親水軟膏の特徴ってどんなもの?保湿剤として使える?成分は?市販品は?などの疑問まとめ。

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軟膏

親水軟膏とは、皮膚科で古くから使われている軟膏で、ワセリンをベースにしたクリーム状の軟膏です。現在でも院内調剤の基材として多く使われており、薬のような有効成分がない分、副作用もなく軟膏の調剤用として最適です。

また、保湿性能もあるのでワセリンと同様、皮膚の保護剤としても用いることができます。

コメントで教えて頂いた軟膏なのですが、良く見てみるとクリームベースの良さげな軟膏で、酒さのような敏感肌でも塗れるかも、と思ったので紹介します。

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親水軟膏とは

親水軟膏とは、ワセリン25%に保湿成分や乳化剤などを添加し、クリーム状にしたものです。最大の特徴はワセリンベースであるにも関わらず、クリーム状で塗りやすいということ。

ワセリンがベースになると大抵は良くある軟膏のようにべたべたとしたテクスチャになりますが、親水軟膏はクリーム状でありながらワセリンのような保護剤としての役割も果たします。

皮膚科では古くから使われていますが、保湿剤としてはヒルドイドやパスタロンなどの製剤が出てきてしまったので、現在ではそちらが処方されることが多いです。

院内調剤の基材として用いられることが多いですが、処方薬として単体で処方して頂くこともできます。

親水軟膏の使いごこち

親水軟膏はクリームベースですので非常に保湿力が高く、ワセリンが基材のため皮膚を保護する保護剤としての役割も果たします。

ワセリンの特性と保湿剤の特性の両方を持った、ちょっと珍しい軟膏です。

水分を抱えこむという保湿の役割を果たしながら、基材のワセリンが水分の蒸発を防ぐという役割も果たします。

保湿をしながらフタもできるイメージですが、成分の1/4がワセリンであるにも関わらずさらっとした使い心地です。

そのくせワセリンの特性である「フタ」の役割も十分に果たしますので、かなり優秀な保湿剤となる可能性があります。

ワセリンはべたつく上に熱がこもって痒くなってしまう人もいますが、親水軟膏ならその欠点を克服しつつ塗れるかもしれません。

親水性なので水に流れやすく、水で簡単に落とすことができます。

親水軟膏の成分

「親水軟膏」として出ているものには「ホエイ」や「シオエ」「ヨシダ」などがあるようですが、その3つとも成分は同じでした。

親水軟膏の成分は以下のようになります。

成分含有量
(100g中)
成分概要
白色ワセリン25gワセリン
石油を高精製して作られる安全性の高い基材。

参考ワセリン関連記事一覧

ステアリルアルコール20gベース油剤
軟膏の保水材や乳化剤、増粘安定剤として用いられる。
皮膚の保湿効果や保護効果がある。
プロピレングリコール12g保湿成分
保湿剤、乳化剤、殺菌剤、溶剤などの目的で使用。
毒性が低く、保湿作用や静菌作用がある。
「PG」とも表記される。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油604g界面活性剤
ヒマシ油が原料の非イオン系界面活性剤。人体への危険性は低いとされる。
モノステアリン酸グリセリン1g界面活性剤
親油性の非イオン系界面活性剤。安全性は高いとされる。
パラオキシ安息香酸メチル0.1g防腐剤
親水性の高い防腐剤。極めて低毒性とされる。
パラオキシ安息香酸プロピル0.1g防腐剤
脂溶性の高い防腐剤。極めて低毒性とされる。
精製水適量
不純物を取り除いた水。

ワセリンに油剤と保湿成分を足して、混ぜ合わせるための界面活性剤と、薬剤が劣化しないための防腐剤を添加した基材です。

使われている界面活性剤は皮膚刺激も少ないと言われていて、比較的安心して使えます。

市販だと非イオン系の界面活性剤を使用している商品は高くなる傾向にあるんですが、この辺はさすがに医薬品ですね。

本当に「保湿と保護」だけの性能しかなく、余計なものが入っていないので院内調剤の基材に用いられる理由が分かります。

クリームベースのものとしては非常に低刺激ですので、色々なクリームが合わなかった敏感肌の方でも塗れる可能性があります。

親水軟膏の入手方法、市販品

親水軟膏は処方薬ですので、医師に処方して頂くのが一番手っ取り早いです。

皮膚科などに通院している方に取ってはそれでいいのですが、通院をしていない場合の入手法はちょっと困難かもしれません。

ビーソフテンのように市販で類似品があるわけでもなく、調剤薬局で買えたという話も聞きますが小売りなどはされていないようです。

ネット販売で入手することも可能かもしれませんが、アマゾンなどでは売っていません。

メディカルアロマの基材にもなるようで、日本メディカルアロマ協会のインターネットショップで購入できるようです。

お値段は500gで\2,808円ほど(2016年9月)。処方して頂ければそれよりはるかに安く済むはずです。

その他の市販品として、親水軟膏を混ぜた薬品などはありますが、純粋な親水軟膏の市販品は見当たりません。以下は「サンクロン」というクマザサの薬剤に親水軟膏を半々の割合で混ぜたもの。

親水軟膏の名称変更

古くから「親水軟膏」という名称で親しまれてきた親水軟膏ですが、実際はクリーム状のため非常にややこしいです。

そのためかどうか分かりませんが、現在では各社ともに「親水クリーム」という名称に変更していっているようです。

現在の正式名称は親水クリームですが、歴史的な経緯から「親水軟膏」と呼ばれることも多く、医師や薬剤師にも親水軟膏で通じます。

親水軟膏とヒルドイド、パスタロンの違い

ヒルドイドやパスタロンも保湿剤ではありますが、ヒルドイドには「血行促進作用」が、パスタロンには穏やかながらも「角質柔軟作用」があります。

ヒルドイドの有効成分は「ヘパリン類似物質」でこれには血液凝固を防ぐ作用がありますし、パスタロンの有効成分は「尿素」で角質を柔らかくして除去する作用があります。

血行が促進されると傷口には使えませんし、角質を除去すると肌バリアを破壊する危険があります。

どちらの保湿剤もほとんど副作用がないとはいえ、使用にあたっての注意点はある保湿剤です。ヒルドイドには「出血性疾患の患者に使用してはいけない」というような禁忌も存在します。

一方の親水軟膏は保湿性能以外の目立った特徴がなく、ベースもワセリンですので安全性が非常に高いです。クリーム状にするために界面活性剤が入っていますが、強力な作用を持つ有効成分がないため副作用もまずありません。

禁忌とされるような事も使用上の注意点もほとんどなく、強いて言えばワセリンや界面活性剤が肌に合わない可能性もある程度です。

親水軟膏の副作用と使用上の注意点

親水軟膏は安全性の高い保湿剤で、目立った副作用は報告されていません。

ワセリンの特徴が大きく出ていますので、水分蒸発を防ぐ力が強く水分を保持する力はそれに比べると弱めです。

ワセリンよりも保護力が弱まっている分ワセリンで熱がこもる人でも塗れる可能性はありますが、どんな状態でも保護してしまうと熱がこもって悪化するという場合ももちろんあります。

薄めてはありますが成分の1/4はワセリンですので、そもそもワセリンがダメな人も塗れないかと思います。

酒さや酒さ様皮膚炎のような炎症肌では肌と相談しながら使わないといけない、という点はどの軟膏でも一緒ですね。

じゅくじゅくした傷口には塗らない

また、「湿潤型の皮膚疾患では皮膚浸透性により、分泌物の再吸収を起こし、病状の悪化をきたすことがある」との注意喚起がされています。

じゅくじゅくした傷口に塗ったら悪化するかもよ、という一般的な注意点です。

ジュクジュクしている場合というのは肌バリアが弱く、ちょっとしたものでも侵入してしまいます。親水軟膏には界面活性剤も入っていますので、傷口の分泌物の浸透が良くなってしまうということから、じゅくじゅくに塗ると悪化するかも、と注意されています。

メディカルアロマの基材にするのは少量ずつ

また、メディカルアロマの基材にも使用されるようですが、界面活性剤が入っているため成分の浸透が強い可能性があります。

親水軟膏に混ぜた方が良く浸透するというメリットもありますが、強い作用が起こりやすいというデメリットもあります。精油などを混ぜる場合には少量ずつ様子を見るようにしましょう。

まとめ

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最後まで読んでいただいてありがとうございます!

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親水軟膏の特徴ってどんなもの?保湿剤として使える?成分は?市販品は?などの疑問まとめ。
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コメント

  1. アバター みゅうみゅう より:

    さっそく記事にしていただいて、ありがとうございます。
    8月末に皮膚科にいったばかりなんで、十月頭くらいに、皮膚科の先生に親水軟膏のこときいてみます。
    話しはかわりますが、Uluを洗顔に使ってみました。コットンにしみこませて、こすらずに、ぽんぽんと置いていく感じです。
    刺激もないし、石鹸洗顔していたときみたいな赤みは発生しないから、わたしには、あってるかもしれません。まだ二日間しか使ってないから、わからないですけどね。
    ひとつ、気になるところは、コスパがわるいですね。
    洗顔だけで、一ヶ月くらいで使いきってしまいそうです。もう少し、容量が多くて、安ければいいのになー

    • ろーざ ろーざ より:

      こちらこそ、いい軟膏を教えて貰ってありがとうございます!
      これから乾燥の時期になるので、みゅうみゅうさんの情報で少しでも多くの人が良い保湿にたどり着けると嬉しいですね・(*ゝ∀・*)ノ

      ウルウクレンジング上手くいったんですね!
      石けん洗顔よりもはるかに低刺激ですし、汚れさえきちんと落ちてくれてコットンの刺激が大丈夫なら良い洗顔になるかもしれませんね。

      でも、コスパの悪さには同意です。
      私は洗顔で使えなかったので2か月持ちそうなんですけど、洗顔で使うなら肌を傷めないためにもたっぷり必要ですもんね。
      洗顔だけで1か月となると、保湿にも使ったら1か月に1本半くらいかー。
      大容量タイプがあったはずですが、それでもやっぱり負担がありますね><

      皮膚病患うと安いものが使えなくなるので(高いから良いわけではないんですが・・・)、一つの化粧品に対するお金も結構かかりますよね。
      良いものは高い・・・・(´Д`。)