酒さや酒さ様皮膚炎では、なるべくシンプルなスキンケアに行きつきますので、キャリアオイルを使ってのスキンケアを考えている方も多いように思います。
酒さ様皮膚炎の方はこれ塗れ、とワセリンを処方されることも多いですが、ワセリンは塗りにくいしべたつくし、下手すると却って熱がこもります。肌に合ってうまく使える場合はとてもいい保護剤なんですが、それがなかなか難しい。
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その点、天然オイルであれば成分的に安心な気がしますし、ワセリンよりも軽い使い心地で使えそうですので、どうにか使えないかと考えますよね。
体験談を拝見していても、ホホバオイルやスクワランオイルを使った、などという体験談は良く見かけます。
そこで今回は、そんなオイル探しの参考になるよう、オイル初心者向けでも手を出しやすい有名な天然オイルの特性をまとめました。
もくじ
アルガン
概要:
モロッコに自生するアルガンの実のオイル。抽出量が少なく希少。
保存:
酸化しにくく保存期間も長い。
成分:
ビタミンEが豊富で、オリーブオイルの数倍に及ぶ。
作用:
抗酸化作用
皮膚軟化作用
特徴:
ビタミンEの抗酸化作用で、肌老化を防止するアンチエイジングに適している。その他、保湿やくすみ改善、頭皮ケアなど幅広い用途に向く。
保湿効果が高く乾燥肌におススメ。
オリーブ
概要:
オリーブ果実のオイル。食用としても用いられ、飲む美容オイルとして有名に。
保存:
酸化しにくく保存期間も長い。
成分:
肌の皮脂に多く含まれているオレイン酸を約70~85%と豊富に含み、高い保湿作用がある。
ビタミンAやビタミンEも豊富。
スクワランやポリフェノールなどの有効成分も多く含有。
作用:
抗炎症作用
抗酸化作用
鎮静作用
皮膚軟化作用
特徴:
肌老化に抵抗するため、アンチエイジングに適している。その他、保湿や頭皮ケアなど幅広い用途に向く。
ココナッツ(椰子油)
概要:
ココナッツの実から抽出できるオイル。25℃前後で溶けるため、クリームや座薬の原料として使われる。
保存:
空気に触れても酸化しにくいため、他のオイルとブレンドすると酸化防止剤として働く。
成分:
母乳にも含まれるラウリン酸が豊富。
作用:
抗酸化作用
免疫向上作用
皮膚軟化作用
特徴:
体温で溶けるため、マッサージに向く。皮膚を柔らかくするが少々皮膚刺激があるため、ヘアケアや石けんの材料として利用されている。
紫外線を通さない事から、紫外線をカットしながら肌を綺麗に焼くためのサンオイルとして使用されている。
ラウリン酸が豊富なため、免疫力を高め、悪玉コレステロール値を下げる。また、中鎖脂肪酸が代謝を高め、脂肪燃焼を助ける効果もあるためダイエットに効果的。
シアバター
概要:
シアの実から抽出できるオイル。シアの実はとても貴重で長い年月をかけてやっと実が生る。
保存:
酸化に大変強く長期保存に向く。
成分:
天然の酸化防止剤とも言われるビタミンEが豊富。その他オレイン酸やステアリン酸も豊富。
作用:
紫外線防止作用
抗酸化作用
抗炎症作用
皮膚軟化作用
創傷治癒作用
特徴:
軽い紫外線防止作用があるため、ちょっとした日焼け止め効果が期待できる。日焼け後の肌の炎症を抑える働きもある。
ステアリン酸とビタミンEの抗酸化作用でアンチエイジング効果も期待できる。
スイートアーモンド
概要:
スイートアーモンドの果実から抽出したオイル。
保存:
酸化しにくく長期保存に向く。
成分:
植物の中で最もビタミンEが多く含まれる。その他オレイン酸も豊富。
作用:
皮膚軟化作用
抗炎症作用
鎮痒作用
特徴:
メラニンを黒くするチロシナーゼのいう酵素の働きを抑制するため高い美白効果がある。日焼けした肌の鎮静や、皮膚の炎症を抑える用途にも向く。また、鎮痒作用でかゆみを緩和する。
ホホバオイルが表皮に作用するのに対し、スイートアーモンドオイルは真皮に作用。皮膚の奥まで浸透するため高い保湿効果が得られる。
低刺激で敏感肌や赤ちゃんにも使いやすいとされている。
スクワラン
概要:
サメの肝臓から採った肝油(スクワレン)に水素を加えたオイル。植物オイルからも抽出することが可能で、植物性スクワランとして使用されている。
保存:
純度99%以上の炭化水素化合物のため、酸化しにくい。
成分:
人の皮膚の3%を占めるスクワランが主成分。
作用:
浸透作用
新陳代謝促進作用
特徴:
肌に馴染みやすく浸透性が高い。肌の新陳代謝を高め、ターンオーバーを促進し、健康な肌を保つ。サプリで摂ると肝臓の機能を改善させる効果がある。
椿(カメリア)
概要:
椿から抽出できるオイル。日本では古くから使われている。
保存:
酸化しにくく安定性が高いため長期保存に向く。
成分:
保湿力に優れ皮脂の成分に近いオレイン酸が非常に豊富。その他、サポニンやテオフィリンも豊富。
作用:
皮膚軟化作用
育毛作用
紫外線防止作用
特徴:
育毛効果が高く、頭皮ケアに使われることが多い。ホホバオイル、オリーブオイルともに世界3大オイルとして認められている。
ヘーゼルナッツ
概要:
ヘーゼルナッツの実から抽出できるオイル。果実の中でも脂質の含有率が高く、40%にも及ぶ。
保存:
酸化しにくい。
成分:
オレイン酸の他、オリーブオイルの2.5倍ほどのビタミンE。ビタミンA、ビタミンB、カルシウム、マグネシウムなど。
作用:
肌の再生作用
収れん作用
特徴:
スイートアーモンドオイルと似た特徴を持つため、代替品として使われる。
脂性肌に向いているオイルで、ニキビにいいと言われる。
栄養分が豊富でバランスよく配合されているため、肌にたくさんの栄養を与え再生する効果に優れる。
また、収れん作用があるため、たるみを引きしめる。
ホホバ
概要:
アメリカアリゾナ州に自生するホホバの種子のオイル。
厳密にはオイルではなく「ワックス」に分類される。
保存:
酸化安定性が非常に高く、痛みにくいため長期保存にも向く。
成分:
ワックスエステルという人の皮脂に含まれる成分が豊富。その他、豊富なアミノ酸。
作用:
抗炎症作用
皮膚軟化作用
皮脂コントロール作用
特徴:
幅広い用途に使用でき、初心者におススメ。どんな肌質にも向きやすく、保湿力や浸透性も高い。ニキビや脂性肌には特に向いており、アンチエイジング効果でしわやしみの予防も期待できる。
マッサージオイルやトリートメントオイル、フェイシャルケアやヘアケアなど。
ボラージ
概要:
ボラージの種子から抽出できるオイル。
保存:
酸化しやすく長期保存には向かない。
成分:
必須脂肪酸のγ-リノレン酸が豊富。
作用:
創傷治癒作用
湿疹改善作用
乾癬改善作用
特徴:
γ-リノレン酸は母乳にも含まれる必須脂肪酸。
アレルギー性疾患に効果的で、アレルギー性皮膚炎の改善に向く。
マカダミアナッツ
概要:
オーストラリアに自生するマカダミアナッツの実から抽出できるオイル。
保存:
酸化に非常に強く、長期保存が可能。
成分:
老化防止と関係の深いパルトミン酸が豊富。その他オレイン酸やビタミンEも豊富に含まれる。
作用:
抗酸化作用
皮膚軟化作用
鎮静作用
特徴:
浸透性に優れ、肌につけるとすぐに吸収する。その効果はバニシングオイル(消えてなくなるオイル)と呼ばれるほど。保湿性も高く、乾燥肌の保湿に効果的。
ローズヒップ
概要:
ローズヒップの実の種子から抽出できる黄金色のオイル。
保存:
酸化しやすく長期保存には向かない。長期保存したい場合は他のオイルとのブレンドを推奨。
成分:
必須脂肪酸であるリノール酸やα-リノレン酸が豊富。ビタミンCの含有量も高い。
作用:
抗炎症作用
皮膚再生作用
皮膚軟化作用
癒傷作用
特徴:
皮膚の再生や傷跡の修復、しわやしみの改善、美白効果などが期待できる。皮膚を再生する作用に優れているため、ニキビ跡やケガの瘢痕に向く。
初心者向け天然オイル早見表
保存 | 成分 | 特徴 | |
---|---|---|---|
アルガン | ○ | ビタミンE | 抗酸化作用 |
オリーブ | ○ | オレイン酸 ビタミンE | 抗炎症作用 抗酸化作用 鎮静作用 |
ココナッツ | ○ | ラウリン酸 | 抗酸化作用 免疫向上 |
シアバター | ○ | ビタミンE オレイン酸 ステアリン酸 | 抗酸化作用 抗炎症作用 創傷治癒作用 |
スイートアーモンド | ○ | ビタミンE オレイン酸 | 抗炎症作用 鎮痒作用 |
スクワラン | ◎ | スクワラン | 浸透作用 新陳代謝促進 |
椿 | ○ | オレイン酸 | 育毛 |
ヘーゼルナッツ | ○ | オレイン酸 ビタミンE | 肌の再生 収れん |
ホホバ | ◎ | ワックスエステル | 抗炎症作用 皮脂コントロール |
ボラージ | × | y-リノレン酸 | 創傷治癒 湿疹改善 乾癬改善 |
マカダミアナッツ | ○ | パルトミン酸 オレイン酸 ビタミンE | 抗酸化作用 鎮静作用 |
ローズヒップ | × | リノール酸 α-リノレン酸 | 抗炎症作用 皮膚再生作用 癒傷作用 |
酒さや酒さ様皮膚炎に最適なオイルを考えてみる
酒さ、酒さ様皮膚炎に限らず、オイルを使ったことがない人はホホバオイルがどんな肌質にも合いやすく扱いやすいため、初心者向けです。
それ以外ですとやっぱり、抗炎症作用やアレルギー抑制作用が気になるところ。
流通も多くて入手しやすいオリーブオイルが抗炎症作用や保湿効果からも魅力的ですが、オリーブオイルは肌に合わない人も多いように思います。
また、肌を再生するヘーゼルナッツやローズヒップ、アレルギー性皮膚炎の改善に向くボラージも魅力的でしょうか。脱ステ中にはかゆみを軽減するスイートアーモンドも魅力的。
どのオイルが向くかは使ってみないと分かりませんからなおさら悩みますね。そもそもオイル美容が肌に合うかどうか分かりません。
とりあえずホホバオイルやオリーブオイルなどの入手しやすく安価なものを使ってみて、オイル美容が合いそうだと思ったら色々試してみるといいかと思います。
まとめ
こうして見るとたくさんの種類のキャリアオイルがありますね。
ここに挙げたのは一部なので、他にもたくさんの種類のオイルがありますが、とりあえず良く耳にするものをピックアップしました。
ホホバオイルなどは安価で入手しやすく、さらに扱いやすくて初心者向けなのに効果も高いので、オイル美容の最初はホホバオイルからという人も多いかと思います。
化粧水後に乳液が塗れなかったり、ワセリンが使いにくかったりする方は一度試してみてはいかがでしょう。