酒さよう皮膚炎の治療には漢方薬?良く言われる酒さ様と漢方の相性について

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漢方薬

酒さ様皮膚炎になってしまうと塗り薬や飲み薬などでの積極的な治療が行いにくくなります。そのため完治には非常に時間がかかり通常で数ヶ月、長い場合には年単位でかかる事も。その間に漢方薬やサプリメントなどで症状の緩和をしつつ体質改善を図ることは一般的に行われています。

今回は酒さよう皮膚炎の治療と漢方薬について、どういう点が相性がいいのかや問題点は何かなどを見ていきたいと思います。

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酒さ様皮膚炎と漢方

治療に長期間かかる事や積極的に薬で改善できないところから酒さよう皮膚炎と漢方薬は相性がいいです。

また、漢方の考え方に「瘀血(おけつ」というものがあり、これは体内の血の巡りが正常に行われていないことを示します。酒さよう皮膚炎に関してはまさにこの「瘀血」の状態。この事からも酒さ様と漢方の相性がいい事が分かります。

漢方薬のイメージ

漢方薬のイメージというと

  • 身体に優しい
  • 副作用が少ない
  • 体質改善できる
  • すぐには効かない
  • まずい

といったあたりではないかと思います。これは症状に合わせて処方される西洋薬と比較した場合の感想である事も多いのですが、「身体に優しい」や「副作用が少ない」に関しては正直誤解である部分もあります。

漢方薬と西洋薬

西洋薬の場合は1つの成分に対して治験がしっかりと行われており、どんな病気の人の何%にどんな効果があって副作用はこういった副作用が何%の人に発生する、というデータがしっかりと取られています。このため、西洋薬は「炎症がある」や「発疹がある」などの症状に合わせて処方されます。

対して漢方薬は様々な成分を混ぜ合わせて、その相乗効果で症状や体質の改善を図るものです。西洋薬のように成分一つ一つに対してのしっかりしたデータは取られていません。AとBを混ぜたら相乗効果で良い効果がある、というような西洋薬に比べて曖昧な部分が根本です。このため症状に合わせて処方されるのではなく個人の体質によって処方され、診断も問診以外に脈や舌を診るという事が行われています。

漢方薬の誤解

漢方が「体に優しい」や「副作用が少ない」ことに関しては誤解というよりイメージが先行した結果です。実際には身体に優しいとも副作用が少ないとも言い切ることはできません。

私は漢方薬を処方して頂く時の担当医に「漢方だからって身体に優しいわけじゃないからね。モノよっては死ぬに死ねないなんてものすらあるんだから。」って散々脅されました。

成分一つ一つに関するデータがしっかりしている分、西洋薬の方が安全であるという考え方もあります。パーセンテージでしっかりとしたデータが取られているというのは安心であると同時に、副作用が起こった時にも原因の特定がしやすいというメリットがあります。

漢方薬は相乗効果や体質に依存する部分が大きいのでこういったデータがありません。長年多くの人に使われ続けてきて問題がなかった、という実績はありますがそれは経験則が大部分を占めるものでありしっかりとしたデータ化が行われた結果ではないのです。

西洋薬のデータ化は数百年ですが漢方薬の経験則は数千年。確かに長い実績がある分の信頼性は高いと言えますが、漢方薬だからと言って無条件に身体に優しくて副作用が少ないという訳ではありませんので注意してくださいね。

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皮膚科と漢方薬

皮膚科にお世話になる場合、漢方薬の処方に関してはその病院それぞれの考え方によって行われます。「漢方薬は出さない!」と拒否するドクターまではあまりいないかもしれませんが、積極的でないお医者さまはかなりいます。

患者さんの希望があれば処方する、程度で漢方の処方を自ら提案してくれる医師は少ないのが現状です。漢方は個人に合わせて処方するものであり、西洋医学の考え方とは根本的に異なりますので仕方のない部分もあります。

漢方の希望がある場合、まずはその事を担当医に伝えておくと処方して頂きやすくなります。言わないと漢方の「か」の字も出ないお医者さまも多いです。漢方薬に積極的な皮膚科もありますので、お住まいの地域でそういった皮膚科があればお世話になるのもいいでしょう。

酒さよう皮膚炎の代表的漢方

酒さよう皮膚炎で処方される漢方で良く名前を聞くのは

  • 黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)
  • 荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)
  • 桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
  • 十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)
  • 清上防風湯(セイジョウボウフウトウ)

あたりです(五十音順)。効果や効能を簡単にまとめます。良く使用されているだけあって、どれも酒さ様の症状に合ったものが多く挙がっています。

黄連解毒湯

体質:
体力中等度以上。のぼせ気味で顔色が赤く、精神不安や不眠、イライラしやすい人に向く。

適応:
喀血、吐血、下血、脳溢血、高血圧、心悸亢進、ノイローゼ、皮膚そうよう症、胃炎

黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)の効果と効能。酒さの中でも体力があるイライラタイプの人に向きやすい漢方薬。
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荊芥連翹湯

体質:
体力中程度以上。皮膚の色が浅黒く、腹鼻腔、扁桃などに炎症を起こしやすい人に向く。

適応:
蓄膿症、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきび

荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)の効果と効能。酒さの中でも膿んだニキビがあって血行が悪い人に向く漢方。
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桂枝茯苓丸

体質:
比較的体力がある。のぼせて赤ら顔のことが多く、下腹部痛などを訴える人に向く。

適応:
子宮の炎症、月経痛、月経不順、更年期障害、妊娠や出産による女性ホルモンの変化に伴って現れる精神不安やイライラ、肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症)、しもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきび。

服用歴:
ニキビ治療時代に数ヶ月飲んでいました。月経関連には非常に良く効き、ちょっと早すぎた月経周期が28日前後で来るように。

にきびに対する効果があまり見られなかった為、残念ながら当時の担当医にストップされました。

また、酒さ様皮膚炎発症後約1年で桂枝茯苓丸を飲み始めました。色が白くなり、ホルモンバランスが整っているように感じています。

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十味敗毒湯

体質:
体力中程度の人の皮膚疾患に向く。

適応:
発赤があり、ときに化膿する皮膚疾患。化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期、じんましん、湿疹、皮膚炎、水虫

服用歴:
私が最初に処方して頂いたのはこの十味敗毒湯。発症直後の膿にはかなりの効き目を感じました。膿が引くのが早いだけでなく、膿むこと自体も抑制されていたような気がします。

十味敗毒湯に関しては酒さ=十味敗毒湯と言われるくらいの漢方ですので、詳しく記事にしました。

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清上防風湯

体質:
比較的体力があり、、顔面および頭部の発疹で発赤の強いもの、化膿している人に向く。

適応:
にきび、顔面・頭部の湿疹・皮膚炎、酒さ

清上防風湯(セイジョウボウフウトウ)の効果と効能。酒さの中でも熱や膿を持った赤にきびがある人に向く漢方薬。
酒さや酒さ様皮膚炎で処方される漢方薬の一つに清上防風湯(セイジョウボウフウトウ)という漢方があります。ツムラでいうと58番の漢方薬。 ニキ...

まとめ

漢方薬と同時にサプリなどで身体の内側からの改善を目指すのも、治療期間が長期に渡る酒さよう皮膚炎にとっては大事な事です。

漢方薬はある程度の期間飲み続けて効果が出るようなものが多く、すぐに治したいと考えてしまうと効果のゆっくりさにイライラとしていまいますが、上手に使えば体質改善も図りつつ症状を緩和してくれる心強い存在となります。

病院で処方して頂くほうが安く済みますが、地域の薬局などでも入手することができますので少しでも症状を緩和させたい場合には試してみるのもいいと思います。

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コメント

  1. アバター 松田芳美 より:

    私も、今年の春からまぶたにぶつぶつが出来あちこちの病院にかかりました。
    で、処方された薬や漢方薬を飲み続けたら肝臓の数値が上がりました。
    顔を早く治したいけど、このまま飲み続けるのも怖いし…
    先生は問題ないと、また追加で黄連解毒湯を出されました。
    でも、賭けで薬を止めて1週間今のところ悪化は見られず、かえって良くなってる様な… 漢方だからこそ長期服用しても安心とは言えない気がします。

    • ろーざ ろーざ より:

      松田さん、こんばんは。
      コメントありがとうございます!

      肝臓の数値が上がったというのはとても心配ですね。
      抗生物質を長期投与する場合に、肝臓の数値などを見ながら継続していくかどうかを決めるようですが、処方されたお薬の中には抗生剤も含まれているのでしょうか?
      追加で出されたのは漢方薬の黄連解毒湯ということですが、漢方薬のみの追加で抗生剤は中止したということであれば、医師としてもその点を気にされたのかもしれませんね。
      私は医学の知識がある訳ではありませんので確定的な事は言えませんが、肝臓の数値が上がっているにも関わらず薬の追加がある事にご不安があるのなら、もう少し突っ込んでお話を聞いてみてもいいかもしれませんね。
      医師から大丈夫、と言われるとそれ以上聞きにくいですけど^^;

      漢方薬は身体に優しいとか副作用がないというイメージもありますが、記事にもある通り、薬である以上副作用や身体への影響があることもありますね。
      特に体質に合わせて飲むべきものですので、逆に体質に合っていないものを飲むと調子が悪くなることもあり得ます。
      重大な副作用は滅多に聞きませんが、体質に合わないものを処方されて却って肌の調子が悪くなった、というお話や口コミはたまに見かけます。
      もし、薬を止めた方が調子が良いということであれば、次の診察の時にその旨相談してみるといいかもしれません。
      西洋医の多くは体質などをきちんと診て漢方を出すのではなく、症状に合わせて漢方を出しますので、漢方薬本来の出し方ではありません。
      漢方医学を勉強してらっしゃってどちらの知識もある皮膚科医、というのが理想なんですけれどなかなかそういった医師には巡り合えませんね><

      黄連解毒湯の経過、とても参考になりました。
      こういうお話を聞かせて頂けると、自分でもどのように漢方を取り入れていこうか考えることができますし、この記事を見た他の方の参考にもなりますのでとてもありがたいです。

      この後の経過がどのように進むか分かりませんが、松田さんの症状が少しでも早く良くなりますように。
      止めた後の経過や不安な事など、ここで良ければいつでも書いていって下さい!