酒さ、酒さ様皮膚炎と抗生物質。テトラサイクリン系の抗生物質は酒さ治療にどう役立てるべきか。

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酒さや酒さ様皮膚炎治療の一つとして、良く処方されるのが抗生物質の内服薬。多くの場合テトラサイクリン系の抗生物質が処方されますが、効果がない場合には別の系統の抗生物質のこともあります。

この抗生物質、酒さ症状の軽快に貢献してくれることは確かですが、一方で効かないという人も。抗生物質の特性や処方目的を見ていると、抗生物質が効くタイプの酒さもあれば、効かない酒さもあるようだ、ということが分かってきます。

また、抗生物質は副作用が強いことでも知られている上、長期に渡って内服すると耐性菌の心配が出てくるなど、何かと不安点の多いお薬です。

そんなことから今回は、酒さに抗生物質が処方される目的や、抗生物質の効果が出やすい酒さタイプ、長期に服用することの不安点など、酒さと抗生物質の関係をまとめてみました。

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酒さに処方される抗生物質

酒さ、酒さ様皮膚炎の治療として、テトラサイクリン系の抗生物質が処方されることがあります。

テトラサイクリンと言われても分かりにくいと思いますので、実際に処方される薬剤名で言うと以下のようなもの。

  • ミノマイシン(ミノサイクリン系)
  • ビブラマイシン(ドキシサイクリン系)
  • アクロマイシン(テトラサイクリン系)
  • レダマイシン(デメチルクロルテトラサイクリン系)

下の2つはあまり処方されないようですので、多くの酒さ患者さんはミノマイシンかビブラマイシンを処方されていると思います。

テトラサイクリン系抗生物質の特徴

このテトラサイクリン系の抗生物質ですが、そもそもは菌の増殖を抑えるためのものです。

抗生物質には菌を殺すタイプ(殺菌性)と菌の増殖を抑えるタイプ(静菌性)があります。テトラサイクリン系の抗生物質は、後者の菌の増殖を抑えるタイプ。

細菌のたんぱく質合成を阻害することによって、細菌の増殖を抑えます。

たんぱく質というとあまり馴染みがないかもしれませんが、人の皮膚や髪はたんぱく質から構成されています。

生物が生きていくためにはたんぱく質の合成が不可欠で、細菌もまた、増殖するためにはたんぱく質合成が必要となります。

そのたんぱく質合成を行う器官がリボソーム。

人と細菌ではリボソームの形が違うため、細菌のリボソームだけ作用するように作られたのがテトラサイクリン系の抗生剤です。

テトラサイクリン系抗生物質と耐性菌

テトラサイクリン系の抗生物質は広域スペクトルといって、多くの細菌に対して有効です。

グラム陽性菌やグラム陰性菌、嫌気性菌、マイコプラズマやマラリア原虫など、非常に多くの細菌に対して作用することができます。

多くの菌をカバーすることができる反面、一度耐性がつくと他の菌にも耐性の遺伝子情報が伝わるため、耐性菌が出現しやすいという特徴があります。

耐性遺伝子の情報というのは細菌同士で伝わるため、ある細菌がテトラサイクリン系の抗生物質に耐性を持つと、他の細菌でも耐性を獲得した耐性菌が出現するようになります。

酒さ治療では長期に渡って抗生物質を服用することもあるため、耐性菌の懸念がつきものです。

テトラサイクリン系抗生物質の副作用

テトラサイクリン系の抗生物質には副作用があります。

  • 歯の変色
  • 胃腸障害
  • めまい
  • 吐き気、食欲不振
  • 光線過敏症
  • ビタミンK欠乏症
  • 皮膚や爪、粘膜の色素沈着
  • 肝機能障害

こういった副作用があるため、やむを得ない場合を除き妊婦や授乳婦、幼児には処方されません。

胃腸障害やめまい、吐き気などは比較的多くの方が感じる副作用です。

酒さでミノマイシンやビブラマイシンを処方されている方々の中には、めまいや吐き気などと折り合いをつけながら薬を服用している方もいれば、身体に合わずどうしても飲み続けることができない方もいます。

テトラサイクリン系の抗生物質が身体に合わない場合、ルリッド(ロキシスロマイシン系)という抗生物質が処方されやすいです。

また、酒さでは日光湿疹などの光線過敏症をお持ちの方が多くいらっしゃいます。抗生物質の長期服用はこの光線過敏症を促進させることや耐性菌の懸念もあることから、酒さ患者に対して抗生物質を長期使用することに疑問を掲げる医師もいます。

抗生物質はどんな酒さに効くのか

細菌のたんぱく質合成を阻害する抗生物質がどうして酒さに効くのか、明確な理由は分かっていないようです。

酒さに関しての情報を発信してくれている皮膚科のホームページもいくつかありますが、どこも抗生物質が酒さに効く理由を不明としています。

酒さの炎症と抗生物質

抗生物質には抗炎症作用といって、炎症を抑える働きがあります。

酒さに抗生物質が効く理由を不明としている多くの皮膚科では、この抗炎症作用が酒さ症状の改善に有効であると考えられているよう。

実際に多くの酒さ患者さんの症状が改善するという実績も、皮膚科医が抗生物質を処方する理由になるでしょう。

どうして、細菌の感染症ではないのに抗生物質の内服が効くのか、ははっきりしてことは分かっていないのですが、それらの抗生物質は抗炎症作用を有しておりますので、その効果が大きいのではないかと考えられております。

引用:はなふさ皮膚科 – 酒さ

酒さの抗菌ペプチドと抗生物質

また、酒さの原因の一つとして挙げられている免疫異常。これは酒さ患者さんにある種の抗菌ペプチド(カテリシジン)が異常発生しているという事から指摘されています。

この抗菌ペプチドというのは、皮膚の表面にある細菌を抑えるためのタンパク質。このたんぱく質が過剰なため、却って炎症を促進しているという研究結果があります。

テトラサイクリン系の抗生物質の働きはたんぱく質合成。つまり、酒さの原因となっている抗菌ペプチドの異常繁殖を防ぐ効果があるということです。

免疫と酒さの関係。酒さの原因の一つである免疫異常を理解しとこう。
酒さの原因として、免疫システムの異常が一つの要因であると考えられています。酒さ患者さんには特有の状態にどういったものがあるかを調べていく...

抗生物質は酒さの赤みよりニキビ状発疹に効く

また、抗生物質が効くのはニキビ状のブツブツに対してであり、酒さの顔の赤みに対してではない、という報告も多くあります。

酒さは軽度であれば顔の赤みや毛細血管の拡張で済みますが、少し症状が進行するとニキビのようなブツブツが発生するようになります。

テトラサイクリン系の抗生物質が効くのはこのブツブツに対してだということであれば、酒さ患者さんの中でも効くという人と効かないという人に分かれる理由も納得できます。

テトラサイクリン系の抗生物質を飲んでいると、量を減らした時や飲み止めた時にブツブツが発生しやすいと感じることがあると思います。そのことからも、抗生物質はブツブツに効きやすいことが分かります。

酒さ治療では有名なわたなべ皮膚科のホームページにも抗生物質の酒さへの効き目が書いてあり、はっきりと顔の赤みには効きにくいと明記されています。(びまん性の紅班=広範囲に広がる赤み)

酒さの治療としてはテトラサイクリン系の抗生物質の内服やメトロニダゾールの内服が挙げられますが、いずれもニキビ様のぶつぶつに有効な薬剤であり、びまん性の紅班への効果は劣るとされていました。

引用:わたなべ皮膚科 – 赤ら顔

抗生物質は対症療法

こういった事から見えてくるのは、抗生物質は対症療法だということ。

酒さや酒さ様皮膚炎そのものを治すのではなく、酒さや酒さ様皮膚炎が引き起こす様々な症状を緩和させます。

抗生物質は飲んでいる間だけしか効かない、と言われるのもこのため。

酒さや酒さ様皮膚炎を治している訳ではないので、酒さの原因が取り除かれていない限り、抗生物質を飲み止めると症状がぶり返します。

多くの場合は抗生物質で症状を抑えている間に、原因を取り除くような治療を行います。

対処療法が悪いという訳ではなく、症状を抑えることはその病気の治療に繋がることも多くあります。風邪を引いて熱が出たから解熱剤を飲むのと同じですね。

酒さ様皮膚炎での抗生物質

酒さ様皮膚炎ではステロイドによる副作用が原因のため、ステロイドの離脱症状を抑えるためにも抗生物質が処方されます。

ステロイドの離脱症状はある程度の期間が必要で一時的な悪化こそあるものの、一定期間ステロイドを塗らなければ皮膚の状態は徐々に良くなっていきます。

そのため、ステロイドの離脱症状が激しい脱ステ初期の数か月間を抗生物質を使用しながら乗り切る、というような治療が多く行われています。

脱ステに抗生物質が使えれば激しい離脱症状を抑えてくれますので、抗生物質を使わない場合に比べて炎症も軽く済み、その分皮膚の再生も早いはずです。

こういった点から、対処療法であっても上手く使えば非常に有効な治療となります。

酒さでの抗生物質

ステロイドの離脱症状を抑える目的で処方される酒さ様皮膚炎と違い、原因不明の慢性皮膚疾患である酒さでは少し事情が違います。

酒さ様皮膚炎の脱ステと違い、酒さの原因が分からない限り抗生物質で抑えても症状が緩和されるだけで、原因が取り除かれるわけではないからです。

原因が取り除かれない限り酒さ症状が再発するのであれば抗生物質を飲み続けなくてはなりませんが、抗生物質は一生飲み続けられるような性質のお薬ではありません。

こういった点からも酒さに対しては一定期間の抗生物質の投与は行われたとしても、その後は症状をコントロールするような指導が行われ、内服薬であれば漢方薬などで体質の改善と症状の軽快を目指すことが多いです。

中には症状がひどい間だけ抗生物質で抑え、症状の軽い時には飲まずに過ごすというコントロール法を何年も行っている、という方もいます。

どういった場合にせよ、抗生物質の内服に関しては主治医とよく相談しながら行っていく必要があります。

抗生物質は腎臓や肝臓で代謝されますので、内臓の定期的なチェックや血液検査などを行いながら治療をしてくれる病院もあります。

まとめ

酒さや酒さ様皮膚炎では、治療の一つとしてテトラサイクリン系の抗生物質が使われます。

この抗生物質ですが、酒さや酒さ様皮膚炎を治してくれるものだと勘違いしている方が多くいらっしゃいます。また、飲んでいる間は肌の調子もいい事から、飲み続けることができないかと考える方も。

抗生物質は酒さを治してくれる訳ではないのですが、有効に使えば酒さや酒さ様皮膚炎の治療に役立つことは確かです。

抗生物質の特性を知っておくことによって、飲み続けることを考えるよりも酒さや酒さ様皮膚炎の原因を取り除く方が大事だという事が分かるかと思います。

抗生物質にもどういう役目があるのかを理解しておき、酒さの治療に役立てて頂ければと思います。

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