきます。
安価ですからつい使いたくなるのは分かるのですが、この商品と同じくらいの値段で「白色ワセリン」が買えるので、あえてこのヴァセリンを選ぶメリットがあるのかという点に関しては疑問です。
ヴァセリンの注意点その2、精製度が低い
さらに注意してほしい点が精製度。ワセリンというのは石油を精製して作りますが、不純物が取り除かれているほど高精製です。
ワセリンは純度が高ければ高いほど白くなります。反対に不純物が多いと黄色っぽくなります。なので、ワセリンの精製度を量る一般的な基準としては
サンホワイト > プロペト > 白色ワセリン > 黄色ワセリン
と言われています。サンホワイトは商品名でもありますが、医療用を超える高精製度で世界に認められている最高グレードのワセリンです。
医療用としては白色ワセリンかプロペトが処方されます。
ヴァセリンというとほんのり黄色い色がついていると思いますが、それが精製度の低い証。大昔の黄色ワセリンほどではなくても不純物が多いということです。
また、前述の酸化防止剤を配合してある点も、精製度が低いことを表しています。
ワセリンというのは本来、酸化しません。酸化するのはワセリンに入っている不純物です。
ですので、高精製度のワセリンは酸化防止剤など入れずにきちんと売られていますよね。ヴァセリンに関しては、精製度が低すぎて酸化しやすいので酸化防止剤を入れているのです。
さらにヴァセリンの容器はジャーのようなタイプであるため、指を入れて使うと思います。空気に触れる面積も多く指に触れる機会も多いとなるとさらに酸化が進みます。
白色ワセリンやプロペトなど、取り分けて使うなどして適切に管理すれば長期保存ができますが、ヴァセリンはちょっと怪しいです。
酸化防止剤の入っていないヴァセリンもあるけれど
ヴァセリンにも純度100%(精製度は低い)のワセリンがありますが、並行輸入品という扱いです。
ヴァセリンの「ペトロリュームジェリー」という商品なら配合成分は100%ピュアなワセリン。
アメリカからの輸入品扱いですので原産国はアメリカです。
さらにこの「ペトロリュームジェリー」に「香料」を混ぜたものがこちら。
成分:(ヴァセリン ペトロリュームジェリー ベビー)
ワセリン、香料
「ベビー」と名付けてあるのに添加物(香料)が増えているという仕様です。でも、見た目はピンクで赤ちゃんの絵も描いてあって可愛いですね。容器としてはちょっと欲しいかも。
コスメって容器や雰囲気も大事だとは思うのですが、やっぱり中身が一番なので商品名や見た目だけに惑わされないようにしましょう。
この商品の香りが気に入っているなら良いと思いますが、香料に反応する事もありますし、やっぱり精製度は低い点は覚えておきたいですね。
並行輸入品のヴァセリンはお勧めできない
さて、本来必要ないはずの酸化防止剤を配合せざるを得ない程度の精製度であるワセリンを販売しているのが日本の商品。
そこの並行輸入品で酸化防止剤を抜いてあるからといって、ありがたがる必要があるかというのは甚だ疑問です。まして黄色っぽいという特徴は持ったままですので、精製度は高くないです。
どうしても使いたい理由がないのであれば、素直に白色ワセリンを買えばいいのではないかと思います。
もっと言えば、皮膚疾患のある部位に塗るにあたっては、サンホワイトやプロペトの方がいいかとも思います。サンホワイトもワセリンの中でこそ高級品とは言え、モノの値段としてそれほど高いわけではありません。
ヴァセリンリップ
ヴァセリンからはリップクリームも出ています。手のひらサイズのジャータイプとチューブタイプのリップがあり、ジャータイプはミニサイズでとっても可愛いです。
ヴァセリンリップ オリジナル
まずはオーソドックスなヴァセリンリップがこちら。成分表示はこうなってます。
成分:(ヴァセリン リップ オリジナル)
ワセリン、トコフェロール、BHT、黄4
トコフェロールとBHTは酸化防止剤で普通のヴァセリンと同じですね。それに黄4というタール色素が入っています。
唇用なのでワセリンの精製度が上がっていますが、その分値段もはるかに上がっています。7gで数百円のお値段。
リップは精製度が上がっていますから普通のヴァセリンよりも良いとは思いますが、添加物が入っている事と、値段のバランスから考えるとちょっと高いな、という印象。容器が可愛いので、容器代だと思って買うのはいいかもしれませんね。
ワセリンをリップとして使いたいなら、普通のワセリンを塗るかリップとして出ているワセリンを買った方がいい気がします。
大洋製薬さんやメンタームさんから100%ワセリンのリップが出ていますし、値段もそちらの方が安いです。
ヴァセリン リップ ロージーリップス
ヴァセリンリップの色付きバージョンです。
成分:(ヴァセリン リップ ロージーリップス)
ワセリン、トコフェロール、BHT、香料、水酸化AI、赤226、黄4
色がついているので添加物も増えます。色味が増えているのは仕方ないとしても、香料や水酸化AIといったものまで増えています。
水酸化アルミニウム。アルミニウムの水酸化物で、白色の結晶体粉末。酸化チタンのコーティングに使われる。
水酸化アルミニウムは色素のコーティングに必要だったとしても、なぜ香料まで入れたのかと言いたくなります。
でも、容器が可愛いのは確かに惹かれますね。香料も自分に取って癒される香りであればリラクゼーション効果もあるわけですので、香料=悪ということには繋がりません。
色付きグロスを作りたかったら、自分で高精製度のワセリンを買って余っている色物メイクで簡単に作れますので、添加物たっぷりのヴァセリンを使うよりもそちらがお勧めです。
ヴァセリン ペトロリュームジェリー
ヴァセリンブランドのチューブ型リップです。チューブ型にしてくれれば確かに使いやすくはなります。
成分:(ヴァセリン ペトロリュームジェリー)
ワセリン、香料、トコフェロール、BHT
せっかく使いやすくなったんですが、今度は香料がかなりの割合で配合されています。
結局酒さの敏感肌さんはヴァセリンを使っていいの?
紹介してきている段階であまりおススメしていない感が出ちゃってそうですが、ヴァセリン関連商品は敏感肌適性が高いとは思いません。
気に入って使っていて肌トラブルもない、ということであれば使い続けてもいいかと思いますが、これから購入するのであれば、値段的にも品質的にもヴァセリンである必要は全くないように思います。
ボディ用に少し値段を抑えたいということであれば、白色ワセリンでも十分ではないでしょうか。
容器が可愛いとか、ヴァセリンの香りが気に入っている、などの付加価値はあると思います。また、並行輸入品で様々な商品が出ているため、コスメとして楽しむ分にはいいと思います。
私は薬局で見かけるたび、持ち運び用にリップ用の容器だけ欲しいと思って見ていますw
ワセリンが合わなかったと言っている方の中にはヴァセリンを使っていた、という方もいらっしゃいましたが、白色ワセリンとヴァセリンは似て非なるものです。
精製度が低く添加物も多いワセリンがヴァセリンですので、ヴァセリンが合わなくてワセリンが使えないと思い込んでいる場合は、高精製度のワセリンを試してみてください。
まとめ
ワセリンって意外と色々な商品が販売されていて、普通だとどれがいいのか見分けがつかないんですよね。
ワセリンの精製度なんか皮膚疾患でもないと気にしないと思いますし、ヴァセリンだって健康な肌でそこまで問題になるほどの精製度や添加物ではないとも思います。
とはいえ、酒さや酒さ様皮膚炎のようなトラブル肌や敏感に傾きすぎた敏感肌では、こういった少しのことに反応してしまうのが事実。
ワセリンに関しては精製度がどうであっても成分表示は「ワセリン」になってしまいますので、成分表示だけでは見分けがつかないという側面もあります。
べたついて使いにくいというデメリットがあってもワセリンを使うのであれば、肌トラブルがないよう、きちんとしたワセリンを使いましょう。